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伊藤香苗「文化祭なにするの?」

引用元: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350824739/
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 22:05:39.19 ID:nFkKYpEO0


梨穂子「んーとね、確か今日のHRで色々と話し合うみたいだよ~」

香苗「へー」

梨穂子「香苗ちゃんは何がしたいとか、あるの?」

香苗「別に特にやりたいことなんてないけど……まぁ、楽しめればいっかなぁって」

梨穂子「そうだねぇ、最後の文化祭だし、思い出に残る事をしたいなぁ」

香苗「……思い出」

梨穂子「どうかしたの?」

香苗「あ、ううん、なんでもない」

香苗(文化祭……かぁ)


5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 22:13:16.47 ID:nFkKYpEO0

HR

絢辻「───それでは、今年の文化祭で私たちのクラスの出し物を決めます」

絢辻「なにか提案がある人、挙手をお願い」

香苗(わお、凄いね絢辻さん。なんていうか、
   本当に私らと同じ年代なのかってぐらい大人びてるわ~)

梨穂子「はいはーい」びっ

絢辻「はい、桜井さん」

梨穂子「えーっとですね、その喫茶店とかどうかな~って」

絢辻「喫茶店。なるほどね、じゃあ…喫茶店と」カキカキ

絢辻「じゃあ次は───そこの暇そうにしてる梅原君」

梅原「うぇっへっ!? お、俺!?」ビクゥ

絢辻「ぼーっと外を眺めてる余裕があるのなら、提案の一つもあるでしょう?」

梅原「そ、そのー……あははは」

絢辻「笑ってごまかさない」


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 22:19:12.53 ID:nFkKYpEO0

薫「くすくす、ほらほら梅原くん。しっかりしなきゃまたフラレちゃうわよ~?」

梅原「なっ…オイ! 棚町ぃっ!?」

薫「あーら、本当の事じゃないのよ? ねえ、純一?」

純一「すぴー」

薫「ちょっと、純一?」ゆさゆさ

純一「んあっ…やめろよっ…もう食べれないからっ…」

薫「……ふんっ!」ドス!

純一「ふごっ───ハッ!? あ、ごめんなさい絢辻さん!?」

絢辻「私はなにもしてないわよ」

純一「えっ!? じゃ、じゃあ梅原か!? お前、振られたからって僕に八つ当たりするなよっ!」

梅原「してねぇーよ!? つうか振られた振られたうるさいぞお前ら!」

純一「え?」

梅原「あーもう……なんなんだよ、お前らは…俺がそんなに振られた事おもしれえのか!」


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 22:25:47.45 ID:nFkKYpEO0

梨穂子「あはは…だってね~」

梅原「さ、桜井さんまでっ」

薫「あれだけの大人数の前で告白しちゃあ、誰だって面白がるわよ」

純一「しかも、振られたというオチ付きだもんな」

梅原「く、くそっ…!」

薫「フツー卒業式に告白しちゃうかしら? あんなの見せ物になってます。
  って言ってるようなもんじゃないの」

純一「いや、梅原的には色々と作戦は考えてたんだよ。一つ目ね?」

梅原「橘ァー! おまっ、なに恥ずかし黒歴史を語ろうとしてるんだ!」

絢辻「ゴホンッ!」

薫「あちゃーっ…怒ったわよ、静かにしなきゃ」ペロ

純一「お前の所為だろ…梅原!」

梅原「ち、違うわ! お前ら二人の所為だろ…!」

絢辻「静かに」

三人『はい…』


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 22:32:39.11 ID:nFkKYpEO0

絢辻「…ふぅ」

絢辻「──確かにあの三年生の卒業式で、
   厳粛な空気をぶち壊した梅原君の告白は私にとってもとても印象に残ってます」

梅原「うっ…」

絢辻「いくら卒業する三年生に後悔なく告白をしたいと思ったとしても、
   もっと場所を選ぶべきだと今頃ですが、忠告しておきます」

梅原「…ハイ、スンマセン」

絢辻「そしてそこの二人も、そんな梅原君の頑張りを笑ったりしたらいけないのよ?」

薫「は~い」

純一「え? でも、あの後一番笑ってたのあやつ──ふがっ!?」ゴス!

絢辻「あら、ごめんなさい。チョークが滑ったわ」

純一「……えらくまっすぐ僕に飛んできたよね、チョーク」ヒリヒリ

絢辻「それでは話し合いを続けます。次に誰か提案がある人は?」


香苗「………」


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 22:38:11.08 ID:nFkKYpEO0

梅原「ったく、お前が余計な事言うから俺まで晒しもんじゃねえか…」

純一「本当の事だろ? いくら何カ月経とうが笑いもんのまんまだよ…」

香苗「……」

香苗「……はぁ」

梨穂子「…香苗ちゃん? どうしたのため息なんてついて」

香苗「ふぇっ? あ、ううん! なんでもない! あははっ」

梨穂子「そお? けっこう深刻そうに見えたけど…大丈夫?」

香苗「うん、平気平気~。まったく桜井は本当に心配性だね~」

梨穂子「あはは、だって香苗ちゃんがため息つくなんて珍しいからね~」

香苗「え? あ、うん……そう思う?」

梨穂子「うん、いつだって元気なのが香苗ちゃんじゃない」

香苗「……。このこのっ、いってくれるじゃないの桜井っ」ぐりぐり

梨穂子「あ、ちょっと…やめてよ香苗ちゃん…くすぐったいよぉ」


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 22:43:50.92 ID:nFkKYpEO0

香苗「あはは」

香苗(は……ため息、かぁ。そりゃ付きたくもなるよ)

香苗(…本当に、本当に)

純一「──じゃあ、はい! 絢辻さん!」

絢辻「次、誰か提案がある人はいますか?」

純一「絢辻さん!? 僕は!?」

絢辻「…しょうがないわね。じゃあ橘くん」

純一「しょうがないってなんなのさ……えっと、ゴホン」

純一「僕から一つ、提案があるんですが!」

絢辻「却下」

純一「まだ何も言ってないよっ」

絢辻「早くして」

純一「ううっ…最近はみんなが居る時も冷たくなって…つらい…」

絢辻「早くしなさい」

純一「わかりました!」


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 22:48:19.50 ID:nFkKYpEO0

純一「ええっとですね、僕からの提案は───ひとつです!」

絢辻「もとから一人一つよ」

純一「出鼻をくじかないでください……」

薫「…くっひひ、アイツの顔見てよ? すごいでしょ?」

梅原「何時の間に顔に落書きしたんだ棚町…」

梨穂子(額に肉って書いてある…)

純一「それはですね!」

純一「───このクラス皆で、劇をしようと思わない!?」

香苗「……劇?」

純一「おっ? 香苗さん、もしかして興味ある?!」

香苗「えっ? いやーそこまではー……」

純一「ほらほら! 絢辻さん! もう一人居たよ!」

絢辻「…伊藤さんも劇を推薦するの?」

香苗「えっ!? い、いやだからその…っ!」


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 22:54:48.69 ID:nFkKYpEO0

薫「いいじゃない劇、面白そうじゃないの」

純一「だろ? ほら、二人目だよ!」

香苗「た、橘くん? 私は別にやりたいってわけじゃなくてさ…!」

純一「えー? やろうよ、みんなで劇。絶対に思い出に残ると思うよ?」

香苗「…思い出…?」

純一「うん! そう思わない? 三年生最後の文化祭、みんなで劇をするんだ」

純一「──一人一人役割を決めて、役者の人、裏方の人、衣装を用意する人。
   みんなみんな頑張って一つの劇を作り上げるんだ」

香苗「………」

絢辻「…簡単に言うわね、どれだけ大変かわかってるのかしら」

純一「うっ、そうですよね……」

薫「でも、最後ってのは一発大きいのやっておかなきゃダメじゃない?」

絢辻「…まぁ、その気持ちも分からないでもないけど」


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 22:59:20.54 ID:nFkKYpEO0

純一「どうかな! みんなで文化祭、なにかの劇をしようよ!」

「橘が乗り気だ…」

「劇かぁ~、ま、面白そうだよね」

「そういって女の子の衣装見たいだけだろ橘!」

純一「ち、違うよ!」

絢辻「それが狙いだったのね、はぁ…」

純一「絢辻さん!? ち、違うってば…!」

薫「アンタ、そんなこと思ってるのなら女の子の役やらせるわよ?」

純一「やめて!」

香苗「………」

梨穂子「あはは、みんなすごくやる気だね香苗ちゃん」

香苗「あ、うんっ…そうだね、劇ね…」

梨穂子「色々と大変そうだけど、やってみたいなぁ~」

香苗「…桜井もやってみたいの?」


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 23:04:57.74 ID:nFkKYpEO0

梨穂子「うん、だってみんなでワイワイってやるの…えへへ、楽しいと思うし~」

梨穂子「…大きな大きな思い出が残りそうだなぁって思うんだぁ~」

香苗「……そうね、大きな思い出ね」

純一「ほらほら! 梅原はどう思うんだ!」

梅原「お、俺か? いや、劇っていうと…こう、良いイメージが出来ねえんだが…」

薫「大丈夫でしょ、あんだけ大胆に告白出来る度胸があるじゃない」

梅原「ま、まだいうか棚町…!」

香苗「……」

梅原「──はぁ……まぁ別に嫌って言うわけじゃねえさ、結構面白そうだって思うしな」

香苗「っ…」

純一「うんっ! それじゃあ梅原も───」

がたっ

香苗「──私も劇に賛成する!」ばっ

純一「うえっ?!」


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 23:08:41.02 ID:nFkKYpEO0

絢辻「い、伊藤さんも? ちょっと乗り気じゃなかったように見えたけど…」

香苗「ううん、そんなことないよ! 私も劇するわ!」

香苗「…橘くん、絶対に成功させようね」すっ

純一「……香苗さん…」すっ

ぐっ!

香苗「…出来る限りの事は、全てやるよ私」

純一「…頼りにしてるよ、僕だって全てを出すから」

梨穂子(仲いいなぁ…)

絢辻「盛り上がってる所悪いけど、判断は多数決よ」

「どうする? なんの劇にするかな?」

「面白そうなのがいいよね~、私裏方とかやってみたかったし~」

「衣装とか私の部活にいっぱいあるから、出来ればロミジュリとか~」

絢辻(…はぁ、もう決まったも当然ねこれは)


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 23:15:32.10 ID:nFkKYpEO0

絢辻「ハイハイ、みんな静かに!」パンっ

絢辻「──それじゃあここで多数決を取ります、やりたい項目にみんな手を上げてね」

絢辻「じゃあ、クラスで劇をした人!」

バッ!

絢辻「はい、決定」

~~~~~~

梨穂子「香苗ちゃん、今日はどこか寄っていかない?」

香苗「ん? どっしたの、桜井から誘ってくれるなんて珍しいじゃん」

梨穂子「えへへ~」

香苗「……。あーなんとなくわかった、何処かでスィーツ新作出た感じ?」

梨穂子「…だめ?」

香苗「ううん、別にかまわないよ」

梨穂子「わぁ! ありがと~! 香苗ちゃん!」

「──そこの二人、ちょっといいかしら?」


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 23:20:31.48 ID:nFkKYpEO0

香苗「お? どしたの棚町さん?」

薫「ごめんなさいね、話の腰を折っちゃって」

梨穂子「ううん、別にいいよ~」

薫「てんきゅ、そのね。これからちょっと文化祭の話し合いをするんだけど…」

薫「…伊藤さんも桜井さんも、参加しないかしら?」

伊藤「話し合いって…誰が集まるの?」

薫「ん」ぴっ

伊藤「…あっち?」すっ…


純一「…待ってください、あれには訳がありまして」

絢辻「どういうワケかしら」

純一「僕的には、みんなで楽しめるような文化祭にしたいと思ってる所存でして」

絢辻「へぇ、だから私が指揮を務める会議を壊しても良いと?」

純一「…そんな事は思っていません、ええ、決して」


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 23:25:48.74 ID:nFkKYpEO0

香苗「…わー」

梨穂子「怒られてるね、あはは」

香苗「…!」

梅原「まぁまぁ絢辻さん──……ん? よっ!」

香苗「っ……よ、よっ!」

梅原「……ありゃ駄目だぜご立腹だ」すたすた

薫「くひひ、でしゃばるからいけないのよ」

梅原「ちげーねえ、それっと誘ってんのか? 集まりに?」

薫「そそそ。ほら、劇に乗り気だった二人じゃない?」

梨穂子「え? 私はそこまで言ってなかった気がするんだけど…?」

薫「あら? やりたいって言って無かったかしら?」

梨穂子「うぇっ!? き、聞こえてたのー…?」

薫「バッチシねっ」

梅原「──伊藤さんは行かねえのか?」

香苗「ひゃいっ!?」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 23:33:31.77 ID:nFkKYpEO0

梅原「お、おう。近くのファミレスで
   話し合いをしようと思ってるんだがー…駄目ならいいんだぜ?」

香苗「あっ…う、うんっ…えっと…そのっ…」くるくる…

梅原「なにか用事でもある感じか、なら仕方ねぇな!」

香苗「い、いやっ! 違うよ! ないない! 全然ないからねっ!」

梅原「お、おう! そ、そうか」

香苗「はっ!?」びくっ

香苗「あっ………うん、そんな感じ……ごめん……大きな声出して……」ぷしゅー

梅原「いいっていいって、楽しみにしてるんだろ? 乗り気だったしよ、わかるわかる」

香苗「………うん」モジモジ


薫「スィーツ? あ、そこなら今から行く場所よ?」

梨穂子「ホントにー? よかったぁ、ねぇねぇ香苗ちゃん! …香苗ちゃん?」

香苗「ワ、ワタシッタラモウチョット…オチツイテ……ふぇあっ!? な、なに桜井!?」


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 23:39:41.79 ID:nFkKYpEO0

梨穂子「今から行く所、ちょうど私が行きたかった場所だから~」

梨穂子「一緒に話し合いも参加させてもらおう?」

香苗「そ、そうなのっ? そりゃラッキーだわー! あはははっ!」

梨穂子「う、うんっ」

香苗「じゃ、じゃあさっそく向かおう! そうしよう!」ガッタ

薫「おっけー! じゃあ二人参加で、そろそろ行くわよそこの二人ぃ!」

絢辻「ん、わかったわ。……行くわよ橘くん」

純一「わん」

梨穂子(わんっ!?)

梅原「うっし、行こうぜ伊藤さん」

香苗「う、うん!」

ファミレス

梨穂子「───ふっわぁぁっ…!」キラキラキラ


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 23:50:05.04 ID:nFkKYpEO0

梨穂子「こ、これは凄いよぉっ…凄すぎるよぉ~…!」

香苗「桜井…これは一体…?」

薫「私もここで働いてて初めて生で見るわ…」

純一「新作じゃないの?」

絢辻「…メニューによると隠しメニューらしいわね」

梅原「さ、桜井さんこれ食べんのか?」

梨穂子「…うん、これだけ綺麗に盛り付けられたパフェを食べるなんてもったいないよねっ…」

梅原「お、おう…」

絢辻(量に突っ込みを入れたと思うんだけど…)

薫「アンタは何か食べるの?」

純一「ドリンクバー」

薫「しけてるわねー」

純一「うるさいなっ。香苗さんは何頼む?」

香苗「あ、じゃあ私はコーヒーでお願い」


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 23:57:10.20 ID:nFkKYpEO0

薫「んじゃ、私はパスタで。絢辻さんは?」


絢辻「コーラ」


みんな『こ、コーラッ!?』

絢辻「え、えっ? ど、どうして皆びっくりするのよ…っ?」

薫「いや、まさか絢辻さんがコーラなんて飲み物を頼むなんて…」

香苗「紅茶とかいいそうなのに…」

梨穂子「でも、コーラはたまに飲むと美味しいよね~」

純一「おい、昨日一昨日と飲んでる姿を僕は見たぞ梨穂子」

梅原「俺見たぜ…」

梨穂子「ええぇっ!? か、隠れて飲んでたのにぃ~…!?」

香苗「あ、今日も飲んでたのよ桜井の奴。なんか言ってあげてよ橘くん」

純一「無理だよ、だって梨穂子だし」

梨穂子「ちょ、ちょっと純一ぃ~!」


34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 00:03:56.63 ID:WZGq7YYj0

絢辻「いいわよねー? 飲んだって、コーラの一つや二つぐらい」

梨穂子「そ、そうだよ~! 絢辻さんの言う通りだよ~!」

香苗「…で、今日は何本飲んだの桜井」

梨穂子「え? 三本ちょい…だけど?」

純一「こりゃまたダイエット始まるな、すいませーん注文良いですかー?」

梅原「おい、まだ俺の聞いてないだろ大将っ」

絢辻「…ごめんなさい桜井さん、それはちょっとどうかと思う」

薫「逆に尊敬するわ~。お腹痛くならないの?」

香苗「桜井は食べ過ぎで体調悪くなった事無いよ、一回も」

梨穂子「あ、ありますぅ~! お腹が痛くなったことぐらい、ありますぅー!」

香苗「そうなの? じゃあ桜井がお腹痛くならないように、
   そのパフェはみんなで食べていい?」

梨穂子「……」すっ…

絢辻(そっと伊藤さんから視線を外した…)


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 00:12:24.62 ID:WZGq7YYj0

~~~~~~

香苗「んー、結局は皆が知ってるような奴がいいんじゃないの?」

薫「そうよねー、全然知らないのやって滑ったら身も蓋もないし」

絢辻「出し物で報告に行った所、聞いた話だと他のクラスでも劇をするみたいよ?」

純一「本当に?」

梅原「あー、マサの奴が言ってたな。俺のクラスでも劇をするって」

梨穂子「もぐもぐ」

純一「それは大変だ…見に来る人だって、別に僕らの演技を楽しむわけじゃないし…」

絢辻「物珍しさから見る、というのが大半でしょうしね」

薫「あ~、簡単に行くって思えばそうでもないのね~」

香苗「………」

梅原「…伊藤さんはなにか良い案とかあるか?」

香苗「えっ? わ、わたしっ?」

梅原「おうよ、なにか考えてるようだったし」


40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 00:18:29.90 ID:WZGq7YYj0

香苗「…えっと、その」

絢辻「なにかあるの?」

香苗「あーうん、ちょっと良い案っていうのかわからないけど…」

薫「あっ、ちょっと! 純一! あんた何零してるのよ!」

純一「えっ? あ、本当だ……ごめんごめん」ふき…

薫「なっ!? 何処触ってんの……よッ!」ブンッ!

純一「ぐはぁっ!?」どたっ

梨穂子「むぐぅ!? げほってこほっ!」

絢辻「さ、桜井さん!? 大丈夫…!?」

梨穂子「むぎぅ~! むぎぅ~!」プルプル

絢辻「…むぎぅ? あ、水! 水水!」

香苗「え、ええっ…?」

梅原「なにやってんだ皆……で、伊藤さん」

香苗「あ、うん!」


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 00:23:11.42 ID:WZGq7YYj0

梅原「その思いついた案ってのは、どんなのなんだ?」

香苗「…そのね、みんなが知っていて、かつ物珍しさも兼ねそろえている」

香苗「──他のクラスと一線を越えるかもしれない、そんな演劇になるかも…」

梅原「おお、結構自信満々じゃねえか」

香苗「う、うん…っ」

梅原「それで? 一体どうすればいいんだ?」

香苗「ええ、それはね───」

~~~~~

絢辻「いいわね」

薫「…面白いわ、いや、本当に」

梨穂子「香苗ちゃんすご~い」

香苗「そ、そうかな? あはは」

絢辻「確かにそれは、他のクラスの劇を圧倒するでしょうね」


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 00:27:17.16 ID:WZGq7YYj0

香苗「そしたら普通に『ロミオとジュリエット』でいいのかなこれって」

薫「いいんじゃないかしら? それなら誰だって知ってると思うし」

梨穂子「わぁ~! いいな、いいな。今から楽しみになってきたよぉ~!」

香苗「えへへ…」

絢辻「明日にでも皆に報告してみましょう、そして所で───男子二人」

純一「……」

梅原「……」

絢辻「えらく不服そうね、どうしたのかしら」

純一「…どうしたもこうしたもないよ」

梅原「…クラスの男子が全員こんな顔になるぜ、きっと」

梨穂子「どうして?」

薫「あっははは! 楽しみねぇ、どんな劇になるのかしら~! ぷっ、くすくすっ」

純一「笑いすぎだっ」


45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 00:36:02.20 ID:WZGq7YYj0

伊藤「えっと、ごめんね二人とも。変な提案しちゃってさ…」

梅原「…いいよ、伊藤さん。俺だって面白いもんには俄然乗り気になる」

梅原「──それに伊藤さんが考えてくれた事だ、ゼッテー成功するに決まってらぁ」

伊藤「っ……あ、ありがと梅原君…」

純一「何カッコ付けちゃってんの梅原…」

梅原「しかたねーだろ、だったら大将が提案しやがれよ」

純一「……ん、無理」

梅原「だろうが、俺だって出来ればしたくねぇけど…ま、面白いって思っちまったからな!」

純一「それには僕も同感だ、これは絶対にウケると思う。凄いよ香苗さん」

香苗「あはは、二人とも褒めすぎだから」

梨穂子「んー、それじゃあこれで決まりなのかな?」

薫「良い感じにまとまりそうね、明日の話し合いは~」

純一「楽しそうだな…」

絢辻「…いいわよ、ちゃんとメモっておいたわ」


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 00:40:42.26 ID:WZGq7YYj0

絢辻「──では、私たちの話し合いではこれで決定ね」


絢辻「───性別反転ロミジュリ、で決まり!」


薫「イェーイ!」パチパチ

梨穂子「わぁ~~!」ぱちぱち

香苗「あはは」ぱちぱち

純一「木の役ってのもあるよな?」

梅原「多分だが、橘は絶対に女役をやらされると思うぞ」

純一「……だよね、なんとなくわかる」

梅原「……ああ、そして多分俺もだ…」

純一「頑張ろう…」

梅原「そうだな…」

~~~~~

香苗「あ、コーヒー無くなっちゃった」

純一「…ん、そしたら僕のドリンクバーでおかわりしたら?」


47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 00:45:38.45 ID:WZGq7YYj0

薫「ちょっとアンタ」

純一「いいだろ、薫にお金渡しとくからさ」

絢辻「犯罪よ」

梨穂子「純一?」

純一「うっ……じゃ、じゃあ僕が持ってきて香苗さんにあげるのはどうだ!」

香苗「あ、コーヒーはおかわり自由って書いてるけど」

純一「え?」

薫「パスタ美味しかったわ~、ずっと気になってたからスッキリスッキリ」

絢辻「美味しそうだったわね、今度私も食べてみようかしら」

梨穂子「ここのチーズケーキも美味しいんだよ~」

純一「三人とも!? 実は知ってて怒ってたでしょ!?」

香苗「くすっ…じゃあ行ってくるね」


48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 00:50:23.42 ID:WZGq7YYj0

ドリンクバー

香苗「えっと、コーヒーコーヒー…っと」

香苗「あった、これね」コト

ジジジジジジジ…

香苗「……」

香苗(今日は来て良かった…よね、うん。だって色々と話せたしさ)

香苗(普段は桜井も居て、橘くんもいて……それなのにちっとも話す機会が増えずに)

香苗(はたまた同じクラスになっても、とんと会話する機会も来なず仕舞い…)

香苗「……はぁ」

コポポ

香苗「おっとと、危ない危ない…」コト

香苗「……」

香苗「…もっと頑張らなくちゃいけないんだろうけど、なぁ」

香苗「でも……そんなのこと、無理に決まってるから…」


50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 01:01:31.20 ID:WZGq7YYj0

香苗「──あーもう! 弱気になるな香苗ぇー!」

香苗(…よっし、ウジウジしてたってそんなの私らしくない!)

香苗「……」

ごくっ

香苗「ぶぇっ…に、ににゃいっ……ぐすっ、だけど! 私の想いはもっと苦い!」

香苗「全然意味が分からないけれど! 頑張る!」

香苗「……」ぐっ

香苗「それはそれで、ミルクたっぷり入れないと…ミルクミルク…」

すっ

「──これでいいのか?」

香苗「あ、どうも。ありが」

梅原「おう、どういたしまして」

香苗「……と……」

梅原「ん? どうした?」


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 01:06:18.85 ID:WZGq7YYj0

香苗「───………っ~~~~~!!!?」カァアー!

香苗「う、うめひゃらくんっ!?」

梅原「お、おう。そうだが…俺の顔忘れたのか?」

香苗「っ…っ…っ…」ブンブンブンブン!

梅原「だよな、びっくりしたぜ」

香苗「あっ…がっ…そっ……その!」

梅原「どした?」

香苗「き、聞いてたっ!? さっきの独り言!?」

梅原「…独り言? いや、別になにも聞いてねえけど?」

香苗「…………」

香苗「……そっかぁ~~~~っはぁ~~~よかったぁ~~~」

梅原「そんなに聞かれちゃヤバい事言ってたのかよ?」

香苗「う、ううん! 違うよっ! そんなことないから!」

梅原「逆にそこまで言われると気になってくる…ま、聞きだしたりしないからよ」


55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 01:11:21.24 ID:WZGq7YYj0

香苗「…そ、そうしてくれると助かるよ…うん…」

梅原「ん、それでミルクはいらねえのかい」

香苗「い…イタダキマス」

梅原「ほらよ」

香苗(わっ、わわっ…梅原君が…私のコーヒーにミルクを入れてくれてる…!)

梅原「これぐらいか?」

香苗「へっ!? あっ…その、もうちょっとお願い…」

梅原「結構入れるんだな、ほら」

香苗(ひゃ~ぁ! なんだろっ、なんだろっ……凄く恥ずかしい…!)

梅原「うっし、ここまででどうだ」

香苗「…ぅ、うん…ありがと…」

梅原「はは、これぐらいでお礼は要らないぜ」

香苗「……うん…」


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 01:17:29.38 ID:WZGq7YYj0

香苗(かっこいい…なんて気前が良いんだろう…にゃー! 顔がまともに見れない!)

香苗(はっ!? い、いまって二人っきりだよね!? そうだよね!?)

香苗(そしたら会話できるチャンスじゃん! よ、よし…やってやるわよ…)

香苗「っ……その、梅原君…」

梅原「お茶お茶っと。ん、なんだー?」

香苗「す、すこしだけ、聞きたい事があるんだけど…っ」

梅原「話?」

香苗「う、うん。だめ……かな?」ちら

梅原「別にかまわねーけど、あっちじゃだめなのか?」

香苗「…うん」

梅原「……。まあいいけどよ、なんだ話って?」

香苗(来た───!!!)

香苗「その、ね。今回って私たちのクラス……演劇する事になったでしょ?」


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 01:23:15.37 ID:WZGq7YYj0

梅原「そうだな、どっかのお祭り大好きのせいでな」

香苗「そ、それでねっ……梅原君はなにかやりたい役とか、あるのかなってさ~」

梅原「やりたい役、かぁ。んー特にねえな…ずずっ」

香苗「そ、そっか」

香苗(ううっ…話が続かないっ…)

梅原「───あ、でもよ」

香苗「え、なに梅原君?」

梅原「俺はさ、伊藤さんで見たい役ならあるぜ」

香苗「え、私っ?」

梅原「おうよ、今回はロミジュリをやるんだろ?」

香苗「う、うん」

梅原「そしたらロミオ役をやってる伊藤さん、俺は見てみたいねぇ」

香苗「ろ、ロミオ役!?」


62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 01:28:48.61 ID:WZGq7YYj0

梅原「そうだけど、やっぱイヤか?」

香苗「嫌って言うか…その、ロミオなの…?」

梅原「性別反転なんだろ? 出来ればジュリエット見てみたいけどよー」

香苗「あ、そっか…うん…」

梅原「ははは、そう考えると女子も色々と大変だな。男子はそれ以上大変だろうけどよ」

香苗「あの…」

梅原「おう?」

香苗「……で、でも…私たちのクラス可愛い子他にいっぱいいるじゃん…だけど、私のロミオが見たいの…?」

梅原「んー、確かに可愛いって言うか人気の高い女子が集まってるよな、俺らのクラス」

香苗「………っ」ぎゅっ

梅原「──でも、俺はそれでも伊藤さんのロミオを見てみたい」

香苗「え…」


63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 01:34:47.46 ID:WZGq7YYj0

香苗「…どうしてなの?」

梅原「どうして、と聞かれても…はは、ちっと恥ずかしいけどよ」

梅原「───すっげー似合いそうだから、としか言えねえよ…」

香苗「……」

梅原「くはぁー! なんだなんだ、恥ずかしいなオイ…俺、顔真っ赤になってるか?」

香苗「…ちょっとだけ」

梅原「だよなー! …くっそ、照れてんじゃねえよ俺。ただ見てみたいって言っただけだろうが…」

香苗「…くす」

梅原「わ、笑わないでくれっ…とんだチキンやろうってのは分かってるんだ…」

香苗「あははっ、そうだね。女子になって欲しい役を言うぐらいで、なに照れてるんだ~このこの」ぐりぐり

梅原「やめろ…やめてくれぇ…」

香苗「ふふふっ」


64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 01:41:27.48 ID:WZGq7YYj0

香苗「…でも、ありがと梅原君」

梅原「あん?」

香苗「その、言ってくれて…ありがと、嬉しかったわ」

梅原「嬉しかったって、別に大したこといってねーだろ?」

香苗「ううん、それでもね」

香苗「梅原君にそう言ってもらえて、嬉しかったから」

梅原「………」

香苗「えへへ」

梅原「お、おう…そっか」

香苗「うんっ」

梅原「………その」

香苗「ん? どしたの?」

梅原「いや……なんでもねえよ」

香苗「えー? 気になるじゃん、ハッキリ言いなよ」


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 01:52:39.62 ID:WZGq7YYj0

梅原「な、なんでもねーって」

香苗「ん~…?」ずいっ

梅原「……」

香苗「どうして顔を見てくれないのよ、梅原君?」

梅原「…なんでもだ」

香苗「嘘だって、なにか隠してるじゃん。どしたどした?」

梅原「っ…」ぷいっ

香苗「おっ? じゃあこっちに来ようっと」すたすた…

香苗「んふふ、ね?」

梅原「うっ、なにが…ね? なんだよ」

香苗「さあ?」

梅原「よくわかんねーけど…なんだか伊藤さん…しつこいぞ…」

香苗「しつこくないよ~? 黙ってる梅原君のほうがしつこいんじゃないの?」


68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 01:58:56.70 ID:tXf3dL8S0

梅原「……。だぁーもう!」

香苗「わぁっ?!」

梅原「──じゃあ言ってやるぞ、いいんだな?」ずいっ

香苗「うっひ! ……か、顔が近くない…?」

梅原「良いんだよなっ? なっ?!」

香苗「ぁっ…ぇっ…っと…」ドキドキ

梅原「…じゃあ言うぞ」

香苗(息が頬にっ)ゾクゾク

梅原「はぁ、あのな伊藤さん…」

梅原「…あんまり、男に対して期待させるようなことを───」


純一「そんなに至近距離で何やってるの二人とも?」


梅原&香苗「うぇっ!?」

純一「………」


70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 02:05:23.25 ID:tXf3dL8S0

純一「……あー」

梅原「た、橘ァ!? なにを思った!? 何を考えたぁ!?」

香苗「ち、違うからね! たちばばばば!」

純一「え? ごみを取ろうとしたんじゃないの?」

梅原「えっ…がっ……そ、そうだぜぇ! なぁ伊藤さんん!?」

香苗「そ、そうだよねぇ梅原君!? いやーまいったわー! あはっはは!」

純一「なんだろう、違うんだったら……あっ! も、もしかしてキ───」

香苗「ふんっ!」ドス!

純一「フングォッ!?」ドタリ…

梅原「いとっ…伊藤さん!? 橘ァ!?」

香苗「あ、なんとなくやっちゃった…」

梅原「ええぇええっ!?」

絢辻「──どうしたのよ、騒がしいわね……橘くん!?」


71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 02:10:38.05 ID:tXf3dL8S0

絢辻「ど、どうしたのっ? 橘くんが悶絶してるわ…」

薫「え? 純一が妄想してる?」ひょこ

梨穂子「なにやってるの純一?」ひょこ

絢辻「わからない、だけど──……これは事件ね」

梅原&香苗「えっ!?」

薫「じ、事件ですって…!?」

梨穂子「…うん、犯人は誰かな」

香苗「さ、桜井…? 何言ってんの…?」

絢辻「──いいわ、ここは私に任せて伊藤さん」

香苗「へ?」

絢辻「この事件、絢辻詞に任せて頂戴…絶対に犯人を見つけ出して見せるから!」

薫&梨穂子「おー」ぱちぱち

梅原「…いや、なんとなくわかった、みんなで覗いてたんだろ」


72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 02:15:53.92 ID:tXf3dL8S0

絢辻「………」

香苗「え、えっ?」

梅原「それで橘が空気を読まずにここに来たから、色々と誤魔化しにかかってると…」

香苗「つ、つまり……みんな隠れてみてたって事…?」

梨穂子「…えっと、パフェを食べきらないとね~」

絢辻「話し合った結果をまとめないと…」

薫「ほら、起きなさいアンタ」ぐいっ

純一「ぐえっ」ずりずり…

梅原「…はぁ」

香苗「ぜ、全部見られてたって事…っ? えっ? えっ? じゃ、じゃあさっきの私のっ…ぎゃー!」

梅原「俺らも戻ろうぜ、伊藤さん」

香苗「あ、うんっ…だけど、そのっ…!」

梅原「大丈夫だろ、ちゃんと誤解を解けばよ」

梅原「すまねえな、変な勘違いをさせちまってよ」


73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 02:21:14.54 ID:tXf3dL8S0

香苗「あっ……」

香苗「…うん、そうだね」

梅原「おう、じゃあ戻ろうぜ。コーヒー忘れずにな」

香苗「うん」

梅原「うっし───…おい、何を勘違いしてるか知らねえけどな!」すたすた…

香苗「……」

香苗「…勘違い、か」コト…

香苗「ずずっ…」

香苗「……まだ、苦いなぁ」

~~~~~~

薫「それじゃーまったね~」

絢辻「さようなら、気を付けて帰るのよ」

薫「なにその子供扱いっ!」

純一「正当な心配だと僕は思うよ?」

梨穂子「わぁー…純一が宙を回ってる…」


74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 02:24:54.20 ID:tXf3dL8S0

梅原「大丈夫か、大将…?」

純一「なれたもんさ…」

薫「ふぃ、んじゃ改めてさいなら~」

絢辻「さようなら、それじゃあ私たちも帰るわよ」

純一「えっ? 今日は用事があるって言ってなかった?」

絢辻「………」

純一「…あはは、了解」

純一「それじゃあ梨穂子、梅原、香苗さんバイバイ」

梅原「おうよ、明日学校でなぁ」

梨穂子「ばいばい~」

香苗「まったね~」

絢辻「みんな、さようなら。…ほら行くわよ」ぎゅっ

純一「そうだね、行こうか」ぎゅっ

絢辻「…うん」


76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 02:30:07.31 ID:tXf3dL8S0

梅原「……おう、あの絢辻さんの顔は何時見ても凄いな」

梨穂子「ね~」

香苗「…なんていうか、豹変レベルよね」

梅原「あれも大将がすげーからだろうな、うっし俺らも当てられないうちに帰るか」

梨穂子「あはは、そうだね~」

香苗「そうね、ふぁーなんだかすごく疲れた気がするわ…」

梨穂子「みんなで色々と話し合ったしね。香苗ちゃんだってあの案、良く思いつたって思うよ?」

香苗「ん~、以前からこんなことやったら面白いかも~なんて考えてたの、実はね」

梅原「ほー、性別反転をか?」

香苗「…なんだか変態さんに思えるから、やっぱ聞かなかった事にして」

梅原「そりゃ無理な相談だ」

梨穂子「くすくす…なんだか純一みたいだね、香苗ちゃん」

香苗「どういうことー!?」


77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 02:36:26.73 ID:tXf3dL8S0

梅原「いやいや、アイツと一緒にするのはちょっとハードルが高いぜ?」

梨穂子「そうなの?」

梅原「おうよ、橘って男は何を考えてるのかさっぱり見当もつかねえ奴なんだ」

梨穂子「…うむうむ、それには同意かも」

梅原「だろ? この前なんてよ、放送室でカギを借りてきて───」

梨穂子「え~! どうしてそんなことに───」

香苗「……」

香苗「……」すたすた…

梅原「──だからよ、アイツには絶対に悩み事を打ち明けちゃ…ん?」

香苗「んっ? どしたの梅原君、話を続けてていいよ?」

梅原「そうか? いや、なんか隣に来たから話でもあるのかなと」

香苗「な、なんでもないよ。気にしないで良いからね」

梅原「…おう、わかった」


78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 02:42:38.82 ID:tXf3dL8S0

梨穂子「………」

梅原「んでもって、話の続きなんだけどよ」

梨穂子「あ、うん。それで純一がどうしたの?」

香苗「………」

香苗(…今はこの距離でいい。近くもなくて、遠くでもない)

香苗(私に話しかけてくれてるわけでもないし、二人っきりで居るわけでもない)

ぎゅっ…

香苗(──だけど、隣で歩けてる。声も聞こえてる)

香苗(私にとっての第一歩は、今この一歩)すた…

香苗(決して見逃しはしない、だって歩きだしたのは私だから)

香苗(一歩一歩、またどんどんと……彼に近づいて行けばいい)

香苗(この二人の距離が、ゼロになるまで)

香苗(なんの後悔もなく、私が貴方に触れる時まで───)

~~~~~


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 02:47:59.49 ID:tXf3dL8S0

絢辻「───じゃあ決定ね、今回の文化祭でやるのはそう!」

『性別反転ロミオとジュリエット』

絢辻「これで決定よ! じゃあさっそく報告をしに行ってくるから」

「すげーもんが出来そうだな!」

「えー男装するの?」

「でもでも、女装とか面白そう! 化粧するんでしょう?」

「ぐぁー! マジかー!」

香苗「……」ドキドキ

「──どうやら皆も気に行ってくれたみたいだね」

香苗「あ、橘くん…もうなんだろう、気が気でなかったわよ…」

純一「ははっ、どうして? 僕なんて安心しきって寝ちゃってたよ!」

香苗「…それはそれでどうかと思うけど、うん、でも良かった」

香苗「やりたいって──言って、本当に良かったって思ってる」

純一「………」


81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:03:25.21 ID:tXf3dL8S0

純一「…なんだか香苗さん、以前とちょっと変わったよね」

香苗「え? 変わったって…変なキャラになってる…?」

純一「ううん、そうじゃないよ。ただ雰囲気が変わった…というのかな?」

純一「──前よりもっと魅力的な女の子になったなぁ、って思ったんだ」

香苗「みっ…魅力的ぃ!? わ、私が…?」

純一「そうだよ、今の香苗さんなら大抵の男はころっといっちゃうだろうね」

香苗「ううっ…あんまりそう言う事言わないでよっ…恥ずかしいじゃん」

純一「あはは、そうかな? ホントに思ってるんだけどなぁ」

香苗「…ぅぅっ」

薫「コラ、なにか弱き女子高生を困らせてるのよ。あんたは」

純一「え? 困らせてる?」

香苗「……」

薫「アンタは余計な事は言わなくていいの、出る幕じゃないってことぐらいわかりなさいよ」

純一「えー、なんだよその言い草…」


82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:07:53.74 ID:tXf3dL8S0

薫「いーから、あんたはちょっとこっちに来なさいっ…!」ぐいっ

純一「いたた!」ずりずり

香苗「あ…」

「──なんだなんだ、相変らず元気だなあの二人は…」

香苗「…梅原君」

梅原「おうよ、良かったな無事に決まって」

香苗「あ、うんっ……本当に良かった。みんなも喜んでくれてるみたいだし」

梅原「おう! 全て伊藤さんのお陰だなっ!」

香苗「そ、そんなこと……全然…!」

梅原「んな謙遜するなって、本当の事だろ?」

香苗「…あ、ありがと」

梅原「後はそうだな、役割と担当を決めなくちゃいけねーとなぁ」

香苗「…梅原くんは、まだ何をやりたいか決まったない感じ?」


84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:13:43.35 ID:tXf3dL8S0

梅原「ん、裏方で色々と出来たら良いんじゃねえかって思ってる」

香苗「…そっか、裏方ね」

梅原「伊藤さんはどうなんだ、そこの所は」

香苗「私は特には……あ、でも梅原君的にはロミオがいいのかね~?」

梅原「うっ、まだ言うか…忘れてくれ! もう!」

香苗「ふっふっふ、いーや。忘れないよ~」

梅原「くっそ…こんなからかわれるなら言わなきゃよかったぜ…」

香苗「まあまあ、そういわないでよ。ね?」

絢辻「──みんな、ただいま」

梨穂子「…よいしょっと」ぽすっ

絢辻「ごめんなさいね、荷物運び手伝ってもらちゃって」

梨穂子「いいよ~。ちょうど部活の話し合いの帰りだったしね~」

純一「それで? 申請は通ったの絢辻さん?」


85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:18:31.51 ID:tXf3dL8S0

絢辻「ええ、勿論──先生方に反対意見もあったけれど」

絢辻「数分で了解を得て来たわ。そして私だけ一人、申請会議を抜けてきたの」

薫「へ? そんなことして大丈夫なの?」

絢辻「当たり前よ、私を誰だって思ってるのかしら」

純一「流石だ…」

梅原「…行こうぜ、なにやら始まるみたいだ」

香苗「うん、そうだね」がたっ

~~~~~

絢辻「文化祭での資金は既に貰ってあるの」

薫「準備いいわね、まだ先の話だって言うのに」

絢辻「元から話をしておいたのよ、資金だけは直ぐに取れる様にしておいてくださいってね」

純一「あー、だからあんなに忙しそうだったんだ…」

梅原「それで? 絢辻さん、この荷物は?」

梨穂子「衣装らしいよ~、以前に文化祭で使われてた奴らしくてね」


87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:22:43.52 ID:tXf3dL8S0

ぱかっ

香苗「けほっ…すごく埃っぽいっ」

純一「着れるのこれ…?」

絢辻「カビも生えてるでしょうし、それでもいいのなら着てもいいわよ?」

純一「…勘弁してください」

薫「クラスの中に、衣装を作りたいって言ってる子がいるんだけど?」

絢辻「ええ、把握してるわ。これを持ってきたのは別の理由よ」

梅原「あーつまり、参考にしろって話か」

絢辻「そういうこと、もとになるモノがあれば短期間で作れるはずよ」

薫「ひゅ~♪ さっすが絢辻さん、ねー! みんなー! これ見てみなさいよー!」

「うわ、なにこれすっご!」

「きれぇー!」

「きたねえけど、すげえ作り込まれてるな…」

香苗「そういえば絢辻さん、担当とかどうするの? まだ決まってないけど?」


88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:26:52.03 ID:tXf3dL8S0

絢辻「それは今から決めるわ。色々と揉めるでしょうけどね」

純一「揉めちゃうの?」

梨穂子「揉めると思うよ…」

純一「え? なんで?」

梅原「じゃあ橘、ジュリエットやれって言われたらやるか?」

純一「やらない!」

梅原「だろう」

梨穂子「あ、でも純一のジュリエットとか似合いそう~」

純一「やめろ梨穂子っ…そう言うと本当になりそうで怖いからっ…!」

絢辻「私の独自のアンケートだと、トップは橘くんだったり」

純一「ぐぁー! やだー!」

香苗「あはは、でも、似合いそうだよね橘君だとさ~」


89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:31:10.01 ID:tXf3dL8S0

純一「そういうことはさ! 話し合ってから決めよう! ねっ!?」

絢辻「当たり前じゃないの、さあ! みんな! ちゃっちゃと決めて演劇の準備に入るわよ!」

~~~~~

絢辻「…これで村人aは決定と」かつ

絢辻「だいたい決まってきたわね、後は───」

絢辻「──お待ちかね、ロミオとジュリエットの役を決めるわよ」

クラス一同『………』

絢辻「…誰かやりたい人は?」

薫「はいはーい! 推薦なんだけど、純一むぐぅっ!?」

純一「な、なんでもないです! 気にしないでください!」

薫「むぅー!」

絢辻「…でも、そうね。自主的に手を上げるのは少し難しいかしら」

絢辻「──では推薦したい人を上げて行って下さい、文句なしの多数決で決めましょう」


91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:38:53.40 ID:tXf3dL8S0

香苗「推薦か…」

絢辻「既に担当が決まってる人は除外してね、
   決まってないのはロミオとジュリエットに幾つかの役…あとは裏方の担当ね」

絢辻「どれも演劇には不可欠で、重要な担当よ。それなりの覚悟を要いると考えて頂戴」

香苗「……」

純一「余計な事は言うなよ薫…! お前がやればいいじゃないか!」

薫「無理に決まってるじゃない、あたしはもう裏方担当よ? 化粧係のね!」

純一「それ、絶対に他人を男を化粧して楽しみたいだけだろ…」

梨穂子「…香苗ちゃんはどうするの? まだ決まってないけど」

香苗「うん、そうだね。桜井は?」

梨穂子「私は~……その、実はちょっとロミオを狙ってたりして」

香苗「ま、マジでいってるの?」

梨穂子「やっぱり駄目かなぁ」

香苗「いや、駄目って事無いけど…桜井がやりたいっていうのが、ちょっと不思議でね」


93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:42:48.62 ID:tXf3dL8S0

梨穂子「だって、楽しそうだって思うし。それに…」

香苗「それに? なんなの?」

梨穂子「…やるなら、後悔をしたくないなぁって」

香苗「…後悔?」

梨穂子「うん、だってそうじゃないかな? 最後の文化祭で、なにか悔いが残っちゃ嫌じゃない?」

香苗「…確かに、そうだわ」

梨穂子「でしょ? 香苗ちゃんだって、絶対にやりたいことをやった方が良いと思うよ」

香苗「…」

梨穂子「ね?」

香苗「……───」

がたっ

絢辻「誰か挙手を──あら、どうしたのかしら伊藤さん?」

香苗「……」

香苗「私、ロミオ役をやりたい」すっ


94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:48:28.83 ID:tXf3dL8S0

絢辻「ロミオ役を? ……そしたら自分で自分を推薦って形かしら?」

香苗「ううん、違うのよ」

香苗「──絶対にやりたいの、ロミオ役を」

絢辻「………」

「うぉっ? すげーやる気だ伊藤の奴…」

「でも似合いそうだよね、香苗って」

「男装したらキリッとした良い男になりそうだわ」

薫「伊藤さーん! アタシも推薦するわよー!」

香苗「…え、ホントに?」

薫「勿論! それにアンタも…推薦するでしょ?」

純一「え? いいんじゃないかな、香苗さんってロミオが似合うと思うよ!」

香苗「あはは、それって褒めてるの? 貶してるの?」

梨穂子「あはは、えーと私も香苗ちゃんを推薦しまーす」

香苗「桜井、アンタやりたいって…」

梨穂子「えへへ、えっと…そんな事言ったかな?」


96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:52:15.67 ID:tXf3dL8S0

香苗「っ……はめたわね、やるじゃないの」

梨穂子「うん? あはは」

絢辻「ということらしいけど、みんなはどう思う?」

絢辻「──やる気は十分、誰よりもあると思う。私も伊藤さんを推薦するわ」

香苗「あ、絢辻さん…」

絢辻「絶対にやりたいんでしょう、ロミオ役を」

香苗「……うん! やりたいのよ私!」

絢辻「結構、じゃあどうかしら皆?」

「いいんじゃね?」

「あたしもさんせーい!」

「伊藤なら全然不自然じゃないよなー」

香苗「だーれだ今、不自然じゃないって言った奴!」

絢辻「ではロミオ役は───伊藤香苗さんに決まりって事で」カツカツ


97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 03:58:25.66 ID:tXf3dL8S0

絢辻「それではみんな、勇気あるロミオに拍手!」パチパチ

薫「ピュー! ピュー!」

純一「頑張ってね! 香苗さん!」

梨穂子「香苗ちゃんなら、どんなロミオよりもカッコ良くなると思うよ!」

パチパチパチパチワーワーヒューヒューパチパチパチ

香苗「あはは…照れるなぁ、やめてよ皆」ちら

梅原「…ん?」パチパチ

香苗「んっふふ」ぐっ

梅原「っ……はぁ…」

梅原「…」ぐっ

香苗(やった、返してもらった!)

絢辻「……では、ロミオが決まった所で。この流れに乗ってジュリエットを決めましょうかしら」

純一「──ハイハイ! 絢辻さん!」


100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 04:06:05.06 ID:tXf3dL8S0

絢辻「はい、橘くん。ジュリエット役に希望なのね」

純一「違うよ!? 推薦だって言ってたよね!」

絢辻「そういえばそうだったわね、それで誰を推薦するのかしら」

純一「びっくりした……えっとね、実は以前からある男が
   ジュリエットに向いてるんじゃないかと思ってたんだよ」

絢辻「ほう」

純一「例えるのなら、そう誰に対しても男気溢れる日本男児であり」

薫「……」

純一「約束の為ならいつだって身体張って気を張って頑張る奴であり」

梨穂子「……」

純一「僕としても大いに尊敬している、そんな男がいるんだよ」

香苗「……」

純一「僕はそんな肝っ玉のある奴をジュリエットに推薦したいんだ!」

絢辻「なるほど、では誰なのかしら?」

梅原「ま、待ってくれ!」


101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 04:09:52.62 ID:tXf3dL8S0

絢辻「あら、なにかしら梅原君?」

梅原「ひ、非常に嫌な予感しかしねえんだが…橘、それ誰の事を言ってやがる」

純一「え?」

絢辻「まだ誰とは言ってないわよ? ねえ橘くん?」

純一「言ってないけど? …まさか、もしかして梅原自分の事だと…?」

「はっずー」

「梅原ちょっと空気読めよー」

梅原「うるせぇー! な、なんなんだ…絢辻さんと橘!」

梅原「なんだかそこの二人、組んでるような空気を感じるぞ俺は!?」

薫「馬鹿言っちゃ困るわよ、梅原君」

薫「こんな大役を個人の意見で螺子負けるわけないでしょ?」

梅原「だ、だがよっ…なんだか仕組まれてるような気がして…」


102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 04:14:05.76 ID:tXf3dL8S0

「自意識過剰じゃね?」

「梅原君、ちょっと落ち着きなヨ~」

梅原「ぐっ……確かに、そうかもしれねえな…」

香苗「……」

梨穂子「香苗ちゃん香苗ちゃん」つんつん

香苗「…へ? なに桜井?」

梨穂子「大丈夫だよ、わかってるから」

香苗「な、なにを?」

梨穂子「──これはね、全部絢辻さんが考えた事だから」

香苗「…どういうこと?」

梨穂子「みてれば分かると思うよ」

絢辻「──少し落ち着いたらどうかしら、梅原君」

梅原「お、俺はっ…」

絢辻「いいの、確かにわかってる。橘くんが言っている事は…少なくとも貴方を推薦している事は」


103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 04:17:51.02 ID:tXf3dL8S0

梅原「だ、だろう! やっぱりそうじゃねえか…!」

絢辻「だけど、これは只の推薦よ? そう焦る必要はないじゃないの」

梅原「そ、そうだがっ…橘の野郎が言うと、それで決まっちまいそうな気がして…」

純一「僕にそこまでの権限はないぞー?」

絢辻「橘くんが言っている通り、彼にそこまでの権限は無いわよ?」

梅原「っ……」

絢辻「時に梅原君、話は変わるけど……目立っちゃったわね?」

梅原「えっ…?」

絢辻「この場での話よ、えらく梅原くんの存在が表立ってないかしら」

梅原「………」

「…梅原かぁ、面白そうかもな」

「女装とか似合うかな?」

「いけるんじゃない? こう、お嬢様って感じになりそう」

「ぴったりじゃん! いいねいいね!」


104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 04:22:30.23 ID:tXf3dL8S0

梅原「なっ…!」

絢辻「橘くん、推薦者は誰なの?」

純一「梅原です」

絢辻「わかりましたじゃあこの推薦に賛成の人手を上げてっ!」

ばっ!

絢辻「決定、これにてジュリエット役は梅原正吉くんに決定されました」かつかつ

絢辻「はい、盛大な拍手を送りましょう!」

ぱちぱちぱちぱちぱちぱち!!

梅原「……ってちょっと待てェ! なんだ今のスピード解決!? 置いてけぼりじゃねえか俺!」

薫「うだうだいうなー」

純一「そうだそうだー」

絢辻「…文句なしの、多数決よ? 梅原君?」

梅原「ぐっ…ごっ…!」

香苗「………」ポカーン

梨穂子「おおっ…流石絢辻さん~」


105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 04:27:14.33 ID:tXf3dL8S0

香苗「ど、どういうこと?」

梨穂子「絢辻さんがね、二人にロミオとジュリエットをやらせてあげたかったんだって」

香苗「絢辻さんが…?」

絢辻「! ……ふふっ」パチッ

香苗「……」

梨穂子「そうだよ~、それで純一も色々と考えて今の状況…なんだよね~」

香苗「……」

梅原「くそっ…やりやがったな、橘のやつ…」

香苗「……そっか、はは」

香苗「──梅原くん! 一緒にがんばろうね!」

梅原「うぇっ? ……ぐぉおお! ここまで嵌められちまったらやってやろうじゃねえか!」

梅原「──いいジュリエットを演じてみせるぜ! 俺はぁよぉ!」

香苗「私も頑張るわ!」

ワァーーーーー! パチパチパチパチ!!


107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 04:46:09.22 ID:tXf3dL8S0

~~~~~~

絢辻「詳しいことはまた後日に」

香苗「りょーかい」

梅原「…了解」

絢辻「ごめんなさいね、梅原君」

梅原「…悪いと持ってんなら、やらないでくれよ」

絢辻「ふふ、たしかにそうだわ。それじゃあ私はこれから報告書を書かなくちゃいけないから」

絢辻「また明日に」くる…

香苗「えっと、絢辻さん!」

絢辻「…なにかしら?」

香苗「その、さ…なんて言ったらいいのかわからないけど」

絢辻「お礼はいらないわよ」

香苗「っ……で、でも!」

絢辻「だって気まぐれだもの。たいした理由もないし、感謝されるような覚えもないわ」

香苗「……」


109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 04:57:51.47 ID:tXf3dL8S0

絢辻「そういうことよ、それじゃあ伊藤さん。これから頑張ってね」

香苗「っ……──ありがと! この御恩、絶対に忘れないから!」

絢辻「…大袈裟よ、くす」がらり…

香苗「……」

香苗(…恩が出来ちゃったわね、いつかちゃんと返さないと)

香苗「……」

純一「良かったじゃないか、ジュリエット役」

梅原「なんにもよくねーよっ」

純一「ははっ、そういは言いつつも。実は嬉しいんだろ?」

梅原「このっ…このっ!」

純一「痛い痛い!」

香苗「…くすっ」


110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 05:06:38.47 ID:tXf3dL8S0

自宅

香苗「ふぅー」ドサリ

香苗「……ロミオ役、かぁ」

香苗「ふっふっふー、やっちまったぜ~」

香苗「……んきゃー!」ぽふっ

ぱたぱたぱた!

香苗「………ハズい、すっごくハズい」

香苗「はぁ、思わずやりたいって言っちゃった…私ってば本当にどうしようもない…」

香苗「……」

香苗「彼が……ジュリエット役、かぁ」

香苗「……っ……」ドキドキ

香苗「…どうしよ、心臓が強くなる」

香苗「頬が、熱くなっちゃう…」


111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 05:11:21.51 ID:tXf3dL8S0

香苗「……明日が楽しみでしょうが無くなってきちゃう…」

香苗「……」もぞっ

香苗「…これでよかったんだよ、香苗」

香苗「ちゃんとあれから、一歩ずつ…歩き出してる筈だから」

香苗「あの日から…私は…」

すっ…

~~~~~

香苗「………」

『──俺は! 貴女のことが大好きだ! 今までずっと! 貴女のことしか見て来なかった!』

『部活だってなんだって、貴女に近づけるのならっ…全てをやってきたつもりです!』

香苗「梅原君…」

「おいおい、卒業式になんてやつだ…」

「梅原だろ? アイツ?」

「三年生に告白してるんだよな? 勇気あんなー」


113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 05:16:30.26 ID:tXf3dL8S0

『他の誰よりも好きだから! どんな想いよりも強いから!』

『俺は貴女にこうやって告白することができます! この場であっても好きだと伝えられるんです!』


「在校生の言葉で、なにやってるんだアイツは!?」

「止めろ止めろ!」


『どれだけ抵抗があろうとも! 俺は貴女に伝えたい!』

『──どうか俺と、付き合ってください! お願いします!』


香苗「………っ…」


~~~~~

香苗「───んっ……」

香苗「あれ、寝ちゃったんだ…ふぁ…」

香苗「………」

香苗「…またこの夢をみたんだ、私」

香苗「……やっぱり、忘れられないよね」


115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 05:21:36.82 ID:tXf3dL8S0

ポロ…

香苗「っ…すぐ泣くんだから…」ぐしっ

香苗「流れるんじゃないわよ…なに勝手に悲しんでるのよ」

香苗「───泣く権利なんて、無い癖に…」

香苗「………」

香苗「…頑張らなくちゃダメよ私」

香苗「もう、遠くから見てるのを……やめたんだから」

香苗「今度はもう、あの時の彼を見たくないんだからっ」

香苗「……絶対に」

放課後

絢辻「これ、台本よ」

梅原&香苗「え?」

絢辻「どうかしたの?」

梅原「もう、台本の準備できたのか…?」

絢辻「ええ、早いほうがいいでしょう? こういうのは」


117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 05:25:11.14 ID:tXf3dL8S0

香苗「たしかにそうだけど…」

絢辻「別にすべての仕事をやり切るワケじゃないわよ、これはってこと」

梅原「お、おう」

絢辻「台本は少なくとも基盤があるわけだから、そこから少しずつアレンジを加えていけばいいと思うわ」

絢辻「…橘君、貴方もキチンと台本をおぼえるのよ」

純一「僕は少ししか無いから大丈夫だよ」

絢辻「油断してると足元を救われるのが貴方よ」

純一「…厳しい言葉です」

梨穂子「絢辻さ~ん、ここの所どうするのかな~?」

絢辻「はーい、今行くわね。……それじゃ二人共、後は任せたわよ?」

梅原「……」

香苗「……が、頑張ろっか!」

梅原「そうだな、頑張るしかねえよな」


118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 05:30:36.40 ID:tXf3dL8S0

~~~~~

梅原「おー、ロミオ…どうして貴方はロミオなのぉ?」

「ぷーくすくす」

「梅原上手いぞ!」

「もうちょっと女の子っぽく言ってみたら?」

梅原「ぐっ、うっせーな!」

香苗「…っ…っ…」ぴくぴくっ

梅原「そして一番笑いすぎだ伊藤さん!」

香苗「ご、ごめっ…ちょ、ちょっとツボに入って…はははっ!」

梅原「ったく」がしがし

梅原「俺だって恥ずかしいのを我慢して言ってるんだぞ? そこの所をもうちっとだなぁ…」

香苗「う、うんっ…ごめ、ごめんねっ…わかってるん、だけどっ……くひっ…!」

梅原「はぁ~、まあ、これが狙いだから仕方ねえけどよ」

香苗「あははっ! やっぱだめだわ! ごめんね梅原っ…くんっ…あははは!」


120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 05:38:14.43 ID:tXf3dL8S0

梅原「……笑いすぎだっての!」ぽんっ

香苗「ご、ごめんねっ…くすくすっ…いや~、ここまでツボるとは予想外だわ~」

梅原「俺も予想外だよ…演技でコレなら、本番で女装したらどうなるんだ…」

香苗「ぶふぅっ!」

梅原「想像して噴出すんじゃねえっ」

薫「ねえねえ、アンタ達。ちょっといいかしら?」

香苗「ど、どしたの…けほっ……棚町さん?」

薫「あのね、少し化粧してどんなもんか確かめておきたいのよね」

香苗「っはぁ……あ~、化粧の伸びとか?」

薫「そそそ。出来れば肌に合うのを使いたいじゃない? でしょ?」

香苗「まあね」

梅原「お、俺は本番だけで十分だ…!」

薫「ダメよ、こっちは男に化粧は初めてなんだから。慣れておかないと」

梅原「…そっちの実験台を使い続ければいいだろ」

純一「うん?」


121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 05:43:48.16 ID:tXf3dL8S0

梨穂子「純一、動いちゃだめだよ~」

「あ、コレも使ってみない?」

「いいねぇ、これも使おうよ!」

純一「ふふん、よくわからないけれど綺麗にしてくれるって言うからさ!」

梅原(馬鹿だ…)

薫「足りないのよ純一だけじゃ、他の男子も嫌がってやらせてくれないし~」

梅原「俺だって嫌だ!」

薫「そんな事言わないでよ、ね? ジュース奢ってあげるから!」

梅原「ジュース一本と男のプライドを踏みにじるのは一緒かよ…」

香苗「梅原君、してみればいいじゃん。色々とイメージがつきやすくなるかもよ?」

梅原「…イメージ?」

香苗「そうそう、いきなり女の役をやれって言われても。
   簡単に慣れるわけじゃないし、そしたら身体から女の子になってイメージを持ちやすくするのよ」

香苗「──そうすれば今よりは上手く、ジュリエットになりきれると思ったりするよ?」


123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 06:09:49.94 ID:tXf3dL8S0


薫「そそそ! 伊藤さんの言うとおりよ梅原君! イメージよイメージ! それを大切にしていきましょ!」

梅原「…本気でそう思ってるのか? 信じるぞ? 信じちまうぞっ?」

伊藤「もちろん」

梅原「……ぐぬぬ───わ、わかった棚町…よろしく頼む」

薫「おっけ、まっかせないさーい」

薫「あはっ」ぐっ

香苗「んっ」ぐっ

梅腹「…どうしてそこで親指を立て合うんだよ、
   やっぱ普通に化粧させたいだけ──ひ、ひっぱるなよっ…」

梅原「…へ、ここに座るのか? ま、まってくれ! いきなりなにをっ……うぁあああー!」

香苗「おおー手早い対処ー」

~~~~

「橘くぅーん、こっちみて! あははは!」

純一「こうかな」キリ

「こっちこっち!」ぱしゃぱしゃ


124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 06:19:41.76 ID:tXf3dL8S0

「梅原くんも! 此方みてみて!」

梅原「ううっ…」

薫「──いやー、見事に女の子に出来たわ~」

香苗「っ……っ…っ…」ぷるぷる

梨穂子「笑いすぎだよ、香苗ちゃん~」

香苗「だ、だって梅原君もっ…橘君もっ…似合いすぎだからっ…なにそれ、ほんとっ…!」

香苗「ころされっ…る…助けて、桜井っ…!」

梨穂子「あはは、確かに似合い過ぎだよね~」

薫「そりゃー頑張ったもの、というか、頑張った程度で似合うランクまで行くあんたら何者なのよ」

梅原「知るかっ!」

純一「ほほう…なるほどなぁ、女装ってこうやってなれるのかぁ」

「このカツラとかつけてみる?」

純一「お、いいねぇ。本格的じゃないか、どれどれ」

香苗「ぶっはぁー!」


125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 06:44:23.78 ID:tXf3dL8S0

純一「どう? 薫?」

薫「似合っててムカツク」

純一「…どういうことー」

梨穂子「かわいいよ~!」

純一「ありがとう! 梨穂子!」

梅原「い、いや! 俺はカツラいらねえから!」

「いいからいいから、ね?」

「つけてみなって~」

「……梅原、お前のことは忘れない」

「ひとまず生贄になってくれ」

梅原「うぉい! 結局お前らもやらされるんだからなっ!?」

パサ…

香苗「……」

梅原「…な、なんだよ伊藤さん…」

香苗「ぶはっ」


126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 06:50:28.20 ID:tXf3dL8S0

梅原「……」

香苗「ひっ…はっ……くっ……」

薫「本気で大丈夫かしら…」

梨穂子「息出来てるの? 香苗ちゃん…?」

香苗「ひっは…ひっは……くひっ」

純一「…過呼吸じゃないよね、これ」

梅原「なわけ無いだろ、過呼吸なら倒れこんでもおかしく──」

香苗「きゅはっ……くぅー」バタリ

梅原「──倒れたぁー!!」

薫「やばっ…保健室連れて行くわよ!」

梨穂子「香苗ちゃん! 香苗ちゃん!?」

純一「梨穂子落ち着いて──まずは好きな食べ物を数えるんだ、いいな?」

梨穂子「シュークリームが一個、2個、3個、えへへ~」じゅる

薫「馬鹿なことやってないで連れて行くわよ!」


127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 06:55:19.82 ID:tXf3dL8S0

梅原「お、俺が連れて行く! 化粧は……ええい! かまうかよぉ!」ぐいっ

純一「僕も付いて行く! 他の人は絢辻さんに報告しておいて、後先生にも!」

薫「私も行くわよ! 桜井さんお願い!」

梨穂子「わ、わかったよっ」

~~~~

香苗「う、う~ん……」

香苗「…はれ? ここは?」もぞっ

香苗「……」

香苗(消毒液の匂い…それにシーツ…)

香苗「保健室? どうして私ここに…」

香苗「…ん?」ちら

梅原「すぴー…すぴー…」

香苗「…梅原君」

梅原「すぴ……うっ…」ビクン

香苗「…!」びくっ


128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 07:01:07.74 ID:tXf3dL8S0

梅原「……すぴー」

香苗(お、起きたと思った…)

香苗「というか私、どうして…」

香苗「…あ、そっか。笑いすぎて息が段々できなくなってから」

香苗「……それでぶっ倒れちゃったような、くぉ~…私…ったら何をしてるのよ…」

香苗「………」

香苗「…梅原君、もしかしてずっと見ててくれたの?」

梅原「すぅ……すぴー…」

香苗「……」

香苗(何だか、腕が暖かいような気がする…誰かに握られてたような…)にぎにぎ

香苗(まさかね、そんなわけない。だって、それは……)

香苗「……梅原くん?」

梅原「すぴぃ……ふへへ…」

香苗「………」


129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 07:05:09.51 ID:tXf3dL8S0

香苗「…寝てるの?」

梅原「むにゃむにゃ…」

香苗「……」

香苗「こんなところで、座ったまま寝たら風邪……引くよ」

すっ…

香苗「身体冷えちゃうし、それに……」

すすっ…

香苗「……それに」

すっ…

梅原「すやすや…」

香苗「……」

ぴと

香苗「それに……そんなに無防備だと、キス…されちゃうよ…」


130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 07:12:24.20 ID:tXf3dL8S0

梅原「すぴー…すぴー…」

香苗「……っ…」ドキドキ

香苗(…だめ、そんなことして嫌われちゃったら身も蓋もない)

香苗(私は決して彼を傷つけたいわけじゃないんだから、ただ私は…あの時の梅原くんを見たくないだけ)

香苗(遠くから見てるだけなんて、そんな後悔をしたくなくて)

香苗(ただ近くで…貴方を見ていたいだけ…)

香苗「…だけど」

梅原「すぷゅぅ……すぅー」

香苗「………」ドキドキ…

香苗「……ごめんね、今の私はどうも…コレ以上…」ドキ…

すっ

香苗「──我慢、出来ないと思う…から」

……ちゅっ


134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 08:41:05.71 ID:0anYOHxS0

香苗「────」

香苗「──……」すっ…

香苗「…ぁ……」

香苗(…唇が凄く熱い)

香苗(自分のじゃない熱が唇に残ってる…)

香苗(私、しちゃったんだ……彼にキスを…私)

~~~~

『───貴女がいるから……よね』

~~~~

香苗「っ!」びくっ

香苗「あっ…わた、し……っ」

梅原「──ぅあ? はっ!? やべ、寝てた!」ジュル

香苗「………」

梅原「おおう、起きたのか伊藤さん? すまねえ、なんか俺寝てて…伊藤さん?」

香苗「……」ぽろぽろ…


135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 08:49:13.70 ID:0anYOHxS0

梅原「は?」

梅原「ちょ、ちょっと伊藤さん…? なんで泣いてるんだっ?」

香苗「…ごめん…っ」ぎゅっ

香苗「ごめんね…私、私またやっちゃった…」ポロポロ…

梅原「はいっ? 何言ってやがんだオイオイ。まだ苦しいのか?」すっ…

香苗「………っ…」ぎゅうっ

梅原「苦しいなら無理するなよ……ほら、大丈夫か」さすさす

香苗「………ごめんね、梅原君…」

梅原「謝るなよ、気にすんなって…先生呼んでくるか? 平気なのか?」

香苗「うん、うん……ぐすっ」

梅原「おう…」さすさす…

香苗「………」

~~~~

香苗「…あはは、ごめんね。急に泣いちゃってさ」

梅原「おーびっくりしたぜ、でも今は平気なんだろ?」


137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 08:55:43.32 ID:0anYOHxS0

香苗「うん、平気。…そういえばクラスのみんなは?」

梅原「あらかた帰ったと思うぞ。まあ何人かは文化祭準備で残ってるかも知れねえが」

香苗「そっか」

梅原「…悪いことをした、とか思ってるんじゃねーだろうな?」

香苗「えっ?」

梅原「別に倒れたからって、雰囲気壊れてなんかいねーからな?
   むしろあのクラスは盛り上がったわ、死んだ伊藤さんの為に頑張るぞ! …みたいな感じでよ」

香苗「死んでない死んでない、でも…そっか。うん、ありがと」

香苗「安心した、その言葉を聞いてね」

梅原「ったくよー、笑い過ぎで過呼吸とか普通有り得ないだろ。何やってるんだよ伊藤さん」

香苗「…あはは、なんだろ。やけにツボに入ったんだよね」

梅原「そんなに面白かったのか…俺らの女装姿…」

香苗「くすくす、うん! 稀に見ぬ似合いっぷりで」

梅原「…はっは、そりゃすげーぜ」

香苗「…ふふっ」


138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 09:02:20.29 ID:0anYOHxS0

梅原「………」

香苗「…? どうしたの梅原君?」

梅原「あ、いやっ……大したことはねえけど」

梅原「一つだけ、伊藤さんに言っておこうと思ってな」

香苗「え?」

梅原「お、俺はよっ…その~」ポリポリ

梅原「演技がさ、すっげー苦手なんだ…実は…」

香苗「……」

梅原「ほら! 昔っから嘘とか苦手でさ、よく橘にも騙されたりなんかしてさ…!」

梅原「……まあ、なんていうか。すっげー不安なんだわ、ジュリエットの役」

香苗「…それで?」

梅原「もしかしたら……伊藤さんにはこれから迷惑をかけるかもしれねえってことだ」

香苗「別に私は…だって誰だって演技をしろって難しいじゃん、でしょ?」

梅原「…まあな」


140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 09:07:12.29 ID:0anYOHxS0

梅原「──だけど、絶対に成功したいだろ。今回の劇は」

香苗「……」

梅原「初めてだからって、苦手だからって、んなもんで言い訳してる場合じゃねえんだ」

梅原「最後の最後の文化祭だ、みんなだって驚くほどヤル気を出してる」

香苗「…そうだね、うん」

梅原「だろ? だったら俺も本気でやんねーとダメなんだ、例えジュリエット役だったとしてもな」


梅原「──俺は後悔なんてものを心に残して、卒業するのだけは嫌だから」


香苗「……すごいな、梅原くんは」

梅原「なんでだよ、ただの頑固者だけだ」

香苗「ううん、凄いって。みんな真似できないよ、そんな強い所はさ」

梅原「そ、そうか? はは、照れちまうなそう言われると…」

香苗「……」


141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 09:13:50.36 ID:0anYOHxS0

香苗「…じゃあ頑張ろっか二人で」

梅原「ん?」

香苗「私と梅原君、二人で秘密の特訓……してみる?」

梅原「秘密の特訓?」

香苗「そう、演技が苦手な梅原くんのために。私と二人でどこか河原とかで練習するの」

香苗「…二人だけだと、ほら。色々とやりやすくない?」

梅原「まあ、確かにそうだな」

香苗「どう? やってみる?」

梅原「……」

香苗「……」ドキ…

梅原「──うっし、やってみっか! 秘密の特訓とやらを!」

香苗「え、本当に?」

梅原「オウヨ、不安がってる今よりちっとは良くなりそうな気がするしよ」


142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 09:18:33.97 ID:0anYOHxS0

香苗「良かった、断られたらどうしようかなって思っちゃったわ」

梅原「どーしてだ? …もしかして」

香苗「えっ!?」

梅原「──伊藤さんも、実はロミオ役が不安だったオチか?」

香苗「……」

梅原「ははっ、俺と一緒か! んじゃ頑張ろうぜ二人でよ!」

香苗「……ばか」もぞ…

梅原「って、おい。伊藤さん? どうして毛布の中に戻るんだ…? おーい?」

香苗「……」

梅原「伊藤さ~ん?」

香苗「……バカ…」


香苗「……私の、馬鹿」ぼそっ


143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 09:25:43.33 ID:0anYOHxS0

数分後

がら…

絢辻「失礼します」

梅原「ん、おう絢辻さん」

絢辻「…あら? 貴方だけ?」

梅原「まな、伊藤さんか?」

絢辻「ええ、そろそろ最終下校時間だから」

梅原「なるほどな、あ~伊藤さんなら先に帰ったぜ、親御さんが迎えに来てよ」

絢辻「了解したわ、じゃあ梅原くんは何をここで呆けているの?」

梅原「うっ…」

絢辻「まさか文化祭の準備をサボってる訳じゃあ」

梅原「ち、ちげーよ! って、違います。本当にそんなつもりはなねえからさ…」

絢辻「じゃあ理由はなんなの」

梅原「……れ、練習してたんだよっ」

絢辻「練習?」


144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 09:32:01.98 ID:0anYOHxS0

梅原「だってよ、教室だとやりにくいだろ…? みんな見てくるもんで集中も出来やしねえ」

絢辻「本番はもっと大人数に見られるから、今のうちに慣れておかないと」

梅原「ぐっ…だがよ! 今はその、台本を覚えなきゃいけないだろ? 集中力ってのは大切な筈だぜ?」

絢辻「時に慣れない現場だと、どれだけ時間を掛け覚えた記憶も、ふとしたきっかけで全て忘れるわ」

梅原「…勘弁して下さい、絢辻さん」

絢辻「ふふっ、つまらない言い訳をしたお返しよ」

梅原「……お見通しってわけか、敵わねえな絢辻さんには」

絢辻「もちろん、伊藤さんが帰ったのなんて嘘でしょ?」

梅原「……」

絢辻「お手洗いに行っているか、もしくは他のところへ行っているか。
   どちらにせよ梅原くんが伊藤さんの帰りを待ってることぐらい、見てわかるから」

梅原「…まいった、降参だ」

絢辻「正直で結構、だけど早く帰ってちょうだいね? 私も戸締りして帰るつもりだから」

梅原「わかった、すぐに買える支度するぜ」

絢辻「ありがと、ふふっ」


147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 09:38:40.47 ID:0anYOHxS0

絢辻「それじゃあ夜道は気をつけて、主役が怪我なんてしちゃダメよ?」くる…

梅原「あー、ちょっと待ってくれ絢辻さん」

絢辻「ん、なにかしら?」ちら

梅原「…少しだけ、話したいことがあるんだが」

絢辻「話し?」

梅原「おう、少しの時間でいいからよ」

梅原「───あの卒業式のことについて、『また』話しをしたいんだ」

絢辻「………」

~~~~

香苗「…ふぅ、よかった間に合った」

香苗「カバンカバンっと、あった。私のと梅原くんの」ぎしっ

香苗「よし、これからどこか広いところでも行って練習───」

「──あれ、香苗さん?」

純一「元気なったの? よかった~」


148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 09:45:37.04 ID:0anYOHxS0

香苗「橘くん、ごめんね? 心配かけちゃってさ…」

純一「ううん、香苗さんが来にすることじゃないよ。寧ろあのあと、僕ら凄く怒られたし」

純一「──あなた達の格好は、もはや凶器よ! 扱いには注意しなさい! って絢辻さんに…とほほ」

香苗「凶器って、くすくす。確かにそうかもしれないね~」

純一「香苗さんまで……でも、それほどのインパクトが
   あったほうが本番でもバッチシだろうね、きっとさ」

香苗「あったりまえじゃん! だからもっともっと可愛くならなきゃだめだね~」

純一「どうしよう、僕の可愛さには限度がないのだろうか…」

香苗「あはは」

純一「ははっ、おっと…そういえば誰か待たせてるの? カバン2個持ってるしさ」

香苗「え? あ、うん。梅原くんを保健室に…」

純一「梅原を? そうか、ずっと寝てた香苗さんを見てたのか……なにか悪戯されてないよね? 大丈夫?」

香苗「えぇっ!? だ、大丈夫って思うけど…?」


149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 09:54:40.29 ID:0anYOHxS0

純一「アイツは信用しちゃいけないよ? カッコつけることは得意だけど、
   裏では何を考えてるかわからないからね。きっとそれは…口ではいけないことをドロドロと…!」

香苗「ま、まかさ…というか橘くん、あれだけ良い奴だってジュリエット役に推薦してたじゃん」

純一「え? まあ絢辻さんが言えって言ったから、僕は言っただけだよ」

香苗「へ? えっと、特になにも…橘君的に思うことはなく?」

純一「うん、丸々絢辻さんが言った言葉を言っただけだね」

香苗(もしかして、気づいてないの? 私の…彼への気持ちとか)

純一「?」

香苗(あー……気づいてないっぽい、絢辻さんよく振り向かせられたなぁ…この橘くんを…)

純一「…なにか良くないことを思われてる気がする」

香苗「う、ううん! そんなことないってっ」

純一「本当に?」

香苗「ホントホント!」

純一「ならいいけど、よし。元気そうな香苗さんも見れたことだし、教室の戸締りするよ」


154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 10:24:26.65 ID:0anYOHxS0

香苗「あ、もうそんな時間なのね。忘れてたわ」

純一「うん、僕も香苗さんと同じで絢辻さんを待たせてるからさ、早く家に帰ろうよ」

香苗「ええ、そうね」

保健室前廊下

純一「……ん、あれは」

香苗「あれ? 梅原くんと……絢辻さん?」


絢辻「…」

梅原「…」


純一「……なんだろう、変な雰囲気だ」

香苗「えっ? そ、そうなの?」

純一「うん、何となくだけどね…多分アレは絢辻さん、怒ってる…?」

香苗「怒ってる? 梅原くんにってこと?」

純一「………」

香苗「…橘くん?」


156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 10:28:55.77 ID:0anYOHxS0

純一「ちょっと様子を見てくるから、香苗さんはここで待っててくれるかな」だっ

香苗「え、ちょ、ちょっと橘くんっ…!?」

たったった

香苗(な、なんなのよ……怒ってるって、絢辻さんどうして梅原くんに…?)

香苗「っ……私も気になるじゃんっ」だっ


絢辻「──ホラきたわよ」

梅原「……」

純一「…絢辻さん、落ち着いて」

絢辻「貴方は黙ってなさい、今は梅原くんと会話してるの」

純一「黙ってられないよ、絢辻さんが怒ってるんだ。訳を知る権利は、僕にだってあるはずだよ」

梅原「……」

香苗「えっと…なにがあったっていうの…?」

梅原「…なんでもねえよ」


157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 10:33:21.72 ID:0anYOHxS0

香苗「っ…」びくっ

純一「…梅原、なんて声出すんだよ。びっくりしてるじゃないか、香苗さんが」

梅原「……」

絢辻「ねえ梅原くん。なんでもなくは無いでしょう、
   私に聞くぐらいなら、一番あやしい人に聞くべきじゃなくて?」

梅原「…だから俺の勘違いだった、で、終わりでいいだろうが」

絢辻「良くないわよ、変に疑われたまんまだと気持ち悪いわ」

絢辻「貴方だってわかってるんでしょう? …伊藤さんが一番怪しいのだと」

梅原「……」

香苗「わ、私…? なにがどうなってんのっ?」

純一「…梅原?」

梅原「──はぁ、なんだよ本当に…こんなつもりはなかったっていうのによ…」

絢辻「……」


158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 10:38:06.92 ID:0anYOHxS0

梅原「…しょうがねえ、直に聞いておくよ」

梅原「なあ、伊藤さん。覚えてるか?」

香苗「なにが…?」

梅原「──俺が卒業式で、先輩に告白した時のことだよ」

香苗「っ……」

梅原「まあ誰だって忘れることは出来ねえよな、今になっても誰だって覚えてる」

香苗「…覚えてるけど、それがどうかしたの?」

梅原「おう、あのあと直ぐにきっぱり断れたろ?」

梅原「『──ごめんなさい』ってな、覚えてるか?」

香苗「うん、覚えてる」

梅原「んだからって何のことも無いんだけどよ、実にその通りだし、なんの意味も篭ってない」

梅原「…だけどな、実はあのあとこっそりまた──先輩に会ってるんだ、俺」


160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 10:42:47.72 ID:0anYOHxS0

純一「え…?」

香苗「………」

梅原「卒業式が終わって、先輩が一人の時を狙って、もう一度会いに行ったんだ」

梅原「…卒業式での謝罪を込めて、話をしにいったんだ」

絢辻「……」

梅原「──その時よ、実はもう一回だけ……考えてみてくれないかって、言っちまったんだ」

純一「…情けないな、梅原…」

梅原「わかってるよ、言ってくれるな。だけど、やっぱ後悔が残っちまってたんだよ……ちっとばかし」

梅原「きちんと二人っきりで先輩の話を聞きたかったんだ、
   どうして、なんて聞いちまえばもっと辛くなるのはわかってたけどよ」

梅原「──そしたら先輩は、こう言ってくれたんだ」

『──四時にここで、待ち合わせ。そこで話しをしよう』

梅原「ってな」

絢辻「……」


161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 10:48:03.69 ID:0anYOHxS0

純一「…それで? 先輩と会って何を話したんだ?」

香苗「……」

梅原「…いや、何も話してねえよ」

純一「え?」

梅原「《すっぽかされたんだ、約束の時間が過ぎても、夜になっても先輩は来なかった》」

純一「っ……!?」

梅原「…おうよ、すまねえな。橘、こんな話しを聞かせちまって」

純一「梅原……お前…」

梅原「同情すんなって、本当に情けなくなっちまうから」

純一「……」

梅原「…だけどよ、俺は信じられねえんだ。あの先輩が約束の場所に来なかったことが」

梅原「どうして、なんでだって、いくら考えても分からなかった」

梅原「…泣きてえのに、全然泣けねえんだ。何が起こってるのかちっとも頭が理解しやがらねえ」

梅原「──そうしてるうちに、ふと、思いついたんだ」

梅原「俺と合う前に、誰か先輩と会ってたんじゃねえかって」


162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 10:53:10.52 ID:0anYOHxS0

梅原「だから先輩は居なかった、もう俺と話しをする必要がないと判断した」


梅原「──もしくはその他の誰かに、俺への言付けを頼んだんじゃねえかってな」


絢辻「…それで私を疑ったというわけ、なんて言ったって、あの卒業式で梅原くんが告白するように」

絢辻「手配したのは全て、私がやったことだもの」

純一「あ、絢辻さんがっ?」

絢辻「ええ、それなりに対価は貰ったわよ。大いにね」

梅原「……」

絢辻「だけど、私は卒業式内でのことはやってあげると言ったはずよ」

梅原「ああ、あれは確かに俺の独断だった。絢辻さんは関係ねえよな」

絢辻「……」

純一「ちょ、ちょっと待って! とにかく約束の場所に先輩が来なかったことはわかったけど…!」

純一「──どうして、香苗さんが怪しいの…っ? 全然、関係無いじゃないか!」


163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 10:57:30.51 ID:0anYOHxS0

香苗「………」

純一「だ、だよね? 香苗さんは別に関係ないよね…?」

香苗「………」

純一「…香苗さん?」

梅原「やっぱり、なにか知ってんのか。伊藤さん」

香苗「っ……」

梅原「…んだよ、やっぱりそうか。はぁ、あの人は本当に…」

香苗「……」

梅原「…すまねえ伊藤さん、あの人はなんて言ってたんだ?」

梅原「どういう経緯であの人が伊藤さんに言付けを頼んだかは、わからねえけど」

梅原「どうか教えてくれ、先輩は俺になんて言ってたんだ?」

香苗「…」

香苗「……《もう大丈夫》って言ってたよ、先輩は」


164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 11:01:25.15 ID:0anYOHxS0

香苗「……もうワタシが居なくても、うめくんは大丈夫って言ってた」

梅原「…そっか、先輩はそういってたか」

絢辻「……」

純一「大丈夫って…」

絢辻「…もういいわよね、私たちは行くわよ」

梅原「すんませんした。変に疑っちまって」

絢辻「いいわよ、それよりちゃんと話を聞いておきなさいよ」

絢辻「──文化祭に支障をきたさないよう、しっかりとね」

香苗「……」

絢辻「さあ、帰るわよ橘君」ぐいっ

純一「えっ? でも…!」

絢辻「いーから、早く!」ぐいぐいっ

純一「う、梅原ぁー! 香苗さーん! 喧嘩はしちゃだめだよー!」


166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 11:05:00.06 ID:0anYOHxS0

梅原「………」

香苗「………」

梅原「場所移すか、近くの公園でもいいか?」

香苗「…うん」

公園

梅原「……その、な」

香苗「……」

梅原「他に先輩は何も言ってなかったのか?」

香苗「…それだけ、特に何も言ってなかった」

梅原「そうか、そうだろうなぁ」

香苗「……」

梅原「──いやー! あんがとな! すっきりしたぜ!」ぱんっ

梅原「まっさか本当に伊藤さんが先輩の話をきいててくれてたとはよぉ~!」


168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 11:13:55.11 ID:0anYOHxS0

梅原「今まで何でかって、ウジウジと悩んでた俺を殴り飛ばしたいぜ~! あっははは!」

香苗「…梅原君」

梅原「おう、なんだ伊藤さん!」

香苗「…どうして、怒んないの」

梅原「へ? 怒る?」

香苗「…さっきの絢辻さんの時みたいに、どうして私に怒ったりしないの」

梅原「怒ったりしないのって……そりゃ、起こる必要がないからだろ?」

香苗「っ…だ、だって今まで! ずっと黙ってたんだよ私…っ?」

梅原「……」

香苗「ずっとずっとっ…梅原くんにとって大切な言葉を、私だけが一人で隠し持ってた…!」

梅原「…伊藤さん」

香苗「それなのにっ……私、私はっ…!」ぎゅうっ…

梅原「……」

梅原「…いいって、気にすんなよ。伊藤さんは悪くねえから」


169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 11:19:59.49 ID:0anYOHxS0

香苗「っ…悪いよ、こんな私悪いにきまってるっ…!」

梅原「いーや、悪かねえよ。……悪いのはあの先輩だ」

香苗「…っ…!」

梅原「俺は怒ってやりたいんだ、先輩に。どうして俺に言わずに、伊藤さんに言付けを頼んだのかってよ」

梅原「そんな重たい責任を、どうして伊藤さん何かに背負わせたのかってよ!」

香苗「梅原くん…」

梅原「…だけど、あの人は理由なしにこんな無責任な事はしねえ。絶対だ」

香苗「……」

梅原「今は先輩と簡単に会話できるような状況じゃない、
   今直ぐにでも理由を聞きに行きてえが我慢しなきゃいけない」

梅原「とにかくいまの現状で、伊藤さんが悪いってことは…絶対にないからな」

香苗「でも…」

梅原「でももクソもねえよっ! 伊藤さんっ!」

香苗「っ…」


170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 11:25:15.09 ID:0anYOHxS0

梅原「だってよ、そのことを言わなかったのは…俺のためだろ?」

香苗「…それはっ…」

梅原「わかってるよ、俺ってば振られてから……ちょっと低飛行気味だったろ?」

香苗「……」

梅原「まあ原因は先輩が来てくれなかったことだったけどよ、だが、あの時に…」

梅原「…伊藤さんが正直に言ってくれてたら、もっと落ち込んでたと思う」

梅原「裏切られたって思ってた気持ちは治るだろうけどよ、
   それでも…振られて荒んでた気分は更に悪化してたと思うぜ?」

香苗「……」

梅原「あんがとよ、嬉しかったぜその気遣い。そしてごめんな、変に気苦労させちまってよ」

香苗「……っ…」

香苗(…嘘つき、本当は教えて欲しかったくせに…)ぎゅっ…

梅原「んーーーーーーーーーーー! くっそー! やっぱ振られちまってたかぁ~! だよなって思ってたぜ~!」


172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 11:33:14.96 ID:0anYOHxS0

梅原「いや、俺も何で二回も告白しようとか思っちまったんだろうな、ホンット」

梅原「はぁーあ──」ぎゅっ

梅原「──後悔したくない、なんて言い訳だろ…そんなのっ…ただの諦めが悪いだけじゃねえかっ…」

梅原「くそがっ…くそっ…!」

香苗「………」

~~~~

絢辻「どうして伊藤さんが怪しいと分かったのかって?」

純一「…うん、確かに香苗さんは認めたけど。
   それでも外れてたらどうするつもりだったの?」

絢辻「…はあ」

純一「え? どうしてため息をつくのさ…」

絢辻「本当にわかってなかったのね、
   相変わらずきっかけがないと本当に頭が働かない人だわ」

純一「む」

絢辻「拗ねないの、だって本当のことじゃない」


173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 11:39:49.91 ID:0anYOHxS0

純一「じゃあどういうことだっていうんだよ、絢辻さん。馬鹿でどしようもない僕に教えてよ」

絢辻「ええ、余計なことをする前に釘を差しておくわ。きちんとね」

絢辻「──ここ数日の伊藤さん、変じゃなかったかしら?」

純一「え…?」

絢辻「そうね。わかりやすく言えば…そう、文化祭の準備が始まるぐらいの時期ね」

純一「……」

絢辻「やけに前に出てくる節がなかった?」

純一「…そういわれれば、そうかも知れない」

絢辻「でしょう、それに梅原君のこと」

純一「梅原?」

絢辻「ええ、伊藤さんは特に梅原くんの前に出たがってるように思えたのよ」

純一「うーん…」

絢辻「言い換えれば、『梅原くんの役に立ちたいと感じる立ち振舞』ね」


174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 11:45:24.37 ID:0anYOHxS0

純一「…そうだったかな? こう、計画的に感じるものはなくて…」

絢辻「──恋するオトメ、のようだったと?」

純一「そうそう! それだそれ! やっとすっきりした…って恋!?」

絢辻「いやいやちょっと待ちなさい、そこもう驚くところじゃないわよ」

純一「そ、そうなの…? えっ! でも香苗さん梅原にっ…?」

絢辻「まあ、確かにそう思わせる雰囲気だったわよね。だけど…」

絢辻「…私が思うに、もっと伊藤さんはガッツリ向かう性格だと思ってる」

絢辻「自分の恋には、正直に、熱く燃えるように走っていくような気がするのよ」

純一「…うーん、女の子はわからないよ? どんな顔だって持ってるし…」

絢辻「…誰を見てそんな事言ってるのかしらねぇ」

純一「は、ははっ…どんな絢辻さんだって愛してるってことだよ!」

絢辻「…ま、まあいいわ。それなら」


175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 11:51:47.45 ID:0anYOHxS0

純一「ほっ…」

絢辻「とにかく私は伊藤さんがらしくないと思ってた、まるで出そうになる感情を押しこらえてるような」


絢辻「──恋することを、頑張って押し留めてるような。そんな頑張りを感じたの」


純一「恋することを、押し止める頑張り…?」

絢辻「そう、例えばこの私とあなたの距離」

絢辻「…どう思うかしら?」

純一「近いよ、ちょっと緊張するぐらいに」

絢辻「私もよ、だけど伊藤さんはこれを…決して近づけないようにしてるはず」

純一「……」

絢辻「きっと、できれば、いつかは、未来に。──そうやって今から始めようとはせず」

絢辻「…将来はこの距離を近づけられるのだと、自分を騙しこんで」

絢辻「梅原くんのために、役に立ち続けようと思ってると」


177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 11:57:29.87 ID:0anYOHxS0

絢辻「…慣れないことをしてるんでしょうね、いつも顔が真っ赤だったじゃない」

純一「…そういわれれば、そうだったかもしれない」

絢辻「多分、それは…後悔してるんでしょうね」

絢辻「──梅原くんの先輩から貰った言付けを、言えなかったことに」

純一「……」

絢辻「伊藤さんはそれをずっと後悔してる、だからこそ、梅原くんにあそこまで頑張るのよ」

絢辻「──不自然な恋の頑張りを、ね」

純一「…絢辻さん」

絢辻「無理よ」

純一「まだ何も言ってないじゃないか」

絢辻「言わなくたってわかってる、私達にできることなんてなにもないわ」

純一「そ、それでも! 可哀想だよ…! そんなの、僕は…!」

絢辻「見過ごしなさい、絶対に」

純一「どうしてさっ」

絢辻「私達まで後悔することになる」


178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 12:02:21.06 ID:0anYOHxS0

純一「そんなのっ…!」

絢辻「…出来るっていうのかしら、本当に?」

純一「っ…絢辻さん!」

絢辻「出来るわけない、わかってるでしょう。私たちは幸せになったばかりよ」

純一「…だけど」

絢辻「人の幸せを願うには早すぎる。それに、
   手を出していい問題でもないことをわかってちょうだい」

純一「……」

絢辻「…それにね、橘くん。もう遅いわよ、きっと」

純一「え…?」

絢辻「もう既に伊藤さんは決断をしてるはずよ、バレてしまったからには…きっとそう思ってるはず」

純一「絢辻さん…? ど、どういうこと…?」

絢辻「さあ? …でも、私たちは明日に分かるはず」

絢辻「──あの二人は今日、覚悟を決める筈だろうけど」


179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 12:09:54.81 ID:0anYOHxS0

~~~~~

香苗「───梅原君…」すっ…

梅原「っ…すまねえ、ちっとどうしようもなくなっちまってさ…」

香苗「……」

梅原「これじゃあ…はは、文化祭でも迷惑かけちまいそうだよな、俺…」

香苗「……」

梅原「すまねえな、俺って本当にどうしようもない───」

どがっ!

梅原「──痛っ!?」

香苗「はぁっ…はぁっ…」

梅原「えっ? あれ? い、伊藤さん…? 今、背中殴った…よな?」

香苗「うじうじするなッ! 梅原正吉ッ!」

香苗「アンタがそんなんでどうするのよッ! いっぱいっぱい、なんで頑張ろうとしないのよ!!」


181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 12:15:34.15 ID:0anYOHxS0

梅原「え……」

香苗「頑張ったんだよね!? その人のために、好きでありたいって頑張り続けたんだよね!?」

香苗「それなのにっ…たった二回振られただけで、諦めちゃっても言いワケ!? ねえそうなのッ!?」

梅原「い、伊藤さん…?」

香苗「アンタはっ…! そんなヤツじゃない! 私はそれを知ってるよ!!」

梅原「っ…」

香苗「あの時の先輩はっ……きっと本当に梅原くんを思ってたはず!」

香苗「だけどやっぱりッ…なにかしらの理由があって頷くことが出来なかったかもしれない!」

香苗「それを簡単に確かめることができないってッ…言わないでよっ! 弱虫! ばかっ!」

梅原「……」

香苗「あ、アンタはっ…後悔してるわけでも、諦めが悪いわけでもないよそれ!!」

香苗「──答えを知ることを逃げてる!! 今の梅原くんはただの弱虫だもん!!」


182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 12:22:39.10 ID:0anYOHxS0

梅原「……」

香苗「ばかっ…! 言わないでよ、そんな事っ…!」ぼろぼろ…

香苗「そんなの、駄目じゃんっ…きっと、そんなのっ…梅原君が…」

香苗「…可哀想でしょっ…! ぐしっ」

香苗「っはぁ…ふざけないでよ、そんなの許さないんだからっ…!」

梅原「え…」

香苗「絶対絶対、許さないっ…あーもう! コレでよかったんだよ最初から!」

香苗「……告白するよ、また先輩に」

梅原「こ、告白って……まさか三回目をしろってか!?」

香苗「あったりまえじゃない! 絶対にさせてあげるんだから!」

香苗「…梅原くんにまだ悔いが残ってるって、思ってるんだったら!」

香苗「──その気持はちゃんと相手に届けなきゃ、いけないんだよ絶対に!」

梅原「ど、どうやって…だよ?」


183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 12:28:18.46 ID:0anYOHxS0

梅原「俺はもう……あれだけのことをやっちまったんだ、そんな機会なんて…」

香苗「──文化祭がある」

梅原「っ…文化祭の劇で、やれっていうのか…? ムリムリ!」

香苗「…無理じゃない、梅原くんならきっと出来るよ」

梅原「ど、どうしてだよっ…俺はもう先輩のことは諦めようとしてるんだぜ…?」

香苗「じゃあ、ポケットに入ってる生徒手帳の…中の写真、今ここで破って見せて」

梅原「っ……何で知ってるんだ…!」

香苗「いいから」

梅原「ぐっ…わ、わかったよ! 破けばいいんだろっ? なんだよ…」すっ…

ぺら

梅原「…コレを破けばいいんだな、そしたらその意味のわからねえ目的をやめてくれるんだな?」

香苗「うん…ぐすっ…」

梅原「んなの、簡単に決まってらぁ……」ぐっ…

梅原「……あれ?」


186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 12:43:49.93 ID:0anYOHxS0

ぐっ…ぐぐっ…

梅原「く、くそっ…そんな訳──」

香苗「──結局はそうなんだって、梅原君」

梅原「ち、違う…俺はもう…!」

香苗「違うもんか、それがアンタの答えなんだよきっと」

香苗「──先輩のことを諦めきれてない、それが梅原くんの答えだって!」

梅原「っ……」

香苗「だったら…立ち向かわなきゃ、ちゃんと現実にさ!
   逃げないで男らしく突っ込んでいきなよ! 前みたいに!」

香苗「男がグジグジと悩んでんじゃないやい!!」

梅原「っ───……」

香苗「はぁっ…はぁっ…平気だよ、私もちゃんと付いててあげるから…」

香苗「ね? だから…」すっ

香苗「頑張ろうよ、今度こそ…キチンとスッキリさせよう梅原君?」


187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 12:48:05.76 ID:0anYOHxS0

梅原「お、俺は……」

香苗「…大丈夫だから」ぎゅっ

香苗「この手に握ってる、写真の人は……必ずアンタにとって大切な人になる」

梅原「……」

香苗「きっと、そうなるから」

梅原「…なんで、そこまで…」

香苗「うん…?」

梅原「俺の為に…やってくれるんだ…?」

香苗「ぐすっ…えへへ、なでかってそれは……」

香苗「……私がロミオ、だからじゃないの? ねえ、ジュリエット」

梅原「……は、はは、なんだよそれ…」

梅原「ロミオだから…手助けしてくれるのか? 俺のことを?」

香苗「そうだよ、なんか文句でもあるの? うん?」


188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 12:53:20.38 ID:0anYOHxS0

梅原「……」

梅原「……無い、全く無いぜ」

香苗「ふふっ、んじゃ決まりね!」

香苗「…三回目の告白、絶対に成功させるわよー!」

梅原「…おう」ぎゅっ

香苗「声がちっさーい! おー!」

梅原「お、おー!」

香苗「おー!」

~~~

その日、夢を見た。

遠い記憶の片隅に、だけど忘れることの出来ないモノで。

ただひたすらに、その時の私は焦っていたことを覚えてる。

香苗「はぁっ…はぁっ…」

何故そこまで息を切らしていたのだろう。

何故そこまで急いでいたのだろう。


189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 12:59:09.64 ID:0anYOHxS0

全てが濃い霧のようなもので曖昧になっていて。

一体何時の記憶なのか、今の私には少しも分からなかった。

香苗「はぁっ…だめだ、もう間に合わない…」

何度見返したのだろう腕時計を確認し。前方へと視線を向ける。

先には白い霧しか無く、目指しているものなんてちっとも見えはしない。

香苗「っ……」

焦燥がゆっくりと、諦めへと変わっていく。

もう私だけの力では無理だ。この霧は晴れ渡すことなんて出来ないのだから。

───その時、風が吹いた。

立ち込めていた霧は急激に一掃され、私の視界はよりクリアのものになっていく。

「……」

霧が消え去った先に、一人の男性が立っていた。

その人はゆっくりと私に手を伸ばし、そして優しい声色で話しかけてくる。

「──もう大丈夫、後は俺に任せておけ」


190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 13:03:58.42 ID:0anYOHxS0

 この夢は何時ここで終わってしまう。

 続きを見たいと思っても、私はもう見れることは出来ないと分かってしまっていた。

香苗「──……」ぱちっ

香苗「……朝」

 ──もう続きなんてものは、私自信が諦めてしまったのだから。

香苗「さーて、学校だぁー!」

ばさぁ!

~~~~

シィーーン…

梅原「……」

香苗「……」


純一「っ…ゴクリ…」

薫「何この空気…」

絢辻「シッ! 静かに!」


191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 13:12:34.90 ID:0anYOHxS0

梅原『──ああ、ロミオ様、ロミオ様! なぜあなたは、ロミオ様でいらっしゃいますの…?』

梅原『お父様と縁を切り、家名をお捨てになって!もしもそれがお嫌なら、せめてわたくしを愛すると、
   お誓いになって下さいまし。そうすれば、わたくしもこの場限りでキャピュレットの名を捨ててみせますわ』

香苗『 黙って、もっと聞いていようか、それとも声を掛けたものか?』


梅原『わたくしにとって敵なのは、あなたの名前だけ。たとえモンタギュー家の人でいらっしゃらなくても、
   あなたはあなたのままよ。モンタギュー――それが、どうしたというの? 』

梅原『手でもなければ、足でもない、腕でもなければ、顔でもない、他のどんな部分でもないわっ…』

梅原「けほこっ…駄目だ、息が続かねえ!」

香苗「だ、大丈夫っ…?」

梅原「お、おう。ちょっとはマシになったと思うんだがよ…いまいちダメだな、こりゃ」

香苗「そんなことないって、前より随分と上手くなってるって!」

梅原「そ、そうか?」

純一「………」

梅原「…ん? どうした大将?」


195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 13:30:53.31 ID:0anYOHxS0

純一「お前……」

純一「──凄いな梅原ぁああ!何なんだ今の演技力! もうジュリエットにしか見えなかったぞ!」

梅原「何の冗談だよ橘っ…!」

絢辻「いいえ、冗談では決してないわ」

薫「やるじゃない梅原君っ! 前世はジュリエットだったんじゃないの?」

梅原「えっ? えっ?」

香苗「ふふふ」

梨穂子「香苗ちゃんも凄かったよ~! あの迫真の演技…本当に陰ながら見てるような、
    そんな怪しさや気遣いを感じるような……とにかく凄かった~!」

香苗「さ、桜井っ…褒めすぎだってば」

梅原「なんだか…えらく褒められるな、はは、頑張ったかいがあったぜ」

マサ「……」

梅原「…ん、マサ? なにやってるんだこっちのクラスを覗いて?」


202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 14:23:53.64 ID:LZ0F5Fpc0

マサ「っ……梅原が女になってるぞぉぉぉぉおおおおおお!!」

だだだだっ!

梅原「ちょ、おまっ! 何言ってやがる!」

「振られたから女に走ったって本当か梅原!?」

「応援するよ!」

「次は男子だな! …俺は無しな方向で」

ぞろぞろ

梅原「うおっ…なんだなんだ、一気に来すぎだろお前ら!」

薫「あらら、えらく人気者だったのね梅原君って」

純一「前の告白で一気に名前が知れ渡ったからね、当たり前だよ」

絢辻「……」

純一「凄い奴さ、梅原って男はね」


香苗「……」

梅原「だぁーもう! ちげーって! これは演劇の役でなっ…!」


203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 14:28:59.52 ID:LZ0F5Fpc0

香苗「…くす、このまま頑張れば…きっとうまく行くはずだから」

香苗(…頑張らないっと、私も!)ぐっ

香苗「うっしー! 梅原くん、練習の続き行くよー!」

梅原「お、おう! ちょっと待ってくれ! …だから、違うっての!」

香苗「あはは」

梨穂子「………」

夕方

香苗「──ふぅ…こんなもんじゃない? けっこう出来たと思うけど」

梅原「そうだな、疲れた…声を出し続けるのって大変なんだな…」

香苗「あ、飲み物買ってこようか?」

梅原「公平にジャンケンだ」

香苗「おっけー、じゃんけんっ」

梅原&香苗「ぽんっ」

香苗「…あいこか、そんじゃ次にっ」


204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 14:32:46.46 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「いや、あいこなら二人で買いに行こうぜ」

香苗「え? いいの?」

梅原「おうよ、どっちにしろ二人とも疲れてんだ…労働はお相子にしようぜ」

香苗「りょーかい、んじゃ行こうか」

梅原「おう」

~~~~

すたすた…

梅原「しっかし、なれねえもんだなぁ…演じるってのは難しすぎる」

香苗「私たちが特別、意識しまくってるからじゃない? 気入り過ぎっていうかさ」

梅原「…確かに、頑張りすぎてる所は否めないな」

香苗「だけど、ね。大切だよ、今の私たちの頑張りはね」

梅原「わかってるよ、ちゃんとな」

香苗「…うん」


205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 14:38:51.44 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「ふぅ、なに飲みたい? 伊藤さんは」

香苗「あ、私はコーヒーでお願い」

梅原「あいよ、コーヒー好きだなぁ…」ガタン…

香苗「そお? 人それぞれ好みはあるもんでしょ」

梅原「そりゃわかってるけどよ、なんつぅーか…飲み過ぎじゃね?」

香苗「ふーんだ、べっつにいいじゃない。飲み過ぎたって」

梅原「いじけるなよっ…はは。おらよっ」ぽいっ

香苗「わわっ、わっ…!」

梅原「落とすなよっ」

香苗「ととっ…むー! 意地悪しないでよね! まったく…」かしゅっ

梅原「すまねえすまねえっと、俺はどうすっかな。ん~」

香苗「ぷはっ、お茶じゃないの?」


206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 14:43:29.62 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「いや、今日は…」ぽち

ガタン…

梅原「…俺もコーヒーを飲んでみようと思う」

香苗「どうして? コーヒー好きだったっけ?」

梅原「いや特別好きじゃねえな。むしろ好きではない」

香苗「…断言しないでよ」

梅原「はは、いいじゃねーか。人それぞれの好みはあるんだろ?」

香苗「む、そうやって直ぐ人の上げ足を撮るんだからっ…」

梅原「上げ足を取ったのではなく、訂正をしただけだ」かしゅっ

梅原「ん、ちょっと遅れたけど」

香苗「あ、うん」

かつん…

梅原「今日もお疲れ、伊藤さん」


208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 14:49:21.54 ID:LZ0F5Fpc0

香苗「…お疲れ、梅原君」

梅原「おう! ……ごく、ぶへぁっ! 駄目だ苦いっ」

香苗「なにやってんのよっ…ぷっ」

梅原「緑茶の苦みとは比べ物にならねえな…あっちは平気なのによぉ」

香苗「あったり前じゃない、苦いのが苦手ならミルクたくさん入れれば?」

梅原「お、そうか! その手があったか~…って、缶コーヒーだぞ」

香苗「家で作った時にやってみれば?」

梅原「俺ん家にコーヒーなんぞ洒落たものは置いてねえ!」

香苗「自慢した言い方しないでよ…じゃあ何時もなに飲んでるの? ただの水?」

梅原「お茶って選択肢はないのかよお前さんには…」

香苗「そ、そんなんじゃないし! コーヒーばっかり飲んでるわけじゃないからっ!」

梅原「嘘だ…四六時中飲んでるんだな…もう既にカフェイン中毒なんだろ…」


209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 14:57:38.52 ID:LZ0F5Fpc0

香苗「ふぬぐぐっ…コーヒーはたまに飲むから美味しいのよ、ふんっ」

梅原(何時も飲んでるように見えるけどなぁー)

香苗「…ったく、なによもう…」

梅原「……」

梅原「……なあ伊藤さん」

香苗「なに、梅原君…また変な事言ったら怒るからね」

梅原「言わねえさそんなこと。……いや、もしかしたら、怒るかもしれねえわ」

香苗「…どっちよ」

梅原「俺にはわかんねえな、なんつぅーか…俺個人の意見じゃ決められねえんだ」

香苗「…?」

梅原「………」

香苗「…梅原君?」


212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 15:18:45.34 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「時に伊藤さん、アンタは恋ってモンをしたことがあるかい」

香苗「こ、恋ぃ? どーしたのよ急に…」

梅原「いいからよ、ちょっと答えてくんねーか」

香苗「え、ええっ……そりゃーまぁ、ちょっとぐらいは…」

梅原「そうか、そりゃそうだぜ。
   だって花の女子高生だもんな、恋の一つや二つしてるに決まってる」

香苗「一つや二つって…そこまで気移りしやすい性格じゃないわよ、言っておきますけどね」

梅原「そうなのか、そりゃ失敬。すまんすまん、謝っておく」

香苗「……それで? 結局は何が言いたいワケ?」

梅原「……俺的な意見だから、気にはしなくていいんだ」

梅原「ただよ、一つ思っちまったんだ」

梅原「──恋は、いつになったら恋になるんだってさ」


213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 15:23:21.94 ID:LZ0F5Fpc0

香苗「…」

梅原「どう思う? 伊藤さん?」

香苗「…良く分からないけど、好きになったら恋じゃないの?」

梅原「おっ! 良い所を付くねぇ、確かにその通りだ」

梅原「俺はその人のことを──気になりだした瞬間から、それは恋だと思う」

梅原「他の誰よりも違う、どんな人間よりも……近くに居たいと心から望んじまう」

梅原「そんな相手を見つけちまった時、それは恋だって言っても良いんだってな」

香苗「……」

梅原「…もう一つ、最後に伊藤さんに聞きてえんだが」

梅原「──その恋を、忘れる時って何時だ?」


214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 15:30:32.38 ID:LZ0F5Fpc0

香苗「っ……」

梅原「つまりは失恋、って奴だな」

梅原「──気になりだした人のことを忘れたいと願った時が、失恋なのか?」

梅原「──それとも別れを告げられた時、それが失恋なのかね?」

梅原「それとも──なんだ、想いを受け取ってくれなかったときは、失恋になっちまうのか」

香苗「それは…人それぞれじゃない、どうその現実を受け止めるかが大切でしょ」

梅原「まあ、その通りだ。だが、それだと俺は納得できねえ部分がある」

梅原「──最初に言った恋は何時になったら恋なんだって話だ」

梅原「恋は好きになった時から、恋だと言うんならよ」

梅原「……じゃあ失恋しちまった時は、好きだって思いを忘れないと駄目なのか?」

香苗「それはっ……当たり前じゃん、だって辛いだけでしょそういうの…」

梅原「…そうだな、辛いだけだな」

香苗「もう自分の気持ちを伝えられないんだから、いくら好きだって思いを持ってても…忘れた方が良いわよ」

香苗「…なんなの、こんな事聞いてきて…不安なの? 先輩に告白するの?」


216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 15:36:50.51 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「…当たり前だろ、いつだって不安だ。俺はよぉ」

香苗「でも…! やるって決めたのなら、最後までやり通さなきゃ!」

梅原「わかってるって。それはちゃんと心に決めてる」

梅原「──きちんと先輩に告白するってよ」

香苗「じゃあ…どうして…」

梅原「…だから、気付いちまったんだ」

香苗「え?」

梅原「どうして俺は失恋なんかしてもー……あの人のことを好きでいられるのか、その理由を」

梅原「俺は気付いちまったんだ、いまさっき」

香苗「…どういうこと?」

梅原「なあ、伊藤さん。どうして俺の為に頑張ってくれるんだ」

香苗「え、だから……」

梅原「ロミオだからって? そうじゃねえと、今の俺は思ってる」


217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 15:45:39.25 ID:LZ0F5Fpc0

香苗「えっ…」

梅原「いや、そう思いたがってるが正しいかもな。だってそれは俺の我儘だから」

梅原「とんだ勘違い野郎って蹴っ飛ばしてくれても良い、
   馬鹿だな根性ねえ奴だって、また背中を殴ってくれても良い」

梅原「…だがよ、俺は思っちまったんだ」

梅原「今まで文化祭の為に、俺たちは演技の練習をやるだけやって来たよな」

梅原「…たまに喧嘩もしたよな、それに、お互いの演技を褒め合ったりもした」

梅原「それから告白の仕方の作戦も考えて、数日後の文化祭の為に頑張り続けたよな」

香苗「なにが、言いたいの…?」

梅原「……俺だって、なにが言いたいのかわかんねえよ」

梅原「だけど…」すっ

梅原「これだけは、必ず自信を持って言えると思う」

香苗「え…?」

梅原「──俺、伊藤さんのこと好きだ」


219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 15:57:34.47 ID:LZ0F5Fpc0

香苗「……なに、それ」

梅原「ああ、何だそれって思うよな。俺だって…そう思ってる」

梅原「だけど俺は、今誰よりも近くに居てほしい奴は──伊藤さんだけだ」

香苗「っ…そんなの…!  だって、梅原君は先輩のことがっ…!」

梅原「ああ、好きだ」

香苗「だ、だったらっ…変な事を言ってないで、まっすぐあの人の事を見てればいいじゃないっ…!」

梅原「……」

香苗「っ…」

梅原「…さっきも言ったけどよ、俺は、どうして先輩のことが好きで居続けるのか分かったんだ」

梅原「だって、それは───伊藤さんと俺の繋がりだったから」

梅原「そして伊藤さんの頑張りに後押しされて、俺も…先輩を好きで居続けた」


224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 16:13:02.22 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「本当はもう失恋をしちまって、俺はあの人の事を忘れるはずだった」

梅原「…だけど、伊藤さんのお陰で好きで居続けられた」

香苗「……」

梅原「俺は少し道を逸れちまったんだ。本来行く場所とは違った所に来てしまってる」

梅原「──そして伊藤さん。俺は今、君の隣にいるんだ」

香苗「っ…」

梅原「本当はもっと違った場所に居るはずだったと思う。
   だが、それでも、今は…ここで一緒にコーヒーを飲んでる」

梅原「全て伊藤さんの所為だとはいわねえ、全部ハッキリと言わなかった俺の所為だ」

梅原「俺が素直にならねえから、あの時…ちゃんと写真を破けば良かった話だからな」

香苗「……」

梅原「だからもう後悔は、しないって決めたんだ。
   何度だって後悔の連続で、全然その思いを守れてこなかったけど…」


梅原「…今はハッキリと伊藤さんにこの想いを伝えたい」


225: ていせい 2012/10/22(月) 16:20:30.10 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「本当はもう失恋をしちまって、俺はあの人の事を忘れるはずだった」

梅原「…だけど、伊藤さんのお陰で好きで居続けられた」

香苗「……」

梅原「俺は少し道を逸れちまったんだ。本来行く場所とは違った所に来てしまってる」

梅原「──そして伊藤さん。俺は今、君の隣にいるんだ」

香苗「っ…」

梅原「本当はもっと違った場所に居るはずだったと思う。
   だが、それでも、今は…ここで一緒にコーヒーを飲んでる」

梅原「全て伊藤さんの所為だとはいわねえ、全部ハッキリと言わなかった俺の所為だ」

梅原「俺が素直にならねえから、あの時…ちゃんと写真を破けば良かった話だからな」

香苗「……」

梅原「後悔は、しないって決めたんだ。
   何度だって後悔の連続で、全然その思いを守れてこなかったけれど…」


梅原「…それでも今、はハッキリと伊藤さんにこの想いを伝えたい」


228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 16:26:23.44 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「──伊藤香苗さん大好きです」

梅原「とんだふがいねえ男だってことは、アンタが一番知ってると思う」

梅原「俺の気持ちは…確かに伊藤さんで一番だ、だけど! 先輩に告白する勇気はここにある!」

梅原「…矛盾してることぐらいわかってる、けどよ! 俺はちゃんとやりたいんだ!」

梅原「──伊藤さんへの気持ちと、伊藤さんの頑張りをっ…俺は認めてぇんだ!」

ぐっ…!

梅原「ちゃんと、ちゃんと…っ! この数日間の想いを、裏切りたくはないっ…!」

梅原「どれだけっ…伊藤さんに嫌われても、俺は自分の気持ちに嘘を付きたくなんかねえ!」

香苗「……」

梅原「好きだって想いはっ…ここにあるんだ、だけど…!」

梅原「俺はっ…俺は……」

梅原「俺は……」

カラン…

梅原「! 伊藤さん…?」


231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 16:36:36.35 ID:LZ0F5Fpc0

トクッ…トクッ…コポポ…


梅原「伊藤、さん?」

香苗「っ……やめてよ、そんなこと…」すた…

梅原「ど、どうしたんだ?」

香苗「やめて…言わないでよ、好きなんて…駄目だってば…」

香苗「それじゃあっ…私、どうしたらいいのよ……今までの頑張りを…どう認めればいいのよ…っ!」

梅原「おい、大丈夫かっ?」すっ

パシィッ!

梅原「痛っ…!」

香苗「はぁっ…はぁっ…!」

梅原「伊藤さん…」

香苗「はぁ…一人に決めて……梅原君、アンタはキチンと先輩に告白してよ」

梅原「っ…告白はする、だけど俺は…!」

香苗「私が好きとか言わないでっ!」


233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 16:46:30.63 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「っ…」

香苗「私はっ…梅原君が先輩に告白して、きちんとスッキリするのが…目的だったのよっ…!」

香苗「──それなのに、どうして私のことっ…! なんで、好きになっちゃうのよっ!」

梅原「……」

香苗「だめ、でしょそんなのっ…だって、だって、梅原君はっ…!」

梅原「…こんな時でも、伊藤さんは俺の心配するのか」

香苗「っ…!」

梅原「何が言いたいんだ伊藤さん。もし、アンタが俺の告白を受け入れられない…その理由が」

梅原「──俺の為だなんて言ったら、本気で怒るぞ」

香苗「わ、私はっ…」

梅原「卒業式に、堂々と告白したのに。だけどすぐさま他の女子にうつつを抜かす奴と、思われたくないってか」

香苗「んぐっ…それはだって、そうじゃないのっ…!」


236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 16:54:11.22 ID:LZ0F5Fpc0

香苗「それに文化祭でアンタは! また先輩に告白しようとしてるでしょっ…!」

香苗「わかってない、全然分かってないよ梅原君は! あの卒業式の告白がっ…どれだけ周囲に広がってるのか!」

香苗「そしてまた同じような事をして、更にっ…私が好きだとか言ってるアンタは!」

香苗「当然のように周りから人が居なくなるわよっ! 最低な奴だって…どんな神経をしてるんだって!」

梅原「……」

香苗「ぜんぜんっ……わかって、ないよ…!」ぎりっ

香苗「っ……その告白、今ここで、断らせてもらうから」

梅原「…伊藤さん」

香苗「やめてよっ! 気安く呼ばないでっ!」

梅原「…そっか、ごめん」

香苗「……っ……私、もう帰るから」

香苗「……好きなんて、どうして思ったのよ…」

たったった…

梅原「……」


238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 17:01:19.34 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「……」


梅原「……うぁー」バタリ


梅原「…やっちまったぜー」

梅原「あー…このまま廊下のシミになりたい…」

梅原「……」

梅原「…馬鹿だなホンット、俺ってよぉ…」ぼそっ

梅原「…何が好き、だ。虫が良すぎるだろうがッ…」ゴツッ…

梅原「…正直にも程があるだろッ…ふざけるなよ俺ッ…」ゴツン…

梅原「…」ゴツ

梅原「──あー、やれるのかよ…これで、文化祭とか…」


「──やれるだろ、お前なら」


梅原「あ…?」


239: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 17:05:32.89 ID:LZ0F5Fpc0

「なんで追いかけないんだよ、きっと寂しがってるぞ」

梅原「…見てたのかよ、趣味悪いなオイ」

「ははっ、仕方ないだろ? トイレに行ってたら、なぜか二人が喧嘩してるんだもの」

純一「──思わずトイレの中で数十分、立ち聞きだよ。どうしてくれるんだ」

梅原「…じゃあそのままトイレの亡霊さんにでもなっとけ」

純一「いやだ、男子トイレなんてまっぴらごめんだ」

梅原「…そう言う問題かよ」

純一「そう言う問題だよ、よいしょっと」

梅原「……」

純一「なあ、好きな子って良いな」

梅原「…は?」

純一「突然そう思った」

梅原「突然すぎるだろ…なんだよ急に…」


240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 17:10:12.53 ID:LZ0F5Fpc0

純一「だってさ、好きな子に向かってなら本気で怒れるし」

純一「それに好きな子からもっともな事を言われたら、口応えが出来ないだろ?」

梅原「…さっきの俺の事を言ってやがるのか」

純一「どうだろう、そう思うの梅原は?」

梅原「ドンピシャだな」

純一「ふふっ、なんだよ梅原。今日はやけに素直だ、気持ち悪いぞ」

梅原「うるせーよ」

純一「…うーん、結局はさ。梅原ってちょっと変わってるよな」

梅原「…お前さんに言われたくない言葉、ナンバーワンだ」

純一「そうだろう、僕もそう思う」

純一「絢辻さんにだって良く言われるよ、貴方は何を考えて生きてるの? 死ねば?って」

梅原「死ねって良く言われてるのか…可哀そうにな…」


242: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 17:18:22.03 ID:LZ0F5Fpc0

純一「あはは、そうだね僕は可哀そうだ」

純一「…だけど、それが僕には嬉しいんだよ、梅原」

梅原「……」

純一「──素直な自分を出して、素直な気持ちを伝えてくれる」

純一「そんな好きな子を、そんな大切な子を僕は見つけることが出来たんだから」

梅原「……」

純一「だから僕等二人、梅原と僕は変わってるんだ」

純一「──好きな子から本音を言ってもらえることに、喜びを感じてるんだもの」

純一「…どうだった? 好きだって伝えて、怒ってもらった時の気持ちは」

梅原「……」

純一「凄くスッキリしなかったか? 自分の想いを相手にぶつけて、それを否定してもらって」

純一「だけど分かってもらえなかった辛さより、理解してもらえなかった苦脳より」

純一「お前はきっと───なによりも嬉しかったはずだ」

純一「一人の女の子に、ちゃんと答えを貰ったことに」

純一「……どの感情よりもやる気を出したはずだよ、絶対に」


243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 17:24:11.80 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「…橘…」

純一「…うん、一人ぼっちは寂しいよな。なんだって、言葉が欲しい時はあるよ」

純一「お前だってそれを経験してるはずだ、
   誰も来ない約束の場所でずっと待ち続ける寂しさを」

純一「例え後で来れなかった意味を知ったとしても、そのときの寂しさは…決して無くならない」

純一「…絶対に、無くならないんだ」

梅原「……」

純一「ん、だからさ梅原」

純一「逃げるなよ、真正面から立ち向かって行け!」

純一「どんなに否定されても! 社会的死を宣告されても!」

純一「──好きだって想いに、勝てるモノなんてないぞ!」


245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 17:31:40.68 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「………」

純一「…だろっ?」キリッ

梅原「っくは、台無しだな…最後の決め顔で」

純一「だ、台無しとかいうなよっ!」

梅原「本当の事だろうがっ……くく、なんだよ本当にっ…」むくっ…

梅原「──はぁ~あ、成功者に色々と言われちまえば…」

梅原「…俺も頑張りたくなっちまうだろうがよ、大将」

純一「…おう、頑張れ。きっと良い明日が待ってるよ」

梅原「明日ねえ、そりゃ楽しみだ」

梅原「今日より良い明日になれるといいな…」

純一「……なあ、帰りに本屋寄って行かないか?」

梅原「…すまねえ、ちょっとやらなくちゃいけねえことがあるんだ」

純一「そうなのか…それは残念だよ」


246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 17:35:18.40 ID:LZ0F5Fpc0

梅原「なーに、本屋のお宝本より楽しい事を練習するんだよ」

純一「へぇ、それは僕も見れる事が出来るの?」

梅原「特等席で見せてやるよ、楽しみにしときやがれっ」

純一「了解、じゃあ僕はそろそろ帰るよ…」すっ

梅原「おう、その……ありがとな」

純一「なんの、同じ悩みを抱える同士だ」

純一「…いっちょ幸せ、掴んで来い梅原」

梅原「あいよっ! 大将!」

~~~~~

教室

梅原「ふぅー……はぁー……」

梅原(──文化祭まで残り数日、練習期間も限られてるな、
   ついでにいうとロミオ役との合わせ練習は出来ないと考えるべきだ)


247: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 17:39:47.61 ID:LZ0F5Fpc0

梅原(やれることは制限される、たださえ一人なんだ、出来ることはごく少数…)

梅原「──だからどうした! 俺には関係ねぇ!」カッ

梅原「……」

梅原「…よしっ」

~~~~

文化祭当日

絢辻「……これでいいわ」

薫「ひゅ~♪ やるわねえ絢辻さんっ」

絢辻「そんなことないわよ、ふふっ」

絢辻「他になにか不備がある人はいないっ? 今のうちに色々と済ませておかなくちゃ駄目よー!」

クラス一同『はーい』

純一「あの、絢辻さん…」もじっ

絢辻「どうかしたの?」

純一「と、トイレに行きたいんだけど…っ」

薫「ハァッ!? 先に済ませておきなさいって言ったでしょ!」


248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 17:44:50.13 ID:LZ0F5Fpc0

純一「だ、だってお祝いだってみんなでジュース飲みあうからっ…!」

薫「アンタが馬鹿みたいにがばがば飲むからいけないんでしょうが…」

純一「ううっ…ヤバい、これは駄目だよっ…スカートでトイレって、立ちション駄目なの…っ?」

絢辻「私は構わないけど、貴方はどうなのかしらね」

純一「うぁー! 目も当てられない光景が浮かび上がるよ!」

純一「っ…だけど我慢の限界だ! 行ってきます!」だだっ

梨穂子「あっ、純一~! カツラはちゃんと載せて行ってね~!」

純一「あ、うん! わかった…ってカツラいらないだろ!?」

梨穂子「宣伝の為だよ~えへへ~」

絢辻「はぁー」

「大変そうだね、絢辻さん」

絢辻「…そうね、まだ始まってないって言うのにこの騒動。本当に無事に終わる事──」

香苗「…? どしたの?」

絢辻「──凄く似合ってるわね、伊藤さん」


249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 17:50:12.44 ID:LZ0F5Fpc0

香苗「え? あ、いや~…ロミオの衣装を着て褒められてもちょっとね~」

絢辻「そう? とても高級感のある王子様に見えるわ、思わず惚れちゃいそうになったもの」

香苗「ええっ!?」

絢辻「くす、冗談よ」

香苗「も、もう! ちょっと冗談に聞こえなかったよっ」

絢辻「冗談だってば、くすくす……あら」

ズズズズ…

絢辻「──このオーラは、みんな『ジュリエット』が帰って来たわよ!」

クラス一同『ジュリエットが…!?』

がらり…

「──今帰った、保健室の仮眠、ごめんな皆」

薫「い、いやっ…いいのよ? 色々と、ね~うんうん!」

梅原「…そうか、ならよかった、俺も安心だ」ズズズズ…


252: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 18:11:04.46 ID:LZ0F5Fpc0

舞台裏

絢辻「──いいわね、私たちは最終項目。他のクラスが演劇が終わり、観客の目も肥えてる間際」

絢辻「たいしたものでなければ、それは全て一掃されてしまうほどにシビアな空気よ」

ごくり…

絢辻「…でも、大丈夫。けっして怖がらなくていい」

絢辻「私たちがしようとしている事、それは既に──観客からは注意をひくものなんだから!」

「うぉー!」

絢辻「だったらやってあげようじゃないの! 全てのクラスを圧倒させるほどの劇を!」

「うぉー!!」

絢辻「絶対に負けないわよ! 全てはこのクラス、みんなの頑張りなら成功するはずだから!」

「うぉおおおおー!!」

薫「あ、来たわよ純一っ…こっちこっち」

純一「ご、ごめんねっ…ふぅ…間に合ってよかった~」

クラス一同『あはははっ!』

絢辻「くす、それじゃあ行くわよ! 性別反転ロミジュリ、開始!」


253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 18:17:39.63 ID:LZ0F5Fpc0

~~~~~

カッ!

梅原『……』


どっ!ぷっはっはっはっは!

美也「こ、これはっ…」

紗江「わぁー……」

七咲「…」

田中「ぶっは! あはは! 梅原君!」


舞台裏

絢辻「よしッ! 受けてる!」

純一「晒しもんだよね、やっぱりこれ…」

絢辻「いいのよ受ければ!」


梅原『──……』

梅原『…ああ、ロミオ様、ロミオ様! なぜあなたは、ロミオ様でいらっしゃいますの?』


273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 19:34:25.35 ID:YWb3wH870

美也「えっ…?」

紗江「っ……!」キラキラ…

七咲「…凄いね」

田中「…」ぽかーん


梅原『 お父様と縁を切り、家名をお捨てになって! もしもそれがお嫌なら、せめてわたくしを愛すると、
   お誓いになって下さいまし。そうすれば、わたくしもこの場限りでキャピュレットの名を捨ててみせますわ』



絢辻「………」

純一「…な、なんだアイツ」

薫「いやー何度見てもヤバいわよねアレ…」

絢辻「……凄いじゃない、梅原君」


カッ!

香苗『……』


絢辻「っ…来たわ、ロミオよ! 頑張って…!」


276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 19:45:03.56 ID:YWb3wH870

香苗『………』

梅原『……?』


美也「…どうしたんだろうね?」

紗江「ふぁー……女装って凄いよね…っ」

七咲「トラブルでもあったのかな?」

田中「せ、せんせぇー!」

高橋「ごめんなさい、遅れちゃったわね…あら? どうかしたの?」


絢辻「…まさか」

薫「ちょ、ちょっとぉ! 伊藤さんなんでセリフ言わないのよっ?」

純一「…緊張して、全部忘れちゃったとか?」

絢辻「大いにあり得るわ、伊藤さん…何処か気持ちが浮いてたような気がするモノ…」

薫「ど、どうするのよっ! ここからカンペでもみせる!?」

梨穂子「…どうしたの?」

純一「い、伊藤さんが大変なんだ! セリフを忘れちゃったみたいでっ…
   二人だけの場面だし、フォローも入れること出来なくて…!」


277: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 19:52:12.10 ID:YWb3wH870

梨穂子「香苗ちゃん…」


香苗『………』

ドッドッドッド…

香苗(なに、コレ…頭が真っ白に…なにも思いだせない…え…?)

香苗『あっ……う…』

香苗(っ…あれだけ必死に練習したのに! 声が出ない、出さなきゃいけないのに!)

香苗(だって───)


観客『………』じっ…


香苗(──ひっ…視線がみんな…私に──)びくっ

香苗(だめ、足が震えて立てない、もう倒れちゃう───)

ぽすっ

梅原「ふぃー、間にあったぜ」

香苗「え?」

全員『えっ?』


278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 19:58:03.19 ID:YWb3wH870

梅原「大丈夫か、怪我は無いよな。歩けるよな?」

香苗「う、うん…」

梅原「──よし、なら良い。じゃあ続けるぞ…」

香苗「つ、続ける…?」


薫「な、何が起こってるのよ!? 舞台の二階から飛び降りて!」

純一「…絢辻さん、これは…」

梨穂子「…うん、やるしかないよっ…」

絢辻「……」

絢辻「──ええ、続行よ! 二人にライト浴びせて! 音もb-1に変更! 早く!」

薫「つ、続けるのっ? 台本めちゃくちゃよ!?」

絢辻「やるのよ、二人の信じなさい棚町さん」

純一「…仕方ないよ、元はあの二人が主役なんだ」

梨穂子「うんっ」

薫「うっ……~~~~! わかったわよ!
  なにかしらのアドリブが入ったらこっちに寄こして!」


280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 20:03:43.59 ID:YWb3wH870

梅原『ロミオ…ああ、ロミオ! 貴方は本当に美しい人…この世で瞳に写した誰よりも…』

梅原『──この世で一番、美しい…』

香苗「……」

梅原(乗っかれ乗っかれ! 良いから良いから!)

香苗『っ…それは嬉しい言葉だ、だがしかし、そなたはあのベランダからどうして飛び降りてしまったのか』

梅原『我慢できなかったのです、ごめんなさい』

香苗「…ぶふっ」


美也「にしし! 我慢できなかったんだって!」

紗江「ほぇ~」

七咲(絶対にこれアドリブだ…)


田中「なんだかすごい事になってますよぉ…」

高橋「よくわからないけど…ロミオとジュリエットなのよね…?」


282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 20:09:19.11 ID:YWb3wH870

梅原『──……』

香苗『……───……』


ぷっ…くすくす……あははは…


純一「…なんだか静かだった客席が、騒がしくなってきてない?」

梨穂子「なってるなってる~!」

薫「っ…ちょっと待って、梅原君がなにか合図してるわよ!」

絢辻「え? どこどこ!?」


梅原『私はそなたと何処までも行きましょう、銭湯に寿司屋。日本の素晴らしき文化を───』ちょいちょい


絢辻「──橘くんを指さしてない?」

薫「純一が出て来いって言ってるの?」

純一「でも僕、キャピュレット夫人だよ!? 出てきたらおかしくない!?」

梨穂子「で、でもっ…面白いかもしれないよ~!」

絢辻「う、ううっ…行くしかないわよ! 行ってきなさい!」ドンっ


284: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 20:16:27.20 ID:YWb3wH870

純一「うわぁっ!」すたた…

純一「……」すた…


梅原「…」

香苗「…」

純一「…」


純一『──そこの二人、なにをしているのですかっ! ワタクシにも日本の文化を教えなさい!』


絢辻「乗ったー!」

薫「ナイス! アドリブ最高よ純一ぃ!」ぐっぐっ

梨穂子「頑張れ純一~!」



純一『月も嘆くような寂しい夜に……薔薇のような匂いを感じ、着てみれば…』

純一『何と羨ましい事をっ! ワタクシだってそのような逢引きをしてみたかったのよ!』

梅原『…お待ちになって、お母様。これは確かに逢引き…のように見えるかもしれません』

純一『あら、違うのかしら。ではいってごらんなさい、私の愛しい愛娘よ』


285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 20:21:37.14 ID:YWb3wH870

梅原『ふふっ、逢引きなんて古いお言葉。いやですわ』

梅原『──今の時代は、そう……逆ナンですわよお母様!』

純一『んんまぁ! 逆ナンですってぇっ!』


あっはっは! くすくすっ…!


美也「にぃに…」

紗江「橘先輩っ…梅原先輩っ…ふぉおおおおっ…!」キラキラキラ…

七咲「………」(ガン見)


田中「おー!」

高橋「もっとロミオとジュリエットはおごそかで美しさも兼ねそれた…」


梅原『…時代に乗り遅れてますのよ、お母様。ねえロミオぉ?』

香苗『そ、そうだ! 時代は逆ナン! 草食系男子万歳!』

あははははっ…!


287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 20:25:18.26 ID:YWb3wH870

絢辻「……そろそろ私も行ってくるわ」すっ

薫「ぱ、パリス! ここで出てきたら本当にめちゃくちゃね!」

絢辻「いいのよ、見てみなさい。この空気を」

梨穂子「……みんなが笑ってる」

薫「…絢辻さん、やるっていうの? というか出来るの?」

絢辻「………」

絢辻「──生徒会長に、不可能は無いわ…」すた…


きゃーーーー! わはっはっはっはっは!

~~~~~~

薫「はぁっ…はぁっ…」

梨穂子「ひっく…体力がもう、残ってないよ…っ」

純一「あ、ああっ…僕ってば何回突っ込みを入れたのか憶えてないよっ…」

絢辻「お疲れ様、後は──なんていうのかしら、ちゃんとお墓のシーンにいけるのね…」


289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 20:37:42.23 ID:YWb3wH870

薫「一時はどうなるかと…途中で庭園の背景で銃撃戦になった時は…血糊準備が大変だったわ…」

純一「いや、それよりもキャピュレット夫人とパリスが剣撃戦を始めたときはもう、意味が分からなかった…」

梨穂子「それよりも、登場人物全員で盆踊りってなんなの~っ!? よく音声データあったよねっ!?」

絢辻「…大変だったけれど、舞台はもうクライマックス」


梅原『……』

香苗『ああっ…』


絢辻「最後ぐらいは、きちんと締めるわよ」

三人『…うんっ!』


香苗『ジュリエット…私はなにもしてやれることはできなかった…!』

香苗『ただひとつの命さえも、尊き魂さえも、この手に残す事が出来なかった…!!』


290: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 20:44:18.59 ID:YWb3wH870

香苗『───さようなら、そしてまた会おう。ジュリエット…』ぱたり…


美也「うっうっ…」

紗江「ひっく…そ、そんなっ…」

七咲「……グス…」


田中「……」ボロボロ…

高橋「……」ボロボロ…


梅原『──どうして、なぜこのようなことが…!』

梅原『私は貴方と何処までも一緒に愛し続けていたかったのに…!』

梅原『これから先、私はなにを信じ、何を愛し、行き続けなければならないのですか…!?』

梅原『私は……私は……』

梅原『…………』


294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 20:57:21.70 ID:YWb3wH870

絢辻「…?」

純一「今度は梅原が…?」

薫「嘘でしょ、ああもう。ここまで来たら何も言わずに短剣ぶっさしなさいよっ」

梨穂子「それはちょっと…」

絢辻「……何かする気じゃないでしょうね」

純一「え? …どうしてそう思うの?」

絢辻「梅原君、私が卒業式で告白できるよう手配したと言ったわよね」

純一「う、うん」

絢辻「そこで対価の話をしたじゃない、それは数えて二つ。一つは橘くんを私の物にするって言う約束」

純一「なにを約束してるの? 僕は梅原の物なんかじゃないよ!?」

絢辻「二つ目が実は言いたかった事なんだけれどね」

純一「…うん、早く言って」

絢辻「それは───必ず告白を成功させること」

純一「え…?」


296: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 21:01:24.91 ID:YWb3wH870

絢辻「私を使っての作戦なんだから、成功させなきゃ許すわけないじゃない」

純一「…でも」

絢辻「そう、それは失敗した。告白は見事に玉砕、二つ目の約束は守られなかった」

純一「……もしかして、梅原また…?」

絢辻「ええ、もしかしたら。だけど」

純一「ど、どうするの!? ここまできたらっ…もう割り込むことなんてできないよ!?」

絢辻「………駄目」

純一「えっ?」

絢辻「駄目よ、思いつかない……」

純一「絢辻さん…」

絢辻「もうあの場所は、二人だけの空間っ…どう考えても、策なんて思いつけない…!」

純一「…今日のお客さんにあの先輩が来てるのかな」

薫「へ…? 梅原くんが告った先輩?」


297: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 21:06:15.11 ID:YWb3wH870

薫「来てるんじゃないの? だって、卒業生は割かし文化祭にくるし…でも、それがなんなの?」

純一「うん、どうやら梅原は──また告白をするつもりらしいんだ」

薫「でも、アンタそれ…」

純一「……それが梅原の選択なら、仕方ないよ」

薫「っ…で、でも! アンタだって言ってたじゃない! 梅原君の幸せは、絶対に伊藤さんだって…!」

純一「………」

薫「だからアタシだって色々と頑張ってきたのよ!? 
  明らかに不仲になっていたあの二人をここまで見守って…!」

純一「…ごめん、僕だってこうなるとは思わなかったんだ」

絢辻「……」

薫「……なによ、それっ…」


梨穂子「──諦めちゃ、駄目だよみんな」


300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 21:13:01.45 ID:YWb3wH870

純一「梨穂子っ…だけど!」

梨穂子「信じるんだよ、あの二人を」

絢辻「桜井さん…」

薫「…信じるって、何を信じればいいのよ。梅原君は…きっと…」

梨穂子「違うよ、そうじゃないと思う」

梨穂子「梅原君は決して、嘘をつかない正直な男の子だもん」

梨穂子「──今の今まで、あの梅原君の頑張りをみんな見てきたハズだよっ!」

純一「……」

絢辻「……」

薫「……」

梨穂子「その頑張りは、努力は…絶対に自分の為じゃなかった…そうでしょう?」

純一「……ああ、確かにな」

絢辻「梅原君は…ずっと何かと…」

薫「……立ち向かいながら、練習してたわね…」


301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 21:18:51.87 ID:YWb3wH870

梨穂子「きっとそれは、一人の目的の為に…頑張ってきたことじゃないって思う」

梨穂子「梅原君はちゃんと、前を向いて、後ろを振り向かずに!」

梨穂子「──ただまっすぐに、一人の女の子を見つめていたんだから…っ!」

純一「梨穂子…」

梨穂子「…梅原君は、だいぶ前から香苗ちゃんのこと。好きだったと思うよ」

薫「えっ……」

梨穂子「でも、それでも初めて好きになったのは先輩だからって…そう決めて、あんな告白をしたんだと思う」

絢辻「…自分に枷を嵌めるために、ってこと?」

梨穂子「うん、多分だけどね。ずっと二人を見てきて…そう思ったの」

梨穂子「──だって、二人の距離はいつだって一緒だったから」

梨穂子「──片方が寄り添ったら、いつかは触れ合うのに、いつまでも触れ合えないんだもん」

梨穂子「……だから、私は…」

梨穂子「……梅原君を信じるの、きっと、梅原君は覚悟を決めてるはずだから…っ!」


303: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 21:26:50.59 ID:YWb3wH870

梨穂子「なにか大きな悩みを持って、それを大切にしたいと思ってるかもしれない…!」

梨穂子「だけど、大切に出来るのは、後悔なく出来るのはきっと…! ひとつだけってわかってるはずだから!」

梨穂子「──だから、信じるんだよ! あの二人の絆を…!」

純一「……わかった、梨穂子を信じるよ」どすんっ

薫「じゅ、純一…?」

純一「そして梅原も信じる。僕はアイツの頑張りを、否定する馬鹿な親友にはなりたくないんだ」

薫「っ…なによ、かっこつけちゃって。しょうがないわねっ」とすん

薫「私だって、あんなに負のオーラを纏った梅原君が…何も考えずにやってないってことは、わかってるわよ!」

梨穂子「うんっ…!」

絢辻「──そうね、信用しましょう」すっ

絢辻「あの二人がどんな結末を望むのか、私たちは傍で見守っててあげましょう」

梨穂子「わたしもだよっ」どすん

梨穂子「──きちんと、答えを出した時…その時になって、私たちは助けてあげるべきなんだと思うから」


307: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 21:33:12.90 ID:YWb3wH870

純一「…」

絢辻「…」

薫「…」

梨穂子「…」


梨穂子(信じるよ、二人とも……今の距離はちゃんと近づいてるはずだから)

梨穂子(ほら、だって、あんなにも近い距離で抱き合ってるんだもん…大丈夫、正直になれるはずだから)

梨穂子(───梅原君、そして香苗ちゃん。頑張ってね)



梅原『……私は、聞こえなくなった貴方にひとつのことを言っておくことがあります』

香苗『……』

梅原『っはぁ~……俺は、単純な奴だから。すぐに人を好きになって、その人の為ならって何処までも着いて行く癖がある』

香苗『っ…』

梅原『だけど、好きって想いは。誰にも負けるつもりなんてねぇ、
   絶対に他の奴らに引けを取るつもりなんて、これっぽっちもねえんだ』


311: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 21:45:00.99 ID:YWb3wH870

ざわ…ざわ…


梅原『だけどよ、俺は……そうだ、梅原って男は!』

梅原『そんなちっぽけなプライドを持って生きるつもりなんてこれっぽっちもねえんだよっ!』

梅原『──んな小せえモンぶら下げて、なにを気取って生きてやがんだよッ…本当に馬鹿見てえじゃねえか!』

梅原『何処も格好よくねえんだ! 好きだって思って突き通せる俺、かっけーとか馬鹿だろう! なぁそう思うだろ!?』

梅原『自分の前で泣いてっ……私の事を好きだと言わないでとっ……小さい体に感情を押し隠して、歯ぁ食い縛ってっ!』


梅原『───そうやって他人の為に頑張れる奴の方が、よっぽどカッケーじゃねえか!』


梅原『俺はっ…俺は、結局は自分だけのことしか考えてない…人を好きになるって、凄いもんだって言ってるくせに…』

梅原『一人の女の子がっ…泣いて去っていく背中を、追いかけることすらできねえんだよっ……!』


312: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 21:51:50.70 ID:YWb3wH870

梅原『……なあ、伊藤さん』

香苗「っ……」

梅原『俺はよう、嫌われても良いって言ったよな』

香苗「……」

梅原『だけど、それは撤回だ』

梅原『…俺は答えを、そうやって伊藤さんに授けただけだ。許してくれるか、許してくれないかってな』

梅原『だけど、それは違うだろ。そういうのは違うんだぜ』

梅原『俺は───伊藤さんにとって、最高の男になってやる…!』

梅原『見てろ! これが梅原正吉って男の───』がばぁっ

香苗「んにゃっ!?」ぐいっ

梅原『───一世一代の、大告白だッ!』バッ!


梅原「この会場に居るであろうっ…先輩ぃいいい! 俺はアンタのこと、大好きだぁああああああああ!!!」


梅原「だけど、それよりもこの子をッ……俺はもっともっと大好きなんだぁああああああああ!!」


316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:00:31.82 ID:YWb3wH870

梅原「だからっ…! なにを気取って他人に言付けを残してんのかしれねぇーけどよ!!」

梅原「アンタへの好きな気持ちなんてのは、そんなもんだったっていうわけだよくそったれ!!」

梅原「後悔してもしらねえからなぁ! アンタが逃したこのデッカイ魚は!!」

梅原「──伊藤香苗って女に、身も心も全て!! やっちまうよていだからなぁああああ!!!」


梅原「はぁっ……はぁっ……」

香苗「……」きょとん

梅原「絶対に聞こえたよなっ…ここにいるのなら、あの人にもちゃんと聞こえたはずだぜっ…はぁっ…」

梅原「良し! 立ってくれ伊藤さん!」

香苗「あ、うん……」とん…

梅原「じゃあ、聞かせてくれ」

香苗「……え?」

梅原「答えを、どうか俺の告白に対して答えをここでくれ!」


318: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:07:05.14 ID:YWb3wH870

香苗「……はいっ!?」

梅原「ダメだぞ、もう逃げられねえからな」

香苗「に、逃げられないって…」

梅原「答えは必ず、今、聞かせてもらう」

香苗「い、今…?」

梅原「そうだぜ、もう遠くへ行かせたりはしない」

梅原「伊藤さん、アンタの悩みは…俺が乗り越えてやる」

梅原「わかってる心配ない、俺はいつだって……」

梅原「…アンタの隣に、立ってるからよ」

香苗「っ……となりに…?」

梅原「ああ、離れたりしない。絶対にいつまでも離しはしないぞ」

梅原「何処まで歩き続けて、伊藤さんが遠くへ歩きさってしまっても」

梅原「──ずっと、俺は伊藤さんを支え続けてみせるから!」


323: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:12:37.00 ID:YWb3wH870

香苗「……梅原君」

梅原「…ありがとうよ、いつまでも俺の隣に…立っててくれて」

梅原「ずっとずっと、感謝してたぜ。今度は俺の番だからさ、もういいんだよ伊藤さん」


梅原「───今度は俺のほうが寄り添っていく番だ」


香苗「あっ……わ、私っ…そんな事思ってっ…なんか…っ」

梅原「……おう、泣くなよ…」

香苗「ごめんなさっ…私は、梅原くんを困らせたくなくてっ…だから…!」

梅原「……」

梅原「…あーもう、うるせえなオイ」ぐいっ

香苗「ふにゅっ…」ぽすっ

梅原「───良いから俺の彼女になってくれ、伊藤さん」ぎゅう


324: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:18:52.50 ID:YWb3wH870

「──そこでc-114の曲!」

「──ライトアップ! 全部のライトを二人に!」

「──花びらの用意! みんな一斉にふらせて!」

「──全力でぶちまけるわよ、いいわね!」


クラス一同『うぉおおおおお!!!』ドドドドド!


梅原「うぉっ?!」

香苗「ひぁっ!?」


純一「ふらせ! 花びらだ!」

絢辻「声をだすのよ! お祝いの言葉をできるだけ大きな声で!」

薫「小さいわよ! もっと腹から出しなさい!」

梨穂子「おめでとうぉおー! 二人共っ! おめでとぉおー!!」

ひらひらひら…

梅原「これは…」


327: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:24:31.49 ID:YWb3wH870

「ばっかやろう! なにやってんだお前ってやつは!」ばっばっ

「まーたこんな事してくれちゃって! 先生に怒られてもしらないからね!」ばっばっ

「きちんと大切にしろよ! 梅原ぁ! ちくしょう!」ばっばっ


梅原「お前らっ…」


「やるじゃん香苗! なになに熱いことこのうえないじゃないの!」

「一生大切にしてもらいな! 絶対にね! 絶対にだよ!」

「ちくしょー! 伊藤さん! 梅原の奴をの頼むぜ!!うぉおおお!!」


香苗「みんな…」


梨穂子「香苗ちゃーんっ! 本当によかったねぇ~うわぁ~んっ!」

香苗「さ、桜井…ちょっと泣きすぎだって…」

梨穂子「かなえちゃ~んっ…!」ぎゅうっ…

ひらひら…ひらひら…ひらひら…


329: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:28:13.25 ID:YWb3wH870

梨穂子「もう……平気だからね、ちゃんと言えるはずだからね…っ」

香苗「うん、ありがと…アンタはいつもそんな子だよ…本当にさ…」

梨穂子「うんっ…うんっ…」

香苗「…ありがとう、本当に」ぎゅっ

ひらひら…

純一「んー……どうだ、今の幸せは」

梅原「…どうしようもねえぐらい、幸せだ」

純一「だよなー…どうだよ、この花ビラ。
   みんなで急遽、紙をちぎって作ったんだぞ」

梅原「…おう、綺麗だ」

ひらひら…

純一「…じゃあちょっくら、聞いてこい。ちゃんとさ」

梅原「おうよ、大将!」すたっ

香苗「……梅原君」


330: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:31:18.23 ID:YWb3wH870

ひらひら…

梅原「…聞かせてくれ、伊藤さん」

香苗「……」

梅原「俺の気持ちは、いつまでも一緒だ」

香苗「…うん」

梅原「ずっと伊藤さんを、好きで居てもいいか?」

香苗「……───」

香苗「──うん! 私も梅原くんのこと好きだからっ…!」

ばっ

ぎゅっ…!

梅原「お、おおうっ…びっくりした」

香苗「好き、好きだよ梅原くん…絶対にもう、離したりしない」

香苗「私だって、これからもずっとずっと…そばから離れたりしないから…」


331: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:35:03.17 ID:YWb3wH870

香苗「これからはずっと…好きだって、正直になりつづけるよ…っ!」

梅原「…おう、俺もだ!」ぐいっ

香苗「きゃっ…!」

梅原「───やったぜぇえええ! 彼女できたぁああああああ!!」

会場『うぉおおおおおおお!!』

梅原「もうクリスマスは一人で過ごさなくてもいいぜぇええええええ!!」

会場『うぉおおおおおおおおおお」!!』

梅原「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

香苗「や、やめっ! はずかしい、恥ずかしいから!」

絢辻「…えらくノリがいいわね、会場の人たち」

純一「それはね、だって梅原が主役だもん」

純一「──みんな何処かで、期待してたんだよ」

純一「あの梅原正吉は……なにかしでかすってさ!」


332: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:40:22.34 ID:YWb3wH870

絢辻「…ぷ、そうなの」

純一「うん? どうかした?」

絢辻「うん、一つだけね。貴方に私も言っておかなくちゃいけないような気がするのよ」

純一「えっと…それはなにかな?」

絢辻「それはね…」

絢辻「──橘純一は何を仕出かすのか、全くわからないってこと」

純一「……」

絢辻「どうかしら? くすっ」

純一「……さすがだね、ちょっと見破られたことに驚いてる」

絢辻「何を仕出かすのか、楽しみにしてるわ」

純一「うん、楽しみにしてて良いよ」

純一「───もうすぐ、来るはずだからさ」


334: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:44:52.05 ID:YWb3wH870

梅原「うがぁあああああああああ!!」


ばぁーんっ!


梅原「あああ…あ?」

香苗「え、体育館のドアが急に空いて…」

薫「あれ、なにかしら…何処かで見たことのあるような…」


「──ハッローーーーー! ヒィーーーーハァーーーーーー!!」ヒヒィン!


「だ、誰だ!? 何かに乗ってるぞ!?」

「う、馬だァ!? 馬に乗ってるぞ!? なんでだ!?」

「───見て! あの暴れ馬を乗りこなしてる人っ……あれってもしかして!!」


森島「わお!」


在校生『森島先輩だぁあああああああ!!?』


338: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:51:53.54 ID:YWb3wH870

梅原「森島先輩……ハッ!?」くるっ

純一「──流石だな、梅原。まず先に僕を疑うなんて」

梅原「ど、どうしてあの人をっ…〝このタイミングで呼んだんだ大将!?〟」

純一「さて?」

梅原「とぼけるなっ! あの人はっ…楽しそうな場所であれば何処にだって現れて!」

梅原「そして最大限に楽しんで、周りを盛り上げ、そして最後に残っちまうのは!」

梅原「──なぜか森島先輩一人という、恐ろしい伝説を知らねえとは言わせねえぞ!」

純一「ふっふっふ」

梅原「っ……」

純一「これは…僕からの最後の試練だ、梅原!」

純一「──そのつかみ取った幸せで、森島先輩に勝ち残って見せろ梅原正吉!!!」

梅原「はぁっ!? 何を言って──」

「きゃああああっ!」


341: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 22:57:07.68 ID:YWb3wH870

梅原「ハッ……伊藤さん!?」

香苗「う、梅原くんっ…!」

森島「──ふふっ、この子がターゲットの女の子ね。ボーイッシュで実に好みよ! ハイヨー!」ぱしんっ

ヒヒィイインン!

「う、うわぁっ!? こ、こっちくる!?」

「うわぁああああああ! 暴れ馬だぁあああああああ!!!」

美也「うっわー! 椅子がなぎ倒されていく…」

紗江「み、美也ちゃんっ…! 早く逃げないと…!」

七咲「そこの水泳部のキミ、はやく塚原先輩探してきて。近くに居るはずだから」

田中「ひぁあああー!」

高橋「ちょ、ちょっとぉ!? 森島さんっ!?」

純一「……………」

絢辻「今さら後悔してるでしょう、橘くん」


342: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:02:40.20 ID:YWb3wH870

純一「ど、どうだ梅原!? 早くしないと、愛しい彼女が魔の手に落ちてしまうぞ!?」

梅原「今の状況が既に魔に落ちてしまってるよな!? 阿鼻叫喚だよな!?」

薫「ふぁ~、さーて。恵子ー! 文化祭回りましょ~」

田中「あ、薫~!」

絢辻「そういえば、お昼ご飯まだだったわね。食べましょうか桜井さん」

梨穂子「えっ? う、うん~?」

紗江「きゃあああっ!?」

美也「にっしっし! こっちが面白そうだからねー!」

七咲「…へえ、美也ちゃん。森島先輩側に付くんだね」

森島「ハイヨー! たっちばなくーん! これからどうするのー?」

塚原「──どうもしないわ、はるか」すっ

森島「に、逃げてぇえええ! タネウマくぅうううんっ!」


343: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:07:47.13 ID:YWb3wH870

「ぎぁああああああ!! 壁がぁあああああ!!」

「ちょ、これ危ないっ…危なくてあぶっ!?」


純一「…」

梅原「…」

純一「…と、とにかくだな!」

梅原「お、おう!」

純一「幸せ、なんだよな? 梅原?」

梅原「当たり前、だぜ? 大将?」

純一「……」

梅原「……とにかく、この状況をどうにかする案を考えやがれ! 橘ぁ!」

純一「いや、どうにかするって…あはは」

梅原「お前がやっちまったんだろ!?」


345: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:12:03.43 ID:YWb3wH870

純一「! そういえば打開策として、ひとつだけ考えてた事があった!」

梅原「マジか!? なんだそれ、早く出しやがれ!」

純一「よ、よしっ……ピュ~イ!」

梅原「指笛…? なんだ、なにか呼びだすつもりなのかよお前───」

かっぱら かっぱら

馬「ひひーん」

純一「馬だ」

梅原「どう見てもハリボテだよな!? 誰か入ってるよな!?」

マサ&ケン『はいってないぞー』

梅原「マサケンーーーー!!」

純一「いいから梅原、突っ込んでる暇じゃない。助けに行くんだ!」

梅原「な、なんだよっ…! これに乗れって言うのかよっ」

純一「と、とりあえず森島先輩から香苗さんを奪え返せば大丈夫! ほら、行って来い!」


346: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:15:46.06 ID:YWb3wH870

梅原「お、おうっ…よいしょっと」

マサ『あっ…くそ、重てぇなちくしょう…』

ケン『しかたねえよ、後で伊藤さんの臀部の感触を楽しもうぜ!』

梅原「良いから走れ! お前ら!」ぱしっ

馬「ひ、ひひーん」

森島「はぁ…はぁ…なんとかひびきちゃんを巻けたわ…むっ?」

梅原「森島先輩っ!」

森島「来たわねっ! 掛かってきなさい!」

香苗「梅原君っ…!」

梅原「っ……俺は絶対に離れねえと決めたんだ…!!」

森島「ふふふっ」

森島「──かかってきなさい! ジュリエット!」

梅原「負けるかよっ…うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


~~~~~~


349: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:20:25.27 ID:YWb3wH870

香苗「……」

香苗「…こりゃまた、すごい事になったよね~」

香苗(これが体育館の中…だとは思えないわ、ちょっとばかり)

香苗「……」


絢辻「次はそこよ! 素早く動きなさい!」

純一「はい! はい!」

絢辻「次はそこ!」

純一「はぃいいい!!」


薫「あ、これってまだ使えそうじゃない?」

梨穂子「え~でも、食べれないよ?」

薫「いや、これ、食べ物じゃないのよ桜井さん…?」

梨穂子「えっ!? じょ、冗談だよ~っ! あはは~っ」


マサ「ぐぁー! なんで俺等までー!」

ケン「自業自得だよな…」


350: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:25:59.16 ID:YWb3wH870

森島「くすんっ…」

塚原「……」ゴゴゴゴ

森島「ちょっとしたお遊びのつもりだったのよ~…」

塚原「怪我人が出るかもしれない事が、ちょっとした遊び?」

森島「ひっ」


七咲「美也ちゃん、大丈夫?」

美也「いや~! やっぱり逢ちゃんは強いよね~! だけどアレは引きわけだよ?」

紗江「はわわっ…二人とも、大丈夫だよねっ?」

七咲&美也「次は勝つよ!」

紗江「ふぁ~!」パチパチパチ


田中「大丈夫ですか~先生~?」

高橋「も、もうっ…なんてこと…」


香苗「……」すたすた…


351: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:29:51.08 ID:YWb3wH870

すた…

香苗「……」

「──ん、どうしたんだ伊藤さん?」

梅原「こっちは俺の担当だったはずだろ?」

香苗「…うん、確かにそうだったわ」

梅原「…。一緒に掃除するか?」

香苗「いい? やっても?」

梅原「もちろんだ」


さっさっさ…


香苗「…なんだか、一瞬の事だった気がする」

梅原「え?」

香苗「ここ数週間のこと、長かったようで。あっという間な気がするんだよね」


352: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:33:00.64 ID:YWb3wH870

梅原「まあ、そうかもな」

梅原「…なんだか俺もそんな気がしてきた」

香苗「………」

ざぁああああ~……

香苗「……正吉」

梅原「ん?」

香苗「──正吉くんって、呼んでも良い…かな」

梅原「お、おおっ……別に構わねえけど…そしたら、その」ポリポリ

香苗「香苗でいいよ」

梅原「…いいんだな? 呼んじゃうぞ俺?」

香苗「もちろん、下の名前で呼ぶのは嫌なの?」

梅原「馬鹿言え! そんなわけないぜ!」

香苗「んっふふ、じゃあ香苗。さんはいっ!」


353: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:38:17.75 ID:YWb3wH870

梅原「おうっ! あーゴホン、ンン!」

香苗「……」すっ

香苗「んっ」

梅原「かな、むぐっ!?」ちゅっ

香苗「……ぷはっ…」

梅原「………は?」

香苗「あはは、呼べなかったね。下の名前でさ~」くるっ

梅原「ちょっ、えっと、今の…っ?」

香苗「──これで二回目、我慢できなかったのは」

香苗「だけど、もう我慢する…必要無いんだよね?」

梅原「……」


梅原「……ああ、いつだってしてこいよ! その為に、何時だって傍にいてやるから!」


354: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:40:51.97 ID:YWb3wH870

長い
読んでくれる人いたのか疑問だけど終わりだよ

香苗ちゃんのss増えてください。


次もまためんどくせえ話で会えたら
ご支援ご保守ありがとう

ノシ


356: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:42:51.64 ID:7L7m7lV10

面白かった
お疲れ様でした


361: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/22(月) 23:51:25.40 ID:nhtpV9em0

お疲れっした


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