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球磨川(女装)「ねえねえ善吉ちゃん、超大好きなんだぜ?」

引用元: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1349161238/
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:00:38.93 ID:2cnmC6Xp0

善吉「……は?」

球磨川「あれ、おかしいな。僕の声が聞こえなかったのかな?」

球磨川「ならもう一度告白してあげるよ、あのね、善吉ちゃ───」

善吉「いや、待ってくれッ! いやいや待ってください球磨川先輩ッ! 
   そのアンタの格好に対しても突っ込みが追いついてませんから!」

球磨川「おいおい。僕と善吉ちゃんの仲じゃあないか、
    そんな他人行儀な謝礼行儀な口調と呼び名はやめてよ」

球磨川「──気軽に禊きゅんって呼んでくれても構わないんだよ?」

善吉「」


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:08:32.67 ID:2cnmC6Xp0

球磨川「おや……ふむ、どうしたんだよ善吉ちゃん。
    犬がエメラルドマウンテン登って頂上を拝んだような顔をしてるけど」

善吉「……はっ!?」

球磨川「──熱でもあるのかな、どれどれ」ぴとっ

善吉「っ!?」

球磨川「よかった大丈夫みたいだね、熱も無いし、具合も悪くなさそうだし」すっ…

球磨川「いつもの善吉ちゃんのようで安心したよっ!」ぐっ

善吉「」ぞわぁ!


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:15:28.57 ID:2cnmC6Xp0

善吉「ッ……とりあえず───」

球磨川「ん?」

善吉「───俺から離れろォ! 球磨川禊ぃいいいい!!」ドガァッ!

球磨川「キャー」ドコォ!

ぱたーん

善吉「はぁっ……はぁっ……!」

球磨川「…酷いなぁ、まったくもって酷いよ」ゆらり

球磨川「フツー告白してきた娘に対して本気の蹴りを食らわせる?
    フツーに死んじゃうぜ、今の善吉ちゃんの蹴り食らっちゃうと」

善吉「あ、アンタは何処をどう見ても、今も昔も現状も普通じゃないからいいだろうがっ!」

球磨川「あはは、言うねぇ善吉ちゃん」


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:22:19.38 ID:2cnmC6Xp0

球磨川「だがしかし、嫌いじゃないぜ。そういった場の流れに対する反骨精神は…」

球磨川「…だけど、まあ、そういった精神はこの際に横へと置いといてさ」

善吉「…」

球磨川「流れて流れて、今の僕の現状までに流れ落ちて、
    僕とイチャイチャしようじゃあないか、ね?」

善吉「い、嫌だ」

球磨川「どうしてかな? んー、もしかして僕のことが嫌いだから?」

善吉「そ…それもあるが、それ以前に! アンタどうしてそんな事言うんだよっ!?」

球磨川「……そんなことって」

善吉「そんなことだろ!? ど、どうして俺に……す、すすすきとか! 言うんだ全くわからねぇだろ!」

球磨川「……」


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:30:56.16 ID:2cnmC6Xp0

善吉「それにだ! 球磨川先輩! アンタのその格好……一体なんだってそうなるんだ!?」

球磨川「だって善吉ちゃん、男の姿で告白してきたら割かし引いちゃうだろ?」

善吉「十全で引くわ! どっちでも全力で引く!」

球磨川「そりゃないぜ……僕の気苦労が水の泡として消え去るようなこと言わないでくれよ、はぁ~」

善吉「だっ、だったらその泡が消え去る前に今自分がしてることをよーく考えろよ!?」

球磨川「……」

善吉「……」

球磨川「密かに思う乙女心から……肉食系女子の弾ける思いへ、クラスチェンジ!」びしっ

善吉「その思い弾け飛べッ!」グォッ!

がっきぃいいん!

球磨川「───あっはは、楽しいなぁ善吉ちゃん
    僕はこうやってきみとイチャイチャできて楽しくてしょうがない」


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:35:37.34 ID:2cnmC6Xp0

善吉「お、俺は全然楽しくっ……ないっ!」バッ!

球磨川「!」

善吉「はぁっ……アンタが言ってることが、全部全部虫酸が走る!
   今までにないほどに、これでもかってぐらいに! 寒気がヤバイんだよ!」

球磨川「…つれない事いうなよ善吉ちゃん、僕だってけっこうアレなんだぜ?」

善吉「な、なんだよ」

球磨川「…………」

くるっ

球磨川「……その、恥ずかしいんだよ、言わせるな恥ずかしい」

ちらっ

球磨川「きゃっ」

善吉「」ぞわぁああ!


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:43:50.82 ID:2cnmC6Xp0

球磨川「──くすくす、だけどどうかな善吉ちゃん。
    ここまで何の躊躇も無くやってのけた、今の僕の姿は?」

善吉「ただの女装してる、変態だ!」

球磨川「その通り、実にその通りだよ善吉ちゃん。矛盾だらけでこれといった法則性も無い。
    今ある現状だけがこの場の解決への手がかりだね、実に困った、その通りすぎてね」

善吉「な、なにが言いたいんだよ球磨川先輩…」

球磨川「じゃあ聞くけど善吉ちゃん」

球磨川「───どうして僕の声に〝虫唾〟が走るのかな? ん?」

善吉「え…?」

球磨川「君はある程度まで、僕の嫌悪感の塗りたくられた言葉に──きちんとした耐性があるはずだ」

球磨川「だが今の善吉ちゃんには、どうもその耐性とやらが発動できていない用にみえるんだけど…」

球磨川「…なるほどね、やっぱり、そういったことになるんだ」


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:52:32.37 ID:2cnmC6Xp0

善吉「だから! 何をさっきから言ってるんだよ!」

球磨川「ザ・シンキングターイム……一体全体どうしてきみは対抗できない?」

善吉「っ…」

球磨川「僕の言葉にたいして、最も人間の中で信ぴょう性のない僕に対して───」

球磨川「───どうしてそこまで〝本気になって嫌悪感を持てるんだい?〟」


善吉(どうしてって…そりゃ球磨川先輩の言ってることは誰にだって信用されない。
   それほどまでコイツの言っている発言は不確定で、虚無に等しい責任皆無なんだから)


球磨川「……」にやにや


善吉(…だけど、球磨川先輩が言っている通り今の俺は最上級に嫌悪してしまってる。
   コイツの顔を見たくないほどに、視線を絶対に合わせたくないほどに)

善吉(だってそれは───コイツの言ってることは気に障るから、気に触って、そして気を掴んでしまうから)

善吉(だから俺は球磨川先輩の言ってることを無視できない、対抗できない───いや、待てよ?)

球磨川「──はい、終わり。さて答えを聞こうか善吉ちゃん?」


21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:58:42.18 ID:2cnmC6Xp0

善吉「………」

球磨川「理由はわかったかい? 自分の気持ちの整理はきちんと片付けたかい?」

球磨川「それでは聞こうかきみの答えを……さあ、聞かせて頂戴」

善吉「……」

球磨川「? どうしたの?」

善吉「……」ガクガク…

球磨川「ねえ、どうしたの善吉ちゃん? あはは──」すた…

球磨川「──そんなに濡れたような犬のように、震えてしまって」すたすた…

善吉「……」ガクブル…

球磨川「見てるとこっちまで可哀想になってくるじゃあないか、くすくす」すたすた

すた

球磨川「──ねえ、善吉ちゃん。きみの答えを聞かせてよ、その可愛い口から教えてくれないかな」

善吉「あ、あんた……」

球磨川「うん?」

善吉「か、括弧……つけてないの…?」


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 17:05:45.31 ID:2cnmC6Xp0

球磨川「うんっ! つけてないけどっ?」にこっ

善吉「」

球磨川「あははっ、もうもう! 遅いぞ善吉ちゃん!
    いくらなんでも初めに合った瞬間から気づいたとしてもおかしくない程に不自然だったろ?」

くるくる

球磨川「何処をどう見ても僕という今の人間は──不自然の塊なんだから!」

球磨川「見てくれよこのスカート! 短すぎやしないと思わない? あとこのカツラ!」

球磨川「善吉ちゃんが好きだろうとロングにしてみたんだけど、どうかな? あとで感想教えてよ!」

球磨川「あーでも、やっぱり善吉ちゃんから感想言われちゃうとなー照れちゃうからなー」

ぴた

球磨川「…あとで僕の下駄箱に感想を書いた手紙を入れておいてよ、お願いだよ?」

球磨川「ね? 善吉ちゃん?」

善吉「」


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 17:12:58.78 ID:2cnmC6Xp0

球磨川「…おいおい、無視は嫌いだぜ僕は」すた

善吉「っ」

球磨川「だからどうだい、ここはひとつ提案なんだけど──」くいっ

球磨川「──僕も我慢するから、必死に我慢するから、全力で恥ずかしがらないから」

球磨川「僕の今の姿に対する、ひとつ感想を言ってみては如何かな?」

善吉「いや、球磨川せんっ…!」

球磨川「答えろ」

善吉「っ……!!」びくぅ!

球磨川「……僕が手放しに本気で言っている言葉だ、
   これがどういった意味でどういった配慮なのかわかってるのかい」

善吉「っ……そ、それは……その……」

球磨川「早く言えよ」

善吉「ッ~~~……ええっと、きもいです…はい…」


27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 17:18:14.18 ID:2cnmC6Xp0

球磨川「………」

善吉「すっごく…気持ち悪いですっ…ヤバイぐらいに…吐きそうなぐらいに…!」

球磨川「………」

善吉「今すぐにでも…球磨川先輩を殴り倒して…それから教室へと走り逃げ去りたいです…!」

球磨川「………」

善吉「こ、これが俺の……本音です…!」

球磨川「………あっそ」ぱっ

善吉「うっ……っとと……」

球磨川「…ふーん、そうかい。善吉ちゃんはそう思ってたのか、それはそれは」

善吉「あ、あの……球磨川先輩…?」

球磨川「確かにそれは……『仕方ないことだよね、だって普通なことじゃないし、決して許されるようなことでもないから』」


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 17:30:02.00 ID:2cnmC6Xp0

球磨川「『常識的に考えて、男同士が恋とか愛とか恋愛とか告ったりとか白ったりとか告白とか』」

球磨川「『語ったりとか思ったりとか片思いとか恋しくなったりとか蒔くったりとか恋慕とか』」

球磨川「『そんなこと全部ひっくるめて吐き気が催す程に気持ち悪くて、信じられないほどに嫌悪が満載で』」

球磨川「『たとえそれが僕という人間だからなんて、そんな言い訳が通じないほどに───』」

球磨川「『僕という人間は気持ち悪くて善吉ちゃんに嫌われるような人間なんだなあって、大丈夫、僕も気づいてるよ』」

くる…

球磨川「『…あはは、善吉ちゃんも素直だなあ。言えって言ったら直ぐに応えちゃうんだから、もう』」

善吉「…球磨川先輩?」

球磨川「『なんだよ、こっち見るなよ。気持ち悪いと思ってるんだろ』」

善吉「…ま、まあ」

球磨川「『だったら僕に近づくなよ、慰めようとかするなよ、ふざけるなよ』」


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 17:37:06.26 ID:2cnmC6Xp0

善吉「えーと……その、別に慰めようとか思ってなかったり…」

球磨川「『………』」

善吉「勝手に悲しがるなら、どうぞご勝手にと…はい」

球磨川「『………』」

善吉「そんな感じです…」

球磨川「『───だよねー!』」くるっ

球磨川「『善吉ちゃん、まさにその通りなんだよ! あは、実に明快その通り!』」

球磨川「『今きみが言った言葉は……正しすぎるほどにこの場の答えなんだから!』」

球磨川「『そう! 善吉ちゃんがしなければならなかったのはただひとつ、それは僕への明確な拒否!』」

球磨川「『何時になったら言ってくれるのなーなんて、僕らしく無く気長に待っちゃったよ、あはは』」

球磨川「『おめでとう、善吉ちゃん。これでこの場の謎は全て解決だ。これにて一件落着』」くるっ…


球磨川「───なわけないだろ、善吉ちゃんのばかっ!」だだだだっ!


41: ていせい 2012/10/02(火) 17:54:59.69 ID:2cnmC6Xp0

善吉「あ、逃げた……」


球磨川「ばかー!」だだだ…


善吉「……」

善吉「……何だったんだ、一体全体…」

「───いやはや、なんともおぞましくも面白いことに首を突っ込んだねぇ…人吉くん」すた

善吉「この声は……安心院さん!」

安心院「やあ、お久しぶり」

善吉「お久しぶり? いや、さっきの時間に廊下であったじゃないですか」

安心院「おっと、そうだったね。これは失敬、忘れてくれよ人吉くん」

善吉「は、はあ…」

安心院「それよりも、そんなことよりも…なあなあ、なにがあってこうなってるんだい」

安心院「ちょいとこの安心院なじみさんに、ご相談しては如何かな?」


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 17:59:27.98 ID:2cnmC6Xp0

~~~~~~

安心院「───ヘェー……あの彼がそんなことを」

善吉「そうなんですよ…いやね?
   俺が思うにあの人、どっかで頭を打ったか殴られたかしたと思うんです」

安心院「それはどうかな、彼は当たり前に不死身で頑丈で卑屈な男なんだよ?」

安心院「彼のようなマイナスな人間は死を経験するほどのものでない限り──
    おっと、死という概念すら彼には生ぬるかった、これは安心院さんも失念失念…」

善吉「確かに、あの人不死身でしかも死ねないですしね…」

安心院「それはさておき、人吉くん」

善吉「なんですか?」

安心院「僕が思うにね、こういう事情ってものは結構いとも簡単に解決するもんなんだよ」

善吉「本当にですか!? 本当に解決できるんですか安心院さん!?」

安心院「くっく、必死だねぇ…それほどまでに嫌悪してたのかい?
    これは流石にあの球磨川くんだったとしても可哀想になってくるよ」


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 18:06:06.54 ID:2cnmC6Xp0

善吉「そ、そりゃあ…確かにあんな風に
   逃げられてしまったら、その…欠片も思わないことは、無いですけど」

善吉「俺は…今までの、球磨川先輩のほうが…断然いいです!」

安心院「…ふむ、確かにキミの言ってることも一理ある」

安心院「あのような球磨川くんは見てて楽しすぎて腹が捻じれ千切れてしまいそうになるけれど」

安心院「僕という存在が一度は認めかけた、そして期待しかけた人間だから」

安心院「彼という人間性をどうにか元に戻したいという気持ちはあるんだよね」

善吉「ほ、本当ですか…!?」

安心院「ああ、安心していいよ人吉くん(安心院さんだけに)」

安心院「───キミの抱えている、後生大事に腹の奥底に抱えているその思い……」

安心院「この安心院なじみが、どうにかしてあげようじゃあないか げらげら」


44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 18:10:04.87 ID:cMwMU9Wj0

この人絶対楽しんでるよね


45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 18:12:31.06 ID:2cnmC6Xp0

~~~~

善吉「………」

善吉「……だ、大丈夫だろうか」

善吉「デビル不安でしょうがねぇよ! ……例えあの安心院さんであっても、相手は球磨川先輩だしなぁ」

~~~

安心院「人吉くん、キミはこれから普通に教室に戻っていいよ」

善吉「だ、大丈夫なんですか?」

安心院「平気平気、その間に僕が彼をどうにかさせておくからさ」

安心院「──キミは平然と気楽に、普段通りの学校生活を送ればいいんだよ」

安心院「──さすればそのとおりに、今の間違った現状もその流れに付き添ってくれるはずだからね あはは」

善吉「は、はあ……わかりました」

~~~

善吉「よくわかんねー言い方だったけど、まあ、あの人が言うことだから大丈夫だよな…うん!」

がらっ


47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 18:18:45.18 ID:2cnmC6Xp0

善吉「よぉーす、みんな元気かぁー」


ドドドドドッドドドド!


善吉「…んあ?」

善吉(な、なんだこの教室に溢れかえるっ…この重圧感…!?)


ドドドドドドッド!


善吉(っ……いや、違う! これはコレは、ただの所謂漫画的効果音ではなくて…!?)


ドドッドドドドドドド!


善吉「──この教室にいる奴らの、鼓動の…音だと!?」


「やあやあ、善吉ちゃん。遅かったね、心配しちゃったよ」


52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 18:36:10.09 ID:2cnmC6Xp0

ふわぁ

善吉「──え」

「どうしたんだい、犬が初めて別の品種を目撃したような顔をして……」

「…くす、もしかして、もしかすると善吉ちゃん───」


球磨川(女)「───この僕に見惚れちゃったとでも、いうのかな?」


善吉「───………」

球磨川「イェイ☆」パチッ

善吉「……あ、アンタ…球磨川先輩…?」

球磨川「それ以外にどんな人物だって思うんだよ、こんな可愛らしい女の子なんて他に居ないだろ?」

善吉「じ、自分で可愛いって……それ、本心で言ってるのか…?」

球磨川「あはは、じゃあ試して実践して賭けてみようか善吉くん──」

球磨川「───この僕の瞳を、十秒間見つめ続けてみてよ」ずいっ


54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 18:43:27.81 ID:2cnmC6Xp0

善吉「ぐっ…!」

球磨川「んー? どうしたの? ねえねえ、善吉ちゃん?」

球磨川「もっともっと、善吉ちゃんの顔を見せてくれよーねぇーってばー」ぐいぐいっ

善吉(顔が近いっ…!)

球磨川「くすくす、どうしたっていうんだよ。おいおい、人吉善吉ともあろう男が───」

球磨川「──女の子一人に手間取るなんて、らしくなくて可愛くて笑顔になってしまいそうだ」ニコ

善吉「ッ~~~───!?」

球磨川「さあさあ…わかってるんだろ? こんな風に密着しあって」

ぎゅっ

球磨川「…息がかかりそうな距離で喋り合って」

はぁー…ふぅー…

球磨川「僕と善吉ちゃんは、見つめ合ってるんだぜー?」


55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 18:51:01.44 ID:2cnmC6Xp0

善吉(な、なんだっていうんだ…!? ついていけねえ!
   この現状もそうだがッ…そんなことよりも球磨川の言葉に!)

善吉(テンパッて頭の整理が追いつかねえよ! どうしたの俺!? どうしちゃったの俺!?
   落ち着け落ち着け、まずはこの場を把握しねえと───)

善吉(───教室にいる奴らは…なんだ、異様にこっちを見てるような…いや違う!)

善吉(《球磨川先輩だけを見続けてる》のかこれ…!?)

善吉(ど、どうしてんなことっ…いや、わかるけども! そうじゃなくて!)

球磨川「ふぅー…」

善吉(というか息がくすぐったい!)

球磨川「あのさー、善吉ちゃん。周りにいる生徒の様子を確認するだけじゃなくって───」

球磨川「──もっと僕の姿を見てくれよ、ねえねえって」ぎゅうっ

むにゅむにゅ

善吉(柔っ!? 二つの弾力が柔っ!?)

球磨川「………善吉ちゃん」ぎゅっ

善吉「ッ…!?」ドッキーン!


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 19:01:16.94 ID:2cnmC6Xp0

善吉(おちちおちちちつちちちつけけけ)

球磨川「……ふふっ」

善吉(わ、分かった! 初見から一発で見抜けたけどやっぱりわかった!)

善吉(何故か先ほど変わって、いつも通りの学ラン姿!
   しかしそれとは変わってスラリとした体格は表れておらず!)

善吉(その内側から浮き出る…女性特有のラインを持った美しい脚線美!)

善吉(抱えたら思わず崩れてしまうかのような、均等の取れた腰つき!)

善吉(雪崩れるように背中まで伸びた、黒よりも黒に染まった繊細な髪質!)

善吉(そして! もともと童顔だった顔がさらに丸美を帯びて可愛らしさの質上がった顔立ち!)

善吉(……そして現状を持ってして、形を変え続ける二つの膨らみ)

善吉(この全ての情報によって至らしめている───今の現状は!)

善吉「…どうして、女になってるんだ…?」

球磨川「今更過ぎる質問だよ、善吉ちゃん」


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 19:07:54.47 ID:2cnmC6Xp0

球磨川「本当に今さら過ぎて、殊更過ぎて、欠伸が止まらないよほんっとね」ぐいっ

善吉「え、ちょっ…どうして俺の制服に顔を押し付ける!?」

球磨川「ぁう……ん? だってホラ、欠伸をしている顔なんて見られたくないじゃあないか」

球磨川「だから善吉ちゃんの制服に顔を押し付けて、欠伸したんだ」

球磨川「…それとも僕の欠伸顔、見たかったかい? ふふっ」

善吉「み、みたくねえよ!」

球磨川「そっか、それは残念。もしかしたら僕の欠伸が移って善吉ちゃんの欠伸顔を拝めると思ったのに」

球磨川「あはは、見たかったなぁ善吉ちゃんの欠伸顔……今度、僕だけに見せてくれない? だめ?」

善吉「だ、ダメに決まってる! いや、そうじゃない…ノセられてどうするんだ俺…!」


60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 19:14:58.18 ID:2cnmC6Xp0

球磨川「ねぇーねぇー善吉ちゃんー」ぐいぐい

善吉「だぁー! 猫みたいにひっついてくるんじゃねえっ!」バッ!

球磨川「おっとと…」

善吉「はぁっ…はぁっ…もう一度聞く! アンタ本当に球磨川禊なんだなっ!?」

球磨川「何度もそう言ってるじゃあないか、相変わらず把握能力が乏しいなあ…まあ、そんな所も可愛いって僕は思うけど」

善吉「か、可愛いとかいうな!」

球磨川「照れてる照れてる」

善吉「照れてない!」

球磨川「まあ、そういうなって───お、ジャスト十秒だぜ」ぴっ

球磨川「…それでどうだい、善吉ちゃん。今あるきみの懐の気持ちは」

球磨川「──その心臓の高鳴りは、はたして嘘偽りなのかどうなのかってさ」


65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 19:24:19.30 ID:2cnmC6Xp0

善吉「っ…!」

球磨川「そうだよねぇ、うんうん。言わなくたってわかる、大丈夫、だって男の子だし」

球磨川「女の子の身体にここまで密着されれば、清く正しく美しい男子高校生であれば──ね」

球磨川「……まあだって、その逆を言うなれば」ちら

球磨川「──僕だって実の所物凄くヤバイぐらいに恥ずかしいんだから」

球磨川「つまりコレといった僕に罪はなく、その善吉ちゃんの胸の高なりに対して…」

球磨川「僕は悪くない」

善吉「…そ、それは…!」

球磨川「だってそういうモンだろ? 善吉ちゃん」

球磨川「──今は男と女だ、その感情に罪も嘘も仮も偽も負も腐も辞も血も体も性も──」

球磨川「関係は全くないんだぜ?」


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 19:35:26.79 ID:2cnmC6Xp0

善吉「かっ……カカッ!」びしっ

球磨川「?」

善吉「うっ…嘯くじゃねえ! 球磨川! 例え確かに何らかの理由があってお前が女になったとしてもだっ!」

善吉「お前が元が男だってことは、俺の中でキチンとした記憶があるんだぜっ!?」

球磨川「………」

善吉「今のお前の姿は女だ! だがな、俺は決してそんなふうに
   テメーの口車に乗せられるほど馬鹿なヤツじゃねーんだよ!」

球磨川「………」

善吉「お前のわけのわかんねー真っ黒な企みがあるのは、重々承知の上でこの発言だ!」

善吉「もういいだろ!? ここまで俺を辱めたんだ! そろそろ本音とやらを言いやがれよ!」

球磨川「…企み?」

善吉「ああ、そうだっ…! お前は絶対に理由なしにこんな事をしないはずだからな!」

球磨川「…おい」

球磨川「…おいおい、おいおいおいおい」


70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 19:44:06.93 ID:2cnmC6Xp0

球磨川「………」

球磨川「あのさ、善吉ちゃん」

善吉「な、なんだよ……」

球磨川「………待ってくれよ、そりゃないぜ、本当にさ」

球磨川「何を口にだすのかと思えば……球磨川禊が企み? っは、はは」

善吉「…な、なにがおかしい!」

球磨川「やれやれ、何言ってるんだこの善吉ちゃんはってさ、本当にばかわいいなぁって思ってるところ」

球磨川「可愛くて可愛くて──どうしようもなりそうなぐらい、愛おしくて」

球磨川「分かって貰えてなかった怒りよりも、知ってほしいという愛情のほうが上回ってしまうじゃあないか」

善吉「っ……な、なんだよ! 何が言いたい…!?」


球磨川「───球磨川禊という女に、企みは無い」


72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 19:49:57.49 ID:2cnmC6Xp0

善吉「…え?」

球磨川「もう一度言ってあげようか? しょうがない、じゃあいうよ?」

球磨川「球磨川禊という女に、策略や謀略、その他に渡る暗躍的情景は一切ない」


球磨川「──まあ、ぶっちゃければ善吉ちゃん大好きー!」ぎゅうっ!


球磨川「ってことかな? えへへ」ぎゅうう~…!

善吉「ふぁあっ!?」

球磨川「んーん~! あ、善吉ちゃんってもしかして僕と同じボディソープ使ってる?」くんくん

善吉「か、かぐんじゃねえ!」

球磨川「いいだろ別に、気にするなって。寧ろ気にしてくれるのかい? いいねえ、感謝するよ」

善吉「や、やめろって!」

球磨川「あーもう、暴れたから匂いが飛んじゃうだろ。大人しく僕に抱かれておけって、ね?」


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 20:11:55.48 ID:2cnmC6Xp0

善吉「うっ……うああああああああ!!」ばたばた!

球磨川「…しょうがないなー」

ぞぞぞぞぞんっ!

球磨川「──これでどうだい、善吉くん…あはは、見事に貼り付けだ」

善吉「なっ…!」

球磨川「きみが暴れるから致し方ないしと、僕も不承不承ながらも心鬼にしてやったことだから」

球磨川「僕は悪くないよ?」ニコ

善吉「わ、悪いわ! は、はなせっ…床に貼り付けやがって──って、おいっ…どうして俺にもたれ掛かる!
   やめろ! 俺の上に乗りかかるな! 女豹のポーズをとるんじゃねえ!」

球磨川「善吉ちゃん…大丈夫だって、大人しくして、全部のことを僕に任せればいいから」ごそごそ

善吉「な、なにをだよ!? なにをするきだよ球磨川───!!!」


「───時を操るスキル『時感作用』タイムバニー」


80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 20:19:38.54 ID:2cnmC6Xp0

ミュイーーン!

善吉「………え?」

「──いやはや、これには安心院さんもびっくりだぜ……」

善吉「あ、安心院さん!」

安心院「天井から失礼するよ、人吉くん……よっと」とん…

善吉「あ……安心院さん……っ!」ぱぁああ!

安心院「よしよし、怖かったねぇ人吉くん。きみの気持ちもよーくわかる」

安心院「しかし人吉くんの貞操の危機はさほど現状では問題にならないんだな、これが」

善吉「えっ…?」

安心院「うん、まあ、今この教室の時を少し止めてるんだけど───」

球磨川「」ぎぎぎぎぎ

安心院「──やっぱりきみは動くと思ったよ。流石は僕が見込みかけた男だ」

安心院「さて、完全に時を嘘っぱちにされる前に…人吉くん、ほら、逃げるよ」


82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 20:27:58.85 ID:2cnmC6Xp0

ががががが!

善吉(螺子が触れること無く抜けていく……)

安心院「そしてきみにはやってもらいたい
    ことがあるのだから、ここで間違いを起こしてもらっちゃー困るんだよ」

善吉「…やってもらうこと?」

安心院「そうとも、だがここでは出来ない相談だから、まずは逃走を図る」ぐいっ

善吉「うぉっ?!」

安心院「さてさて、どうにもこうにも儘ならないことばかりだぜ……」

ぎゅんっ!

~~~~~~

安心院「走りながらだけど、つまりどういうことかを説明するよ、人吉くん」

善吉「あががががががが」

安心院「あの球磨川禊は───正真正銘、本物の球磨川禊だ」

安心院「彼は実の所……まあ、ぶっちゃければ僕が色々とスキルで弄ってあげたんだよね あはは」


84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 20:36:48.87 ID:2cnmC6Xp0

善吉「ぐげげげげげげげ」

安心院「どうして、と思うかい? そうだろうねぇ、きみは彼を元の彼に戻して欲しいと願ったはずなのに」

安心院「いやはや、だからと言って不安に成らなくてもいいんだよ。
    ちゃんときちんと安心院さん的にウィークポイントを残しておいたさ、やるなあ僕」

安心院「とどのつまり、彼はきみへの欲求に飢えている──それは決して認められるようなものではなく、
    そして一般的に現状の関係性ではその欲求を日々耐えて行かなければならない」

安心院「それは球磨川禊という人間には───まさに拷問の日々。常日頃から心はささくれ、
    筋の通った、通りすぎて筋が弓なり曲がっていた彼の自己意識は崩壊を迎え──」

安心院「──キミの前へ、女装をして現れることとなった」

安心院「可哀想にねぇ、なんていじらしいんだろう。彼は決してきみから良い返事とやらを貰うつもりはなかったらしいよ」

安心院「ただただ、きみへ自分の想いをぶつけたかっただけなんだろうと、僕は予想しているよ」

安心院「しかしそれでも、現状は打破されない。彼の想いは常に降り積もってゆくばかりだし、
    その想いに踏ん切りをつけるほどに彼の強さは強くなく、そして弱者らしく諦めもしない」


86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 20:46:09.94 ID:2cnmC6Xp0

安心院「球磨川禊という男は、絶対的に諦めの悪い《男》なんだ」

安心院「ところがどっこい、僕みたいなチート女子がいたもんで」

安心院「その彼の──執拗的な根性に──横槍を入れるがごとく」

安心院「僕という存在で、彼の悩みを解決させてあげようと思ったんだ」

安心院「結論からいっちゃうけど、人吉くん」


安心院「──球磨川禊(女)を、キミの力で満足させるんだ」


安心院「そうすれば、さすればもしくは、いや完璧に、じゃなくても十全に」

安心院「彼の繋がらない想いは霧散霧消する予定にしておいたんだぜ?」

安心院「まあ、言っちゃえばそれだけの話し。無論、頑張ってくれると思ってるぜ人吉くん」

安心院「頑張れよ、それなりに応援してやっておくからさ」ぱっ

安心院「んじゃこれで。…あ、それと今回のこと解決させれば人吉くんの記憶も消してあげなくもないよ、ばいばい」


89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 20:56:57.89 ID:2cnmC6Xp0

~~~~~~~~~~

善吉「う、ううん……」

善吉「……あれ、ここは…?」

「──おや、目覚めたのかな善吉くん」

善吉「ああ、おう……なんだか悪い夢をみてたような…」

「………」

善吉「だけど、それでもちょっと柔らかくて…嬉し──って、なんだぁ!?」がばぁ!

球磨川「わあ」ぱっ

善吉「…!? …!?!?」

球磨川「やるじゃあないか、善吉ちゃん。把握能力が向上したみたいだね」

善吉「なっ…なななな! なんで俺!? 球磨川先輩とベットで添い寝してんの!?」

球磨川「……ちょっとちょっと、そんなにも毛布をめくらないでくれよ」

球磨川「……僕が今、裸なのがバレちゃうだろ」


92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 21:03:39.97 ID:2cnmC6Xp0

善吉「なっ……なあぁああ!?」

球磨川「……」ちら

善吉「み、みせんじゃねぇええ!!!」ばばっ!

球磨川「あれ? みないの?」

善吉「みっ…みっねーよ!! 誰がお前みたいな貧相な身体をっ…!」

球磨川「………」

球磨川「『……そりゃーまぁ、僕の身体はめだかちゃんに比べてメリハリ少なくて突出部分も少ないよ…』」もぞっ…

善吉「っ……ああ、そうだな! お前みたいなお子ちゃまな身体なんて! これっぽっちもみたかぁーないね!」ちら

球磨川「『………』」くるくる…もぞもぞ…

善吉「……その、なにやってるんだ?」

球磨川「『みのむしのまね』」

善吉「…拗ねてるの?」

球磨川「『な、なわけないだろっ……ふざけるなよ、善吉ちゃん。僕だって怒ることもあるんだからね、言って良いことと悪いことを考えろよ』」


94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 21:13:50.13 ID:l9kZs2YK0

善吉(拗ねられた…若干、声に覇気がねえし本気で拗ねてるよこの人…。
   つぅーかみのむしって、それ毛布が体全体に巻き付いてるだけで、体のラインが浮き彫りになって逆にエロ──)

善吉「──げほっこほっ、んんッ!」

球磨川「?」

善吉「あー……えっと、球磨川先輩?」

球磨川「『…禊』」

善吉「はい?」

球磨川「『禊って呼んでほしいなー……僕』」

善吉「い、いい…嫌だ!」

球磨川「『じゃあこの格好のままに、全力で全身全霊をかけて叫んでやる』」

善吉「それだけはやめてくださいお願いします」

球磨川「『じゃあ呼んでよ、禊ってさ』」

もぞっ…

球磨川「…だめ?」ちら


95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 21:19:23.67 ID:l9kZs2YK0

善吉「っ~~~~~~!!」ドキン!

球磨川「……」じっ

善吉「っ……あ……ぐっ……」

善吉「……その、えっとっ………」

善吉「…………み、禊…」ぼそっ


球磨川「っ~~~~~~!!」ぱぁああ!


球磨川「も、もう一回言って!」

善吉「禊……」ぽりぽり…

球磨川「~~~!! も、もう一回……」

善吉「だ、だめだだめ! もう言わないぜ! デビル言わない! そう決めた!」ぷいっ

球磨川「『えー……なんだよそれ、善吉ちゃんが恥ずかしがる顔が見れないだろー』」

善吉「っ…! そっちかテメーの狙いは!」

球磨川「『あははー! 善吉ちゃん顔真っ赤だぜ?』」


101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 21:29:17.34 ID:l9kZs2YK0

善吉「なにをっ……───あ、お前こそ顔が真っ赤じゃねーか!」

球磨川「えっ? あ、いやっ…そ、そ『そんなことないだろ、何を言ってるんだよ善吉ちゃんは』」もぞっ!

善吉「いーや! お前のほうが顔が赤かったぜ! この目は嘘を付けねえからな!」

球磨川「………」

善吉「ほらほら~? どうした、んん? 毛布に顔隠してないで、しっかりこっちに見せやがれって」

球磨川「『ば、馬鹿だろ善吉ちゃんは。こんなこと女の子にするなんて、本当に最低だぜ』」

善吉「別にいーじゃねえか、あはは…なんか知らねえけど俺も段々と慣れてきたようだ」

球磨川「『………』」

善吉「そうだ、そうなんだ。別に女の姿だからって、球磨川禊って人間に変わりはないんだ」

善吉「…俺のほうが常に強気であれば、どうにか切り抜けられる問題ってことだろ! カッ! ひよってかっこ悪いぜ俺!」

球磨川「『……なあ、善吉ちゃん』」

善吉「なんすか球磨川せんぱーい?」


104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 21:38:25.56 ID:l9kZs2YK0

球磨川「『……』……禊って呼んでくれないんだ」ぼそっ

善吉「あー? きこえないっすよ、もっと大きな声で言ってもらわないとさ~」

球磨川「…ねえ、ちょっとこっちきてよ善吉ちゃん」

善吉「あ?」

球磨川「上手く聞こえないんでしょ? じゃあもうちょっと此方においでよ」

善吉「いいっすけど~、まあかったるいんで、長いこと喋るのやめてくださいねほんっと」すた…

球磨川「……」

善吉「んで、なんすか? 早いとこパパっと喋っちまって───」

球磨川「えーいっ」がばぁっ!

善吉「──んぁああっ!?」

ばさあ……

善吉「え、急に毛布の中に引きずり込まれ………て……」

球磨川「……」

善吉「……は……」

球磨川「…そんなに見るなよ、恥ずかしいだろ、もう」


115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:10:15.03 ID:l9kZs2YK0

善吉「…………………」キュィーン

球磨川「おっと、欲視力で僕の視界にしたって無駄だぜ?」すっ

善吉「ぶはぁっ!?」

球磨川「──ようは僕が自分の体を見ればいいって話だろ?
    どうだい小ぶりだけど、中々綺麗なおわん型をしてると思わないかな?」

善吉「くっ……」キュウン…

球磨川「ん、それでいいんだよ善吉ちゃん」

善吉「……アンタ、一体俺に何をしたいんだよ」

球磨川「え? 特に何も?」

善吉「……」

球磨川「しぃーて言うなら…そうだね、まさに今。って感じかな」

球磨川「──球磨川禊は、今の現状を今まで散々に砕け散るまでに」

球磨川「待ち望んで、欲して欲していたんだろうね、あはは善吉ちゃん!」


116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:13:15.09 ID:l9kZs2YK0

善吉「……球磨川先輩」

球磨川「禊」

善吉「……禊」

球磨川「えへへ、なにかな?」

善吉「その…その、アンタはどうして……そこまで…」

球磨川「………」

善吉「お、俺のことを……俺のことが───」


がらり!


球磨川「!」

善吉「!?」

「───失礼する、ここに生徒会役員の人吉善吉書記がいると聞き…」

めだか「…来たのだが、ふむ」


118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:15:29.19 ID:gJqBi6Si0

ややこしいのが来たでござる


119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:17:59.42 ID:l9kZs2YK0

めだか「……いないな」

球磨川「…しぃ、静かに」

善吉「!? !?」

球磨川「…今、僕達がかぶっている毛布の存在感を嘘にしたから。
    いくらめだかちゃんでも中にはいってる僕達には気づかないはずだよ」

善吉(そ、そうじゃねえよ! 抱きついて! アンタ抱きついてるから俺に! ふ、膨らみがががが!)

球磨川「あ、ちょ……だめだって、ば…善吉ちゃんっ」

めだか「?」

めだか「…今声が聞こえた気が」すた…

球磨川「………そんなに欲しいの? 別にいまじゃなくっても、あ! そういうスリリングが欲しい感じ?」

善吉(ちっげえええええええよ!!)

めだか「…この辺か」

シャアアア…

めだか「──失礼する、突然開け放って済まないが…」

めだか「む?」

めだか「……誰もいないな、おかしい。確かに声が聞こえたはず」


121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:22:43.48 ID:l9kZs2YK0

球磨川(『ひゅー、流石に僕も死を覚悟したぜ~』)

善吉「っ……っ……」

めだか「? ?」

球磨川(『まさかめだかちゃんも、天井に張り付いてるとは思わないだろうね。
     いやはや、螺子で毛布ごと天井を突き刺す音を嘘にすればの簡単なことだったけれど…』)

球磨川(……いや、マジで怖かった)

善吉「っ…」ちょんちょん!

球磨川(ん、どうしたの善吉ちゃんそんなに暴れてさ……あれ? 螺子、外れそうになってない?)

善吉「っ……っ…」こくこくっ

球磨川(わお)

善吉「っ……わお、じゃねーよ! ばか!」


球磨川&善吉「あ」 


びりっ! びぃいいいいいいいいいいい!!


どっしゃああああああああん!!


124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:27:39.15 ID:l9kZs2YK0

球磨川「………」

善吉「けほっ…! こほっ…! あ、いやいやいや! 
   違うんだめだかちゃん! これはそういったことじゃなくて!」


「──男らしい間抜けな弁解をしてないで、さっさと逃げてくれないかな人吉くん」


善吉「へ…?」

安心院「本当に世話の掛かる主人公だ、それでもハーレムを作ろうとした身なのかい」

善吉「安心院……さん?」

安心院「そうだよ、安心院さんだ。だけど、悠長に自己紹介を四回目する暇はないんだぜ」

がががががががが!!

安心院「──今僕の『僕』たちがめだかちゃんを止めてるから、はやくここから出るんだ」

善吉「と、止めてるって…?」

安心院「いいから早く、彼女は既に事の半分を闘いながら把握しつつあるよ」

善吉「!?」

安心院「もって後……二秒かな、僕もご参加願えるなら───十二時間持たせてあげよう」


126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:33:35.48 ID:l9kZs2YK0

安心院「大丈夫、殺すつもりなんてさらさら、砂の一粒さえも思ってないよ。平気平気、手加減するし」

安心院「だけど、言うなれば……あ、ちょっと待って。ん、そうだね…じゃあ次は腕を飛ばそうかな」

善吉「アンタ今不吉なこと言わなかったか!?」

安心院「違う違う、今のは僕の分身に向かっていった言葉で。特にそういった意味合いは……あちゃー、バレたか」

善吉「ば、バレた…?」

安心院「うん、バレたぜ人吉くん。こうなれば箱庭学園じゃ行えないなあ、うん、じゃあ次のステップに行こうか」

安心院「そこで頭を打って伸びてる球磨川くんに服を着させて、外に連れ出すんだ」

安心院「デートコースはこちらで用意しておく、気兼ねなく楽しみ給え」

安心院「ではこれで、ああ──ちょっとまってくれめだかちゃん、こっちをそんなにも睨まないでくれると嬉しい」

安心院「平気さ、今の現状はさらに楽しいことになりつつある──あはは げらげら …な?」

ががががががががががg!!

善吉「っ……一体なんだっていうんだよっ! くそっ!」だっ

善吉「──行くぞ禊! とりあえず服の調達だ!」だだだっ


128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:41:53.59 ID:l9kZs2YK0

遊園地

善吉「……」

球磨川「僕、こういうところ来るの実は初めてなんだよ」

善吉「…そうか」

球磨川「善吉くんは以前、来たことある感じ?」

善吉「うん、まあ…それなりに」

球磨川「そっかー、それじゃあそれなりに甘えさせてもらってもいいかな?」ぎゅっ…

善吉「…おう、エスコート任せろ」

球磨川「うんっ!」

~~~~

赤「はいこれ?」

善吉「え、これって…女の子の服?」

赤「そう、これきてさっさと箱庭学園からでてってくれたら」

球磨川「おー」

赤「…本当に女の子になってるのね?」


130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:46:32.13 ID:l9kZs2YK0

球磨川「『うん、そうだよ。今ならきみの胸をタッチしても許されるだろうね』」

赤「……」

球磨川「『?』」

善吉「い、いいから服を着てくれ…! 毛布だけじゃ、さっきから眼のやり場に困る!」

球磨川「はーい」

赤「…あとこれペアチケット」

善吉「…ペアチケット?」

赤「そう、あとは任せたわよ。本当に箱庭学園無くならないうちに」

善吉「わ、わかった」

~~~~~~

善吉「…はぁーあ、なんだかとんでもねぇことになってきたんじゃねえかこれ…」

球磨川「あはは、おーい! 善吉ちゃーん!」ぶんぶん!

善吉「……」ふりふり

善吉(球磨川の奴はメリーゴーランドでお楽しみ中だし……なんか、俺、すごいことやってるんじゃねえのか)


131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:50:15.83 ID:l9kZs2YK0


球磨川「──あー、意外にも年甲斐なく楽しんでしまったぜ。ふぃー」

善吉(全力で楽しそうだ…)

球磨川「善吉ちゃんは乗らなくてよかったのかい?」

善吉「え? いや、俺はいいんで…」

善吉(全然楽しむ余裕がねえよ……)

球磨川「………」じっ

善吉「えっと、なんすか? 俺の顔見つめて…」

球磨川「……むー」ぷくぅー

善吉「っ」

球磨川「…善吉ちゃん、ぜんぜん楽しそうじゃないじゃないか」

善吉「…それは、まあ」

球磨川「どうして?」


133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 22:56:02.84 ID:l9kZs2YK0

善吉「……正直なところ、女の子と……まあ女の子と遊園地きたことないんですよ」

球磨川「そうなのかい?」

善吉「ええ、だからというのも言い訳っぽく聞こえますけど。
   あんまり女子と二人で楽しむ遊園地ってのも、その……苦手つーか」

球磨川「それはそれは寂しい人生を送ってきたんだね、善吉ちゃん」

善吉「………」

球磨川「『でも、僕は違うんだろ?』」ぐいっ

善吉「えっ…?」

球磨川「『正直な善吉くんのことだから、まだまだ僕のことを掛け値なしに女の子と見てないきみなら』」

球磨川「『──この僕のことを、うまい具合にエスコートできるんじゃあないかな』」

善吉「べ、別に俺はそんな事思って…! だから、球磨川せんぱ……あっ」

球磨川「……くす」

球磨川「ほらほら、行こうぜ善吉ちゃん。楽しい時間は待っててくれないんだぜ?」


136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:01:39.99 ID:l9kZs2YK0

くいっ……

球磨川「そら、早く」くいくい

善吉「あ、うん……」

すたすた…


ジェットコースター

球磨川「うひゃー! 高いよ凄いよ善吉ちゃん!」

善吉「お、落ちる落ちるっ…もう落ち───」

球磨川&善吉「──うわぁあああああああああああああああああああ!!」


コーヒーカップ

球磨川「あはははははは!」ぐるぐるぐる

善吉「おぇっ……おぇええええええ!!」


射的

球磨川「螺子で捻り飛ばしたほうが良くない?」

善吉「だ、駄目だ! 俺が取りますからおとなしくしててください!」


139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:08:19.72 ID:l9kZs2YK0

ベンチ

善吉「っはぁー…っはぁー…デビル疲労感ッ…!」くたー

球磨川「くすくす」ニコニコ

善吉「はぁ…その人形、そんなにも取れて嬉しいですか」

球磨川「うん!」

善吉「…そうっすか、それなら取った方もまんざらでもないですね」

球磨川「『いやはや、すげーぜ善吉ちゃん。射的のセンスが合ったなんて、見なおしたぜ、チューしていい?』」

善吉「…やめてください、冗談は」

球磨川「お? 流石に気づき始めたようだね」

善吉「ええ、まあ……アンタの口調とトーンで括弧つけてるパターンがあるって」

球磨川「やるねぇ、流石は僕が惚れた男だ」

善吉「…素直に受け止めておきます」


140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:13:01.75 ID:l9kZs2YK0

球磨川「………」

善吉「……今日は、楽しかったですか」

球磨川「うん? 当たり前に決まってるだろ、馬鹿言うなよ善吉ちゃん」

球磨川「きみと過ごせる時間は全て、喜怒哀楽が全てさ」

球磨川「本当に飽きさせない人間だよ、善吉ちゃんってさ~」

善吉「…そりゃ、良かったです」

球磨川「どうして? あはは、別に善吉ちゃんが気にすることじゃないだろ?」

善吉「……そうかもしれない、けれど」

球磨川「?」

善吉「俺は、アンタの……その、貴方の……」

善吉「っ……貴女の想いを、ちゃんとわかってるのかなって…思って」

球磨川「………」


142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:17:51.63 ID:l9kZs2YK0


善吉「俺は……そういうの、わからないんですけど…やっぱり」

善吉「苦しかったんですか? 自分だけの想いにして、ひた隠しにしてた現実は…」

善吉「貴女にとって、重くて苦々しいものだったんですか…?」

球磨川「………」

善吉「……言いたくなければ、答えたくなければ別に、いいです」

善吉「というか答えたくないでしょうけどね、俺に対する悩みですし──」

球磨川「『それは…』」

善吉「………」

球磨川「『…ううん、そうじゃあないな』」

球磨川「──それは、そうだよ。苦しかったさ」

球磨川「どうして僕はこうなんだろうと、今ある現実は一つなのに。
    なのにどうして僕はここまで──苦しんでいるんだろうと」


143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:24:02.89 ID:l9kZs2YK0

球磨川「悩みが無縁だと思われた球磨川禊も──やっぱり、人の子だったんだ」

球磨川「体が不死身であっても、性格が捻れていても、質がマイナスだったとしても」

球磨川「努力が嫌いだったとしても、天才や秀才を嫌悪していたとしても」

球磨川「人として大事なものが大きく欠けていた人間でさえも───」

球磨川「───人を心から、好きでたまらないと感じてしまうんだと」

球磨川「僕は、それに気づいてしまったんだぜ、善吉ちゃん」

善吉「……そうなんですか」

球磨川「そう、だからきみがそこまで重く受け止める必要はない」

善吉「……」

球磨川「差し出された役割を最後まで演じ続ければいいだけ──それでオシマイ、全て解決だ」

球磨川「それが善吉ちゃん、『正しい選択』なんだよ?」


144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:28:49.00 ID:l9kZs2YK0

善吉「………」

球磨川「ふぅー、本当にきみは人のためにならなんだってしそうだから恐いよね」

善吉「…俺は別にそこまでの人間じゃ」

球磨川「人のために死を選ぶほどなのにかい?」

善吉「……」

球磨川「あれは痛かったよね、ハブハブ、マジで死んじゃうかと思った」

善吉「ええ…アレは痛かった」

球磨川「だけどね、善吉ちゃんの前蹴りのほうがすごかったよ? 肋骨バッキバキだったし」

善吉「…よく言うよ、アンタの螺子だって肺を突き破ってたぞ」

球磨川「あはは、でもちゃんと無かったことにしたじゃあないか」

善吉「あの時の痛みとトラウマは忘れようがないんだが…」

球磨川「そうなのかい? あ、だったらそうだね、あの時の───」

善吉「ええ、いや! あれはアンタが────」


146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:32:12.81 ID:l9kZs2YK0

善吉「───お、もうこんな時間なのか」

球磨川「けっこうお喋りしちゃったね、どうする?」

善吉「そうだなぁ…とりあえず最後になにか乗るか?」

球磨川「うん、乗りたいね」

善吉「だけど大半の乗り物はもう……あ、あれがあったぜそういえば!」びしっ

球磨川「おー」

善吉「───観覧車、最後に乗って行こうぜっ?」

観覧車

球磨川「『い、意外と高いなぁ。どうしてくれよう、いや、僕としては別に高い所は平気なんだけどさ』」

善吉「声がぶるっぶるだぞさっきから…」

球磨川「『そ、そんなわけないだろ! ばか! ばか善吉!』」

善吉「はいはい…」


148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:37:57.90 ID:l9kZs2YK0

善吉「…というかアンタ、以前にめだかちゃんと高いところで最終決戦してたじゃねーか」

球磨川「『あれは……その、まさに燃える闘士で周りが見えてなかったというかね』」

善吉「本当の所はどうなんだ?」

球磨川「………」

善吉「顔見れば一発とか凄いな」

球磨川「…イジワルなことはしないでくれると嬉しいな、僕は」

善吉「すみませんでしたー」

球磨川「よろしい、あはは」

善吉「…カッ」

球磨川「……なんだかあれだね、こういった話とか、普段の僕らなら地球が滅んでもしなかっただろうね」

善吉「まさにその通りとしかいいようがないぜ」

球磨川「死んだって認め合おうともしなかったくせに、なんていうか、神様は残酷だって思った」


151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:42:45.71 ID:l9kZs2YK0

球磨川「ここまでやんないと、ここまでのことを諦めないと───」

球磨川「───善吉ちゃんと観覧車にも乗れないなんて、残酷だよ」

善吉「……別に乗ればいーじゃねえか」

球磨川「え?」

善吉「色々と終わって、すっきり片付けて、それからまた一緒に乗ればいいだろ」

球磨川「…でも、それは」

善吉「何か悪いってのかよ。別に悪い要素一つもないだろうが」

球磨川「………」

善吉「思うんだがよ、つかマジで本音ぶっちゃけると、今回のことで重く受け止めてるのは……その…」

善吉「…禊のほうじゃねーかっ」

球磨川「っ……」

善吉「俺よりも禊、だろ……色々と深く悩んじまってるのは」


158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:52:46.06 ID:l9kZs2YK0

球磨川「そりゃ…当たり前だろ、大きく深く悩んで抱え込むのは!」がたっ

球磨川「この思いが! どれだけの人を不幸にするか考えてもみればいいッ!」

善吉「…だからって、禊の想いを無くしてもいいのかよ」

球磨川「詭弁だね、そんな事を言えば誰もが不幸になるだろ」

善吉「……あーそれだ、不幸不幸、それだよ禊」

球磨川「………」

善吉「そこが俺が一番気になってたことだな。禊みたいな奴が、どうして人の不幸を心配するんだ」

善吉「──お前みたいな人間が、立派に生きようとするから間違いなんだ」

善吉「なにらしくないことやっちゃってんの? カッ、わらえねーぞ」

善吉「球磨川禊って奴は、俺が知っているそんなマイナスな奴はよ!」

善吉「人にどうこう言われたことを、他人にとやかく言われたことを」

善吉「──いちいち気にして生きてきた奴だったか? 違うだろ?」


159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 23:59:59.53 ID:l9kZs2YK0

球磨川「ぐっ………」

善吉「事実、その通りだったろうが。例えそれが禊の括弧つけだったとしてもだ」

善吉「禊自体の根本的なマイナスは──絶対に変わらねえ、それは今までの経験で事実として語れるよな」

善吉「それなのに、お前はその根本を…馬鹿みたいに他人のために変えようとしちまってる!」

善吉「…それなら苦しいはずだぜ、変われないことを消せないことを無理やり消そうと努力してたわけだろ?」

善吉「その努力を……俺のためにしてたわけなんだろ、禊」

球磨川「それはっ……それは……」

善吉「んだよ、言ってみろ正直に」

球磨川「『…それは違うよ善吉ちゃん、きみがこの小さな観覧車で言い放ったことは』」

球磨川「『大半が間違いで、ミスだらけの回答だよ』」

球磨川「『馬鹿言っちゃいけないよ、僕がどうして努力なんてしなきゃいけないんだい?
     ふざけるなよ、いやふざけてないからこそ僕は苛ついているのかもしれないね』」


166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 00:10:36.32 ID:HWTmnDjr0

球磨川「『何をわかったように語ってるのか、片腹痛くてしょうがないけれど。
     僕は色々と昔の自分とは変わった事は自覚してるつもりだし、だから素敵なアドバイスをひとつきみに送るよ』」


球磨川「『──マイナスな人間を理解しようとするのは、時間と青春の無駄だよ?』」


球磨川「『事実、きみも経験してるじゃあないか。僕達マイナス十三組が関わったことによって。
     まったくもって高校生活の貴重な時間が無駄に浪費されてしまったことを』」

球磨川「『僕らという存在がなかったのなら、決してあの夏休みはもっと良い青春を遅れたはずだったのに』」

球磨川「『僕らマイナスと関わったばかりに、かかわり合いを持ってしまったばかりに』」

球磨川「『きみらの大切な時間を根こそぎ奪ってしまったじゃあないか』」

球磨川「『忘れてはいけないよ、これは本当にあったことなんだ。
     だから善吉ちゃん、きみはきみの楽しい時間を過ごしていけばいいんだよ』」

球磨川「『なにも人生をマイナスにする必要な無いんだ、だからこそ、これからはプラスに生きて向上心を上げ続ければいいんだ』」

球磨川「『そうなれば、もはや時の流れによって加速されたプラスは留まることを知らず───』」

球磨川「『──善吉ちゃんを悪くない方向へ持っていくはずだから』」

球磨川「『だとすれば、ほら、僕もこのセリフを言えるだろう?』」

球磨川「『僕は悪くない』」


168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 00:23:20.17 ID:HWTmnDjr0

球磨川「『僕の関係していない場所でプラスになることに──何の罪を伴うだろうか』」

球磨川「『理解してくれとは言わないよ、優しい善吉ちゃんのことだ、理解も何もちゃーんと把握してると思ってる』」

球磨川「『だからさ、そうやって僕に優しくするのはもう……やめろよ』」

球磨川「『迷惑だからさ、こっちも』」

善吉「……───」

善吉「──そっか!」

善吉「なるほどな、うん、わかった。確かにお前の言いたいこと、よーくわかったぜ」

善吉「じゃあ最後に、観覧車も今が頂上間近だし」

善吉「お前に向かって言う言葉も、これがラストにしてやろうじゃねーか」

球磨川「『うん、なにかな?』」

善吉「おう! なあ禊、ひとつ言いたいんだが───」


善吉「───ちょっと括弧つけずに、『』付けづに言ってみろ」

善吉「──聞いててやるぜ、ちゃんと最後までな」


169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 00:28:52.23 ID:HWTmnDjr0

「『っ………』」








「 『……』 」







「  『』  」







「────好き」



球磨川「──好き!! 善吉ちゃんのこと大好きで大好き!!」


171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 00:37:21.40 ID:HWTmnDjr0

球磨川「心臓がはじけ飛びそうになるぐらいっ…きみのことが好きだから!
    脳みそがからっぽになってしまうんじゃないかって! 善吉ちゃんのことだけが頭の中いっぱいで!」

球磨川「なにもかも自分のステータスを捨て去ってもいいぐらいに!!」

球磨川「この好きって想いを大切にするためになら、努力だって天才にだって頼って!!」

球磨川「惨めで弱ったらしく、汚れた心のままただひたすらに君のことを思えるように!!」

球磨川「ずっと好きでいたいんだよ! 例えそれが悪かったとしても!!」

球磨川「多大な人を不幸にしたって!! そうだったとしても僕は……!」

球磨川「僕はっ…きみを、善吉くんをっ……好きで、好きでありたかったんだよぉっ…!」

球磨川「ぐしっ…それの何が悪いんだよ! 僕が人を好きになっちゃだめだっていうのか!?」

球磨川「僕だって人間だ! 人だよ! 恋する男子だ!!」

球磨川「それなのにっ…僕は、それがっ…!」

球磨川「ダメだって……知ってるから…!」

球磨川「僕は……悪いやつだってことを、しってしまったからっ…!」

球磨川「……もう、後戻りは…できないんだよっ……」


173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 00:41:53.32 ID:HWTmnDjr0

球磨川「……もう、こんな僕は嫌───」

善吉「──おっと、それまでだぜ」ぎゅっ

球磨川「ふぇっ…?」

善吉「そこまでだって言ってるんだ、禊」

善吉「…そこからは、その言おうとしていた言葉は───」

善吉「──お前にとって、マイナスにしかならないからな」

球磨川「どういう、こと…?」

善吉「言ったよな俺は最後まで聞いてやるって。
   そしてそれにお前は答えてくれた、堂々と、自分の中で燻らせていたその…」

善吉「…俺への想いを、そのプラスを、きちんと話してくれた」

球磨川「ぷらす…?」

善吉「ああ、そうだぜ。だけど、そんな自分のプラスを…否定しようとしたろ、お前」

善吉「だったらそれは、ただのマイナスだ。んなもん、言わせるかよ俺が」


175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 00:47:09.51 ID:HWTmnDjr0

球磨川「んなっ……こと、僕が言ってしまったことはただのマイナスだ!」

善吉「違う、プラスだ」

球磨川「わからずやっ……違うって言ってるだろ!?
    僕がかっこつけずに言ったことは、醜くてどうしようもなくて、最低で…!」

善吉「それのどこがマイナスだ、馬鹿言うんじゃねーよ」

善吉「それはプラスなんだよ禊、何度だって、いくらだってお前に言ってやる」

善吉「それはマイナスじゃねえ! プラスだ!」

球磨川「っ…じゃあどうしてそんな事を言えるんだ! プラスだと! どうしてそれがいいことだって言えるんだよ!」


善吉「そんなの俺が喜んじまってるからに決まってるだろッ!!」


球磨川「……え」

善吉「い、言わせるなよっ…こんなこと! そうとしか言えねーだろうが!」

善吉「お前が言ってくれた言葉全部! 俺のとっちゃー……なんだその、あれだよあれ! 嬉しかったよばーか!!」


178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 00:48:47.77 ID:b38ukQDD0

『パンツ履いた』


179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 00:50:18.46 ID:6iZ0seB40

>>178
括弧付けずに言ってみろよ


186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 00:59:31.78 ID:HWTmnDjr0

球磨川「………」

善吉「はぁっ…はぁっ…んだよ、なんか言えよっ」

球磨川「う……うれしかったの?」

善吉「そ、そーだよ何が悪い!? 嬉しかったよ、色々とデビル複雑だぜ全く!」

球磨川「う、うん……だ、だけど」

善吉「……わーってるよ、それってつまり、さっきの告白は───」

善吉「───女の体だからの告白ではい、と言いたいんだろーが」

球磨川「…………」

善吉「今更だろ。もう最後まで正直に話せって」

球磨川「っ………」

球磨川「……うん、その通り…だよ」

球磨川「だけどっ……それなのに、善吉ちゃんはっ……僕の言った言葉を…?」

善吉「ああ、プラスだと言ってやるよ」

善吉「そしてコレも言ってやる、俺が言うのも何だけどな」


善吉「お前は悪くない」


187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 01:06:46.08 ID:HWTmnDjr0

球磨川「っ………」

善吉「まったくもって、何一つお前は悪くない」

善吉「それを俺が、お前に言ってやるよ禊」

球磨川「っ……っは…ぜん、きちっ……ちゃん……」

善吉「…おいおい泣くなよ、もっと辛くなっちまうぞ」

球磨川「だ、だめ…泣いちゃうよ…僕、本当にこれ…感じたことのないぐらいに胸がいっぱいで…っ」

善吉「大袈裟だって、もうちっと落ち着け」なで…

球磨川「ふぁ…」

善吉「な?」

球磨川「…うん」

善吉「…色々と、考えなきゃいけないことあると思うけどよ」なでなで…

球磨川「……」

善吉「大丈夫、へーきへーき! 俺が最後までちゃんと一緒にいてやるよ!」


190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 01:13:14.28 ID:HWTmnDjr0

球磨川「ぐすっ……無理、してるだろ…ぜんきちちゃん…」

善吉「…バレたか」

球磨川「バレバレだぜっ……でも、嬉しいよ…うんっ!」がた…

ぎゅうう…

善吉「おっとと、急に抱きつくなよ…!」

球磨川「『いやいや、ここは抱きつく場面だぜ…っ?』」

善吉「…ボロボロと泣きながらカッコつけられても、正直なぁ」

球磨川「あははっ…そりゃあ止まらない…よ、あれだけの……大切な言葉を…」

球磨川「僕に向かって、言ってくれたんだからね……?」ぎゅう…

善吉「…そっか、がんばる」

球磨川「うん…頑張ってくれ、僕も……また頑張るからさ」

善吉「おう、楽しみだぜ…禊の頑張りとやらを───」


球磨川「んっ」

ちゅっ


194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 01:19:50.59 ID:HWTmnDjr0

がたっ! がたがたっ…!

善吉「っ~~~~!!? ッ!? ッ!?」

球磨川「んーーーーーーーーーーー」

善吉「っ! っ! っ!」

球磨川「んっんっんっ!」

善吉「っ───」

球磨川「『…ぷはぁ、よし頑張った!』」ぐっ

善吉「」

球磨川「『しかしキスっていうものは正直な所、非常にやりにくいなあ。
     何度も前歯が当たるし、口内の状況を確かめようにも食いしばってちゃ無理だし』」

善吉「」

球磨川「『まあそうだったとしても──』──やっぱり、嬉しいなあ!」

球磨川「あはは、どうしよう嬉しくて楽しくって本当に幸せなのに───」


「───そういう終わり方なんだぜ、球磨川禊くん」


球磨川「うんっ! わかってるよ、十分さこれで!」


195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 01:25:58.30 ID:HWTmnDjr0

~~~~~~~~~~~

善吉「ハッ!?」

善吉「こ、ここは……教室?」


「そういうことになるね、そして五度登場───」


安心院「安心院さんだぜ、よっと」すとん

善吉「安心院さん!」

安心院「いぇーい! もう物語も終りに近いし、目立ちに入っていくよ」

善吉「そ、そうなんですか…?」

安心院「まあね、キミには関係ないことだからね。つまるところ忘れてくれていい」

善吉「は、はあ…」

安心院「はてさて、どうやら無事に終わったようで心休まるばかりだよ。
    途中で何度も遭遇しそうになっためだかちゃんを遠ざけるのに骨を折ったよ、物理的に」

安心院「すぐに治ったから別に平気だけどさ! いぇーい☆」ぴーす


197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 01:36:26.46 ID:HWTmnDjr0

善吉「…………」

善吉(あれ? なんだ、さっきから何か…忘れてるような…?)

安心院「ああ人吉くん、それは大丈夫だよ、今キミが思い出そうとしていることは…」

安心院「…いずれきちんと脳内から抹消されるはずだから
    ──記憶のスキル『記憶操失』メモリーソート──実に万能なスキルだからね」

善吉「………」

安心院「しかし、それでもキミの中にある──実は不確定用のものがさ」

安心院「彼の事実を憶えている可能性があるんだよね、これまた不思議なもんで」

安心院「人は一般的にこう呼ぶんだろうね……それは『心』というもの」

安心院「例え記憶から完全に抹消したとされても、それを思い返させる媒体が脳に残ってないとしても」

安心院「やっぱりそれは、スキルでさえも消し得ない絶対的な『想いの強さ』というものが存在し得るんだ」

安心院「だけど僕は抜かりなくこの計画を立てたつもりだ」

安心院「心? 想いの強さ? くっく 笑わせるなよ、笑ったけど」


198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 01:47:15.61 ID:HWTmnDjr0

安心院「大丈夫、その想いの強さすらも──消し去ってあげるよ」

善吉「………」

安心院「見事だったと思うよ、人吉くん。キミが成し遂げた一人の人間の変化…」

安心院「…単純な言葉だけでは決してなりえなかっただろうね、
    その強さと根性と、そして類まれぬ勇気が彼というマイナスをほんの少しだけプラスにしたんだ」

安心院「人吉くん、きみは誇っていい。死を持ってしても変われないと謳われた彼を───」

安心院「───たったひとつのキスで、変えたんだよ結局は」

安心院「惜しみない拍手を送るよ…」

安心院「…あ、僕の腕折れてたんだった。じゃあ口で言おう、ぱちぱちぱち」

安心院「そして治すと、うんおっけいおっけい」

安心院「更にそしてついでとばかしにぃ? その心に残るやも知れない想いも──」


安心院「──粉々に消し飛ばしておこうかな」


安心院「一目惚れさせるスキル『私だけの凹滋様』カルチャーショックネーム」

安心院「つまり球磨川がキミに好意を寄せてたのはこのせいだよ げらげら」


199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 01:56:02.40 ID:HWTmnDjr0

安心院「面白いスキルだろ? まあ初めにみた相手を一目惚れさせるスキルなんだが───」

安心院「──はは、これまた色々と考えさせられるスキルだと思わないかい?」

安心院「例えばマイナスがプラスに惹かれるとすれば」

安心院「…このスキルを使えばマイナスは他の誰かに惹かれる場合もあるんじゃあないかって話だよ」

安心院「そして成功、僕ってやっぱり天才だね」

安心院「はてさて、どうだい、この覆しようもない事実というものは」

安心院「───きみの中にある、その強さと根性と類まれぬ勇気を……」

安心院「…見事に断ち切る、無残な言葉だと思わないかい?」

安心院「ふむ、どうやら効果は抜群のようだね。思ってもないほどお絶大な浸透力だぜ」


202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 01:59:29.29 ID:HWTmnDjr0

安心院「さてさて、後は任せな安心院さんに。きみはゆっくりと瞼を閉じればいい」

安心院「時期にこの世界も閉じて、この物語も終焉となるだろう」

安心院「事実、この世の全ては変わること無く。
    ことさらに激化していく物語に支障をきたすことはないのだから」

安心院「一夜だけの華麗に輝く物語───楽しんでいただけたかな?」

安心院「それでは『僕』たち、また来週にでもお会いしようじゃあないか」

ぷちんっ!


206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 02:07:44.15 ID:HWTmnDjr0

「『───ふざ、けるな…』」


「『───そう簡単に、終わらせるかよ…』」

「『───なにが一夜限りの物語だっ…んなこと、勝手に言わせてたまるかよ…!』」


安心院「………」


「『なあ安心院さん! 俺はアンタにひとつだけいいたいことがある!』」

「『そんなうそっぱちのスキル! 誰が信用するかよ!!!』」

「『大した捻りもねぇ、馬鹿みたいに頭固い野郎が一時間頑張って考えたような名前が!』」

「『本物の訳がねえだろ! わかってんよそんぐらい! カッ!』」


安心院「…おやおや、マイナスだねえ。この僕の言葉を信用しないとは」


212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 02:15:18.48 ID:HWTmnDjr0

安心院「それになんだい、ほら見てごらん。既に物語を終わりと考え、この場を離れて行く者たちがいるじゃあないか」

安心院「だがそれを蔑にし、茶番とも断言できるこの醜い助演を行おうとでも言うのかい?」


「『──そうだねぇ、安心院さん』」

「『確かに貴女の言う通り、僕らが無駄に伸ばすこの時間はただの無粋にしかならないよ』」

「『だけどね、安心院さん』」

「『だからどうしたっていうのかな?』」


安心院「……」


「『無粋に続き、邪険に扱われ、無音に終わる』」

「『これこそが僕たちが紡ぐ〝マイナスな物語〟───つまり…』」

「『…過負荷な物語なんだぜ?』」


213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 02:23:31.56 ID:HWTmnDjr0

「『記憶にも残らねえ! 誰かに見られる事も一切ねえかもな!』」

「『だけど、それは確かにそこにあるんだ』」

「『例え誰一人として俺たちのマイナスを見てなかったとしても!』」

「『しかしながら、僕たちという物語はそこにあったんだ』」


「『ふざけんじゃねーぞ、そう簡単に終わらせるかよ!』」

「『最後までどうかあがいて見せようじゃあないか』」


「「『『アンタが作った物語は、全て! フィクションで終わらせてやる!』』」」


安心院「………」

安心院「…こりゃまいった」

安心院「……思うにきみたち、あれかな」

安心院「つまり、この物語は以前として───」


~~~~~


214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 02:26:09.85 ID:HWTmnDjr0

善吉「あ、逃げた……」


球磨川「ばかー!」だだだ…


善吉「……」

善吉「……何だったんだ、一体全体…」

「───いやはや、なんともおぞましくも面白いことに首を突っ込んだねぇ…人吉くん」すた

善吉「この声は……安心院さん!」

安心院「やあ、お久しぶり」

善吉「お久しぶり? いや、さっきの時間に廊下であったじゃないですか」

安心院「おっと、そうだったね。これは失敬、忘れてくれよ人吉くん」

善吉「は、はあ…」

安心院「それよりも、そんなことよりも…なあなあ、なにがあってこうなってるんだい」

安心院「ちょいとこの安心院なじむさんに、ご相談しては如何かな?


215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 02:27:15.37 ID:HWTmnDjr0

安心院「───ヘェー……あの彼がそんなことを」

善吉「そうなんですよ…いやね?
   俺が思うにあの人、どっかで頭を打ったか殴られたかしたと思うんです」

安心院「それはどうかな、彼は当たり前に不死身で頑丈で卑屈な男なんだよ?」

安心院「彼のようなマイナスな人間は死を経験するほどのものでない限り──
    おっと、死という概念すら彼には生ぬるかった、これは安心院さんも失念失念…」

善吉「確かに、あの人不死身でしかも死ねないですしね…」

安心院「それはさておき、人吉くん」

善吉「なんですか?」

安心院「僕が思うにね、こういう事情ってものは結構いとも簡単に解決するもんなんだよ」

善吉「本当にですか!? 本当に解決できるんですか安心院さん!?」

安心院「くっく、必死だねぇ…それほどまでに嫌悪してたのかい?
    これは流石にあの球磨川くんだったとしても可哀想になってくるよ」



217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 02:28:46.07 ID:HWTmnDjr0

善吉「そ、そりゃあ…確かにあんな風に
   逃げられてしまったら、その…欠片も思わないことは、無いですけど」

善吉「俺は…今までの、球磨川先輩のほうが…断然いいです!」

安心院「…ふむ、確かにキミの言ってることも一理ある」

安心院「あのような球磨川くんは見てて楽しすぎて腹が捻じれ千切れてしまいそうになるけれど」

安心院「僕という存在が一度は認めかけた、そして期待しかけた人間だから」

安心院「彼という人間性をどうにか元に戻したいという気持ちはあるんだよね」

善吉「ほ、本当ですか…!?」

安心院「ああ、安心していいよ人吉くん(安心院さんだけに)」

安心院「───キミの抱えている、後生大事に腹の奥底に抱えているその思い……」

安心院「この安心院なじみが、どうにかしてあげようじゃあないか げらげら」


善吉「待った!」


221: 大嘘憑き中 2012/10/03(水) 02:34:22.55 ID:HWTmnDjr0

安心院「っ……!!?」

善吉「待ってくれ……いや、違うな言い方が違う」

善吉「『ちょっと待ってくれないか、安心院さんよう』」

安心院「な、なんだい…その喋り方は?」

善吉「『え? わからないのか? そりゃこまったぜ、アンタが一番知っているもんだと思ってたが』」

善吉「『いやー、まあいいや。それよりもちょっと聞きたいことがある』」

安心院「…い、いいよ。なんでも安心院さんに聞くがいいさ」

善吉「『アンタ、俺の前に何回目の登場だ?』」

安心院「っ!」

善吉「『教えてくれ』」

善吉「『安心院さん、俺という存在に対して───』」

善吉「『───この物語にいる俺という存在に対して、一体全体何回目の安心院さんなんだ?』」


222: 大嘘憑き中 2012/10/03(水) 02:39:46.20 ID:HWTmnDjr0

安心院「…言ってる意味がよくわかんねーんだが、どうした人吉くん?」

善吉「『さあ? 俺にもわっかんねーけど、どうにもこうにもしっくりとこないんだ』」

善吉「『まるでシナリオどおりに進めべきだったものを、途端にやめてしまったような』」

善吉「『見ていたかった映画を途中で変えてしまったような』」

善吉「『買っていた犬が死んでから猫だと気づいてしまったような』」

善吉「『恐ろしく取り返しのつかないことのはずなのに、だけどそれを望んでしまっている俺がいる』」

安心院「っ……つまり、それは?」

善吉「『俺はここで、嘘をつかなきゃいけない気がするんだ』」

善吉「『物語自体を大きく変換させてしまうほどの、大きな大きな──』」

善吉「『───大嘘憑きを』」


225: 大嘘憑き中 2012/10/03(水) 02:50:15.25 ID:HWTmnDjr0

安心院「っ……なるほどね、人吉善吉という存在を彼は───」

安心院「──却本作りで、自分と同等のマイナスにしてやがったな!」

安心院(しかしなぜ、この時間帯の人吉くんは未来の終わった人吉くんとは別人!)

善吉「あっ……そうか…」

安心院(じゃあどうして彼がマイナスにっ…? 何処か見落とした所は───)


安心院「あっ……僕?」ころ…

安心院「……。あっはは、コレは参った。本当に本当に、無粋にもほどがあるだろ球磨川くん!」

安心院「『僕』という存在に却本作りをしやがったな!」

安心院「そして僕が人吉くんに関わる時、その瞬間発動するよう計算しておいて!」

安心院「あはははははは! どうしてそんな微細な調整ができるんだい」

安心院「本当にきみはどうしようもないやつだよ、とんでもねえやつだ」


226: 大嘘憑き中 2012/10/03(水) 02:56:32.37 ID:HWTmnDjr0

安心院「つまるところ!
    僕が人吉くんがマイナスになることを、この瞬間に望むようにセットしていた!」

安心院「くっく、すげーぜ尊敬するぜマジでぱねぇよ球磨川くん」

安心院「……」

安心院「……で? どうなんだいマイナスの人吉くん?」

善吉「『………』」

安心院「そろそろ、何だか色々と思い出してきそうなんじゃあ無いのかい?」

善吉「『…確かに』」

善吉「『面倒くさいぐらいにややこしい感情が、どろっどろ俺の中に入り込んでくる』」

安心院「そうだろうねぇ…彼が僕に仕掛けた却本づくりは……」

安心院「あの時の、不幸に散った球磨川禊のステータスなんだからねぇ」

安心院「その却本をそのままキミに渡してしまったんだ、無意識に、いや自意識にかもしれないねぇ…くっく」


228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 03:03:47.62 ID:HWTmnDjr0

安心院「──コレには参った、安心院さんもびっくり仰天摩訶不思議だぜ」

安心院「さて、僕の物語はたったひとつの思い入れに『なかったことに』されたワケだけど───」

安心院「───これからどうしたい? 人吉くん?」

善吉「『…そうだな、安心院さん』」

善吉「『とりあえず、俺が貴方に言いたいことはただ一つだけだ』」

安心院「げらげら 一体それはなんだい?」

善吉「『ああ、言わせてもらう』」

善吉「『──これから大事な奴と会うんだ』」


善吉「『めだかちゃんの移動範囲の制限、あと遊園地のチケットをもらおうじゃねえか』」

安心院「女体化スキルはいらないのかい?」

善吉「『カッ! ……馬鹿言えよ安心院さん』」

善吉「『俺の』……いや、俺のあの時の気持ちは」

善吉「なにがあろうと、なかったことにはできねーぜ!」


229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 03:06:10.43 ID:HWTmnDjr0

括弧つけと、括弧つけない。
その二つを使ってイチャイチャさせたら可愛いかなっと思って書いた

ただただ、それだけなんだぜ

支援ありがとう

うんこして寝る


230: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 03:07:47.77 ID:lKFks1SD0



233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 03:09:13.95 ID:c6iSZSKL0


おもしろかった


236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/03(水) 03:24:23.32 ID:rSBXgZ240

おつ


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