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恒一「あれ?教卓の上に置いてあるのは・・・・・・」

引用元: ・http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1342184719/
1: ※7月7日なんてとうに過ぎてるけど七夕ネタです 2012/07/13(金) 22:05:19.93 ID:eSWEjKxL0

鳴「短冊ね。置き忘れたって体で私たちに気を遣ってくれたんでしょう」

恒一「……そのようだね」


――――――――――――


朝の教室

赤沢「どう?みんな短冊に願い事は書いた?」

勅使河原「おう!書いたぞ。ほれ」

赤沢「……ご丁寧に名前まで書かなくてもいいのに」

勅使河原「え?名前書かなくても良かったのか?……まあいいけどさ」

ガラッ

恒一(……教室の前でみんな何をしてるんだろう?あれは……笹?)


2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:08:49.27 ID:eSWEjKxL0

恒一(あっ……そうか、今日は七夕だから……)

恒一(何が書かれてるのか気になるけど……今見ると迷惑になりそうだからやめておこう)

ガラッ

スタスタ

見崎(……おはよう、榊原君)ペコリ

恒一(おはよう、見崎)ペコリ

見崎(…………あれは?)

恒一「(今日は七夕だから……)」ボソッ

見崎「(なるほどね)」

恒一「(まあ、どうせ今見るのは無理だしあまりここに長居しても……)」

見崎「(今日はどうするつもりなの?)」

恒一「(図書室で二人で勉強しようか)」


5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:14:04.08 ID:eSWEjKxL0

鳴「(……)」

恒一「(どうかした?)」

鳴(七夕にかこつけてどこか行こうかな、なんて思ったけど……)

鳴「(……なんでもない)」

ガラッ

久保寺「おはようございます。HRをはじめるので、みなさん席について下さい」

ザワザワ

恒一「(先生に僕たちのことは確認させたし、そろそろ行こうか)」

鳴 コクリ

スタスタスタ

ガラッ


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:17:32.33 ID:eSWEjKxL0

望月(相変わらず仲良さそうだな、あの二人)

勅使河原(行動パターンが完全にデートだろ、あれ)

赤沢(2人を『いないもの』にしようって言ったのは私だけど…………私だけど……)

中尾「赤沢さん、眉間に皺寄ってますけどどうかしたんですか?」

赤沢「え?あ、それは失礼」


――――――――――――


昼休み

勅使河原「なあ、望月」

望月「何?勅使河原君」

勅使河原「あの短冊、いちおう"全員分"あるんだよな?」

望月「そのようだけど…………まさか」


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:22:16.92 ID:eSWEjKxL0

勅使河原「あれってもともと災厄を止めるおなじないってことで赤沢が言いだしたんだろう?」

望月「そうらしいけど……」

勅使河原「だからとりあえず1枚はみんな同じことを書くってことになったわけだが……」

望月「でも、勅使河原君の考えてることをしたら……むしろ『いないもの』のおなじまいの効果は……」

勅使河原「でも、そうは言ってもなあ……」

望月「……う~ん……直接渡すわけにもいかないし…………そうだ」

勅使河原「なんか思いついたか?」

望月「放課後の教室に置き忘れたってことで教卓の上にでも置いとけば……」

勅使河原「それはよさそうだな!」

望月「でも、短冊を教室に飾ってある笹につけたりすると翌日面倒なことになりそう」


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:26:16.98 ID:eSWEjKxL0

勅使河原「そういうことはしないと思うけどな……」

望月「忘れ物ってことだから黒板に『短冊を忘れた人は持ち帰ってください』とでも書くしかないか」

勅使河原「それなら大丈夫だろう。よし、赤沢に頼んで短冊をもらおう」

望月(実はそれが一番の難関だったりして……)

勅使河原「赤沢、短冊を2人分もらえないか?」

赤沢「え?どうしてよ、朝はあんた短冊持ってたでしょ」

勅使河原「それがどうやら昼休みになるまでになくしちまったみたいで……」

赤沢「あと1人分は誰の?」

勅使河原「望月が持ってくるのを忘れたらしい」

赤沢「そうなの?望月君」

望月「えっと……まあ……」


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:29:37.57 ID:eSWEjKxL0

赤沢「仕方ないわね…………予備のが2人分あるからそれを渡すけど……」

勅使河原「さすが赤沢。準備がいい!」

赤沢「わかっているわよね?私が渡すのはあくまで勅使河原と望月君のぶんよ」

勅使河原「もちろんさ」

赤沢「翌日面倒なことにならないようにしてよ」

勅使河原「それは望月が方法を考えてくれたぜ」

赤沢「教えて、望月君」

望月「かくかくしかじか」


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:34:13.67 ID:eSWEjKxL0

赤沢「確かにそれなら問題にはならなさそうだけど……そもそもそれじゃあ渡す意味があまりないような気も」

勅使河原「何言ってんだ、赤沢。あくまでこれは短冊を忘れた人のための救済策だろ?」

赤沢「……そうだったわね。まあどのみち明日片付けたあとみんな持ち帰るのだし……」

勅使河原「じゃあ、頼む」

赤沢(本当はあまり渡したくないけど……でもここで拒むとかえって『いないもの』扱いできなくなるのか……)

赤沢「……しょうがないわね。はいこれ、2人分の短冊」

勅使河原「恩に着るぜ」

望月「ありがとう、赤沢さん」

赤沢「え、ええ……(ああ、あくまで忘れ物って体で話が進んでるから私はこれ以上どうしようも……)」


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:37:50.37 ID:eSWEjKxL0

――――
――――――――
――――――――――――


恒一「『短冊を忘れた人は必ず家に持ち帰ってください』か……」

鳴「私たちが笹に飾ったままにして、明日面倒なことにならないように考えてあるのね」

恒一「じゃあ飾った後に外さないと……短冊には今すぐ何か書くしかないのか……」

鳴「短冊は1人3枚あるようね」

恒一「笹を見ると……どうやら1枚はみんな同じことを書くみたいだ」

鳴「『災厄が早く止まりますように』……」

恒一「僕たちがこれを書いても……本当にいいんだろうか」

鳴「なぜ?」

恒一「い、いや……もし僕が見崎に話しかけたりしなかったら、こんなことには……」


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:41:19.70 ID:eSWEjKxL0

鳴「榊原君は何も知らなかったんだし、仕方ないわ。それに、そもそも……」

恒一「そもそも?」

鳴「……ううん、なんでもない」

恒一「?」

鳴「いえ、ともかく……今は榊原君も早く災厄が止まってほしいと思っているなら、別にいいんじゃないかしら」

恒一「そうなのかな」

鳴「もう1枚はそれぞれ好きなことを書いているようね」

恒一「名前が書いてないから誰のかわからなく……そうとも限らないか」


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:45:40.34 ID:eSWEjKxL0

恒一「『ガラスの時はどうもありがとう』って……」

鳴「そもそも願い事じゃない……誰が書いたのかしら」

恒一「……綾野さんだよ」

鳴「え?何故わかったの?」

恒一「いや……ありがとうって言われてるのはたぶん僕のことだから」

鳴「ふぅん?……具体的には何があったの?」

恒一「病院から歩いて帰る途中に、学校サボってた綾野さんと偶然会ったんだけど……」

恒一「少し立ち話してたら、急に風が吹いて車の荷台に立てかけられていたガラスが……」

鳴「それで榊原君が綾野さんを守ったのね」

恒一「守ったっていうと大げさだけど、まあ……」

鳴(直接お礼を言うのは恥ずかしいからこんなことしたのね……ちょっと可愛いかも)


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:51:01.86 ID:eSWEjKxL0

鳴「『先生ともっと仲良くなれますように』……これは明らかに望月君ね」

恒一「いや?もしかしてこの先生っていうのは久保寺先生のことかもしれないよ?」

鳴「まさか。だいたい……」

恒一「冗談だよ。まあ筆跡を見れば……ね」

鳴「そうそう」

恒一「ん、これは隣同士で同じことが書いてある…『ずっと一緒にいられますように』か」

鳴「松井さんと金木さんね」

恒一「なるほど。ところであの二人ってただの友達っていうより……」

鳴「それ以上の関係にしか見えないわね」

恒一「ああ、やっぱりそうなんだ……」


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:55:19.54 ID:eSWEjKxL0

恒一「これは…………たぶん久保寺先生かな」

鳴「『無病息災』とだけ書いてある…………なんだかちょっと怖いかも」

恒一「何か病気持ちなのかな……久保寺先生……」

鳴「そういえば最近顔色があまりよくないような……」

恒一「……他の人のを見ようか」

鳴「これは見るからに勅使河原君って感じね」

恒一「こんなデカデカと『モテたい』なんて書かなくても……」

鳴「誰が書いたのかわかるようじゃ、かえって逆効果になりそう」

恒一「ハハハ……」


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 22:59:06.49 ID:eSWEjKxL0

鳴「これもちょっと……書いた本人を案じてしまう内容ね」

恒一「『ゆかりは生きている』ってこれも願い事じゃないし…………誰が書いたんだろう」

鳴「それはたぶん……風見君よ」

恒一「え!?風見君が?ということは……」

鳴「……桜木さんの方はどう思っていたのかはわからないけど、たぶん風見君は……」

恒一「……そうだったのか…………風見君……」

鳴「…………他の人のを見よう」


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:04:07.52 ID:eSWEjKxL0

恒一「これは?『大きくなれますように』か……」

鳴「それは……小椋さんね」

恒一「背が低いの、気にしてるのかな」

鳴「背だけじゃないと思うけど」

恒一「……というと?」

鳴「……それを女の子の口から言わせるの?榊原君」

恒一「それってどういう意味…………あ」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:10:51.11 ID:eSWEjKxL0

恒一「ごめん、まさかそういうことだとは……」

鳴「……別にいいけど」

恒一「やっぱりその……普通は気にするものなのかな?」

鳴「一般論としてはそうなるかも」

恒一「そっか……僕は別に気にしないけどね、そんなこと」

鳴「そう……(……よかった)」ボソッ

恒一「今何か言った?」

鳴「何でもないから、次の人のを見る……」


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:15:19.26 ID:eSWEjKxL0

恒一「『思い人がふりむいてくれますように』……誰だろう」

鳴「たぶん中尾君じゃないの」

恒一「え?どうして中尾君だと?」

鳴「まあまずこの下手な字は女子ではないし……それで片思いしてて思い当たりそうな人」

恒一「ふ~ん……中尾君は誰が好きなんだろう?」

鳴「それは……」


ガラッ

鳴&恒一「!」


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:21:11.52 ID:eSWEjKxL0

赤沢「……」スタスタスタ

恒一(笹は教室の前の窓際に飾ってあるから、赤沢さんがこっちに……)

赤沢「……」ガサゴソ

鳴(……机の中に忘れ物をしたから取りに来たのね……)

赤沢「……」ガタッ カチャリ

スタスタスタ

赤沢 クルリ

赤沢 ジロッ


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:25:26.74 ID:eSWEjKxL0

恒一(え、赤沢さん今一瞬見崎の方を……)

鳴「……」

スタスタスタ

ガラッ

……

鳴&恒一「ふぅ~」

恒一「ああ、急に来られたからドキドキしちゃったよ」

鳴「おまけに短冊の内容について喋っていたから余計に、ね」


36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:30:06.17 ID:eSWEjKxL0

鳴「そういえば、まだ赤沢さんのは見てなかった」

恒一「……たぶんこれなんじゃないかな」

鳴「『忘れていることを思い出せますように』って書いてある短冊が?」

恒一「うん」

鳴「確かに字はそれっぽいけど……何か書いてある内容に心当たりでもあるの?」

恒一「ん~……入院してた時、初めて赤沢さんたちと会ったけど……向こうはそうでもないような感じだったから」

鳴「榊原君が赤沢さんと以前に会っているってこと?」

恒一「まあ、僕の記憶にはないけどね」

鳴「ふ~ん…………とりあえず人の見るのはこの辺にしておかない?」


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:34:13.88 ID:eSWEjKxL0

恒一「……教室に飾ってあるものとはいえあまり趣味のいい行動ではなかったかもね」

鳴「それに自分たちの短冊にも何か書かないといけないし」

恒一「見崎は何を書くの?」

鳴「……内緒」

恒一「どっちみちここに飾るんだから、わかるんじゃないの?」

鳴「それもそうね。でも、書いているところは見ないでね」

恒一「?……わかった」


39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:37:38.61 ID:eSWEjKxL0

…………


恒一「どう?書けた?」

鳴「一応ね」

恒一「見せてもらってもいいかな?嫌だったら無理にとはいわないけど」

鳴「そういうこと頼む時はまず自分から見せるものじゃない?」

恒一「それもそうだね。はい」スッ

鳴「『現象について少しでも多くの事柄が解明されますように』か……」

恒一「一応1枚分はみんなと同じで災厄が止まるように、とは書いたんだけどね」

鳴「それとは別にこれは榊原君の個人的な願いってことね」

恒一「そう……とはいってもなかなか難しそうだけど」


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:47:29.12 ID:eSWEjKxL0

恒一「ただ、現象を起こさないにしても『いないもの』対策以外の方法はないのか、と思ったりとかね」

鳴「個人的には、『いないもの』対策が効果があるならあえてそれ以上は求めない」

鳴「それよりも一度始まった現象を止める方法がないのかが気になる」

恒一「確かにそれもそうだね。でも、もし今の状態のままが続くのなら必要なくなるけど」

鳴「榊原君は『いないもの』を二人に増やしたら災厄は止まると思っているの?」

恒一「……どうだろうね」

恒一「止まるに越したことはないけど、今の状態が続くとなると現象について学校の人間に訊くのも難しそうだ」

鳴「逆に止まらなかったら……『いないもの』も解除かな?……」

恒一「……少し残念そうな顔してる?」

鳴「それは榊原君の気のせい、だと思う……(でも、あながちウソとも言えないか……)」


48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:54:31.10 ID:eSWEjKxL0

鳴「今さらだけど、榊原君まで巻き込んでしまって……ごめんなさい」

恒一「いいよ別に。僕は気にしてないから」

恒一「割と今の状態を気にいっているし、見崎にとっても良かったんじゃないかな」

鳴「どういう意味?」

恒一「少しは……いや、かなり学校に来る頻度が増えたから」

鳴「だ、だってそれは……1人の時は好きにしてていいかもしれないけど、榊原君が来るのに私が行かないわけにも……」

恒一「それは気を遣ってくれてありがとう。でも、そもそも学校行かないと勉強自体もほら……」

鳴「だから今は榊原君に教えてもらっているんじゃない」


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/13(金) 23:58:29.16 ID:eSWEjKxL0

恒一「そうだったね。まあ人に教えると自分の理解も深まるからちょうどいいけどね」

鳴「どうにも榊原君から色々と何かされる方ばかりで……悪い気がする」

恒一「あ、いや、そういうつもりじゃ……」

恒一「こっちはこっちで見崎といると楽しいから……」

鳴「でも、私は榊原君に何もしていないような……」

恒一「今こうして喋っているだけでもいいんだよ」

鳴「そ、そう?……でもやっぱりつり合いが取れていない気がする……」

恒一「どうして?」


52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:01:35.39 ID:eSWEjKxL0

鳴「わ、私も榊原君といると……いいえ、なんでもない」

恒一「ちょ、言いかけてやめるのは……続きが余計気になるよ」

鳴「やっぱりそういうもの?」

恒一「そういうもの」

鳴「後で教えてあげる……たぶん今日か明日には……」

恒一「……わかった」


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:06:25.80 ID:/D5kCdtZ0

恒一「話がだいぶずれちゃったね……それで見崎は短冊に何を?」

鳴「……はい、これ」スッ

恒一「『繋がり過ぎず、離れ過ぎず』……これ、どういう意味?」

鳴「言葉通りの意味でしかないよ」

恒一「……(自分のことだったらありがたいけど、見崎だし……ちょっと僕が自意識過剰になっているのかな)」

鳴「……どうしたの?黙り込んじゃって」

恒一「いや、なんでもないよ……すぐまた外しちゃうけど、一応飾ろうか」

鳴「そうね」


ガサガサ


54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:10:39.51 ID:EpPDxZEi0

さてもう一つは…


56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:16:50.72 ID:/D5kCdtZ0

恒一「そういえばあと1枚はどうしたらいいんだろう」

鳴「……ここに飾られていないってことはみんな持ち帰ったんじゃない?」

恒一「他の人には見られたくない願いでも書くようにしたのかな?」

鳴「まあ、たぶんそんなところじゃないの」

恒一「なるほどね、じゃあまた後で書くか……」

鳴「……そうね」


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:20:22.35 ID:/D5kCdtZ0

…………

恒一「ベタかもしれないけど、改めて見るといいものだね。こういう季節の風物詩っていうのも」

鳴「……そうね。でも、ただこの飾りを見るだけならそんなに楽しくは感じないかも」

恒一「……そうだね、僕も……」 スッ

恒一(!……見崎が僕の口に指を当てて……喋るなってこと?)

鳴「……その続きを言うのは……後にしてくれる?」

恒一「後って?」

鳴「とりあえず……ここから出た……後よ」

恒一「?…………わかった。じゃあ帰ることだし、また外そう」

鳴 コクリ


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:25:21.82 ID:/D5kCdtZ0

…………

校門

鳴「今日は……いえ、いつも勉強とか教えてくれてありがとう」

恒一「いいよ、もうそのことはいちいち言わなくても」

鳴「そう?…………ところで、今日の夜は……晴れるのかな」

恒一「どうだろう……今はうすぐもりだけど……」

鳴「……晴れるといいな」

恒一「?……見崎は雨の方が好きなんじゃなかったっけ?」

鳴「7月7日は……いえ、今日は特別だから」

恒一「……そっか」


61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:29:33.49 ID:/D5kCdtZ0

鳴「ところで、まだ1枚は書いてないよね?できればそのままにして欲しいんだけど」

恒一「白紙のままにしろってこと?」

鳴「うん……あと、今日はわざわざ送らなくてもいいよ、それと……これを」スッ

恒一「さっきの短冊?(『繋がり過ぎず、離れ過ぎず』って書いてあるやつ……)」

鳴「これは榊原君にあげる。あと、この短冊は冷凍庫に入れておいてね」

恒一「えっ?冷凍庫?」

鳴「そう。それじゃあまた……」タッタッタッ

恒一(走っていっちゃった……)

恒一(冷凍庫ねえ……まあとりあえず言う通りにしておこう)


65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:37:53.09 ID:/D5kCdtZ0

……………………

夕食後

恒一(そういえば、入れておいてとは言われたけど、いつ出せばいいんだろうか?)

ヴィーッ ヴィーッ 

恒一(見崎から?)

恒一『もしもし、見崎?』

鳴『こんばんは、榊原君。あの短冊は冷凍庫に入れておいてくれた?』

恒一『まあ、一応ね』

鳴『良かった……じゃあ今からその短冊を見て、その通りにしてね』

恒一『?……それってどういう…………』

鳴『それじゃあまた後で』

恒一『うん…え?また後で……?』

プツリ


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:45:30.04 ID:/D5kCdtZ0

恒一(なんだったんだ?今の電話……)

恒一(短冊のいう通りって言ったって、もう願い事書かれているんだけど……)

恒一(うん、『繋がり過ぎず、離れ過ぎず』って書いてあるだけだ)ペラッ

恒一(裏は何も書いてなくて…………!!!)




『今から20分後に、同類になった夜に行った公園にて待っています 見崎鳴』


『p.s.まだ白紙の短冊も持ってきてください』


恒一(こうしちゃいられない……仕掛けとかは後にしといてすぐ行かないと!)



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:47:39.79 ID:EpPDxZEi0

あぶり出しみたいなもんか


70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:49:22.95 ID:/D5kCdtZ0

玄関

怜子「あら、こんな時間にお出かけですか?」

恒一「あ、ちょっと突然友達に呼び出されちゃって……」

怜子「誰なの?その友達って」

恒一「えっとその………『いないもの』です……」

怜子「ああ……そういうことね。あまり帰るのが遅くなるようなら電話するのよ」

恒一「はい…」


71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:52:42.01 ID:/D5kCdtZ0

怜子「まぁ、とはいってもこちらが我慢できなくなったら勝手に電話するけども」

恒一「……わかりました」

怜子「あと帰るときはちゃんと家まで送ってあげるのよ」

恒一「それもわかってますよ、怜子さん」

怜子「よろしい、じゃあ頑張ってね。織姫と彦星さん」

恒一「変なこと言わないで下さいよ……」

ガラッ


72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 00:56:17.21 ID:/D5kCdtZ0

20分後、公園にて

恒一(僕の家からだと20分って結構ギリギリなんだよなあ……見崎の家からは近いけど)

恒一(場所はあってるはずだけど……肝心の見崎がいない)

恒一(呼び出すだけっていうイタズラ?……まさかね)

恒一(まあともかく待っていよう……)

恒一(……)


…………


76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 01:03:59.13 ID:/D5kCdtZ0

10分後

カンカランコロン…

鳴「ご、ごめんなさい榊原君……ほんとはもっと早く来れるはずだったんだけど……」

恒一「見崎、その格好……(紺色の浴衣……)」

鳴「あ、あの、これはその……榊原君に会うって言ったら霧果…お母さんが無理やり、というか……」

恒一「その浴衣……よく似合ってるよ」

鳴「あ、ありがとう」

恒一(…………可愛い」

鳴「え!?あ……うん」カァァ

恒一「ごめん、思わず…………えっと、その浴衣はお母さんが選んだの?」

鳴「…………そうよ」


78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 01:10:10.40 ID:/D5kCdtZ0

恒一「……なんだかんだいっても娘のこと、よくわかってるみたいだね」

鳴「どういうこと?」

恒一「ほら見て……柄が雪華とか水玉だし……」

鳴「ほんとだ……着せられるのに忙しかったからそこまで見ていなかった」

恒一「後でお母さんにありがとうって言っておかないとね」

鳴「え?でもこれは別に私が望んで……」

恒一「いや、そりゃ見崎もほんとは言うべきだけどさ……僕からの伝言ってこと」

鳴「なんだ、そういうことか……って……え?それはつまり……」

恒一「見崎の浴衣姿見れて良かったって意味だよ、もちろん」

鳴「そ、そう……」

恒一(また赤くなってる……)


80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 01:16:03.56 ID:/D5kCdtZ0

鳴「私も別にただ浴衣着せられるのなら不満はなかったけど……」

鳴「あの人妙なところにこだわりがあるというか……線が出ないようにしたいとか言って……」

恒一「え?それってまさか……」

鳴「あ、いや今のは聞かなかったことにして……」

恒一「見崎、今…………穿いて……ない?」

鳴「………………えっち」

恒一「ご、ごめん……(……今この浴衣の下は……何も……)」

鳴「……あんまりジロジロ見ないで……///」

恒一「う、うん……」


82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 01:22:38.20 ID:/D5kCdtZ0

恒一「それで、今日ここに呼び出したのって……」

鳴「うん、今日は七夕だから……その……榊原君と一緒に星でも見ようって……」

恒一「なるほどね。でも、なんでわざわざあんな短冊に書いて……」

鳴「星が見られるかどうかは夜にならないとわからないし……ちょっと驚かせようと思って」

恒一「ああ、そうか。じゃあもし天気が悪かったら電話しなかったってことか」

鳴「そう」

恒一「ところで、あの短冊にはどういうカラクリが?帰る時には裏には何も書いてなかったように見えたけど」

鳴「裏側は温度で消えたり現れたりするインクのペンで書いたから……」

恒一「それで冷凍庫に入れろって言ったのか……ふぅん、そんなペンがあるとは知らなかった」

鳴「私、文房具にはちょっとだけうるさいから」


83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 01:27:37.32 ID:/D5kCdtZ0

恒一(単に呼び出すだけで済む話なのに、こんなことまでして……)

恒一「……まあ、そのおかげでちょっと面白い体験ができて良かったよ」

鳴「そう言ってもらえると嬉しいけど……突然呼び出してもよかった?」

恒一「まあ自分も最初は知らなかったとはいえ、見崎の家に勝手に行ったりしてたし……」

鳴「それもそうかもね」

恒一「ハハハ……話を元に戻すけど、ここで星を見るの?」

鳴「ううん、もっとよく見える場所知ってるから……」

恒一「じゃあ早速行こうか」

鳴 コクリ

テクテク

カランコロン


84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 01:34:38.89 ID:/D5kCdtZ0

…………

恒一「そういえば、なんで君のお母さんはそんなに浴衣を着せることにこだわったの?」

恒一「別に今日じゃなくても夏祭りとかあるんじゃ……」

鳴「たぶん今年はもう着せるチャンスがないと思ったんじゃないかしら」

鳴「夜見山の夏祭り、というか七夕祭りは約1ヶ月後にあるんだけど……たぶんその時は夜見山にはいないから」

恒一「えっ?まさかそれって……お母さんは事情を知らないんじゃなかった?」

鳴「あ……別にここから逃げ出すってことじゃなくて……そのあたりの時期に家族で別荘に行くってだけ」

恒一「なんだそういうことか……それで半ば強引に今日……」

鳴「……まあ私はお人形だから仕方ないよね」

恒一(相変わらずひねくれてるなあ……親の心子知らずってやつ?)


86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 01:40:59.05 ID:/D5kCdtZ0

…………

鳴「見た目的にはさっきとあんまり違わない公園だけど………こっちは少し高い所にあるから……」

恒一「確かに……低いところの星もよく見えるね……あ」

鳴「どうしたの?」

恒一「そういえばこの時間帯はベガとアルタイルがどこに見えるのか知らないんだった」

鳴「大丈夫。私星座早見表持ってるから」

恒一「それは準備がいいね。見せてもらってもいい?」

鳴「いいよ」

恒一「……今は東よりに見えるはず……あれがデネブだから……あ、あれとあれか」

鳴「さすがに夏の大三角って言われるだけあってすぐに見つかるわね」

恒一「そうだね。当たり前といえば当たり前だけど、ほんとに天の川のちょうど両端にあるんだね」

鳴「……そうね」


88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 01:45:01.80 ID:/D5kCdtZ0

恒一「東京に住んでいた時は夜、星を見ようとはあまり思わなかったけど……見崎は普段はどうなの?」

鳴「どうって?星を見るのかってこと?」

恒一「そうそう」

鳴「まあ見ないこともないけど……榊原君に教えるほどの知識を持って見てはいないと思う」

恒一「いや、まあそこは気にしなくてもいいけどさ」

鳴「そう?」

恒一「そう」

鳴「……」

恒一「……まあ立ちっぱなしもなんだしベンチに座って見ようか」

鳴「うん……」


89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 01:51:39.82 ID:/D5kCdtZ0

恒一(……隣同士にいるのは同じなのに、なんで座ってる時の方がドキドキするんだろう……)

鳴(なんだか少しあつく感じるのは気温のせい?それとも……)

恒一「……」

鳴「……」

スーッ

恒一&鳴「!」

恒一「今流れたの、見た?」

鳴「見たよ」

恒一「……何かお願いごととかした?」

鳴「する前に消えちゃった」

恒一「僕もね」


92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 01:56:52.28 ID:/D5kCdtZ0

鳴「……そういえば七夕もそうだけど、何かと星は願いを叶える対象になるみたいね」

恒一「確かにそうだね。星に願いをって曲もあるくらいだし……なんでだろう」

鳴「昔の人は太陽を神として崇めてたって話があるから、他の星も願いを叶える神様ってことなのかな?」

恒一「なるほど、そう考えるとしっくりくるかもね。そもそも星自体が人智を超えた存在だし」

鳴「織姫と彦星も、か……」

鳴「ここで見ている限りはそうは見えないけど……本当はずっと遠いんだよね、二つの星も」

恒一「そうだね。さすがに距離までは知らないけど、何光年も離れてる」

鳴「光が1年間に進む距離って言われてもピンと来ないかも」

恒一「確かkmに直すと9兆4600億kmだっけ」

鳴「1光年でもそんなに……」


94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 02:02:27.34 ID:/D5kCdtZ0

恒一「よくよく考えてみると織姫と彦星が1年に一度会うのは無理なのかもしれないね」

鳴「何故?」

恒一「さっき二つの星が何光年も離れているって言ったけど、今のところ光より速い物質は見つかってないし」

鳴「光年は光が1年間で進む距離だから…………そういうことか」

恒一「…………なんだか夢を壊すような話だったかな」

鳴「そんなことない。私がロマンを感じるとしたら……もちろん星自体もそうだけど……」

恒一「?」

鳴「星を見てそういう物語を作った昔の人間に夢を感じるかもね」

恒一「ふぅん……なんかちょっと意外な気がした」

鳴「……どうして?」


96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 02:08:23.67 ID:/D5kCdtZ0

恒一「こういう言い方していいのか分からないけど……見崎ってどっちかというとリアリストに見えるし」

恒一「それに、あまり人間に対して夢を見るって印象もないっていうか……」

鳴「榊原君の言っていることもまんざら間違ってもいないけど」

鳴「ただ、人間自体に対して夢を見ないわけじゃないよ。その対象が限られているってだけで」

恒一「それは相性のいい人とか好きな人とかにも通じる話?」

鳴「……そうね。大抵の周りの人は好きじゃないというか関心を持てないというか……」

恒一「……榊原恒一はどうなのかな、見崎にとって」

鳴「それはもちろん好きな方よ」

恒一「!……あ、ありがとう…………///」

鳴「!……(あ、あれ……そういう反応されると……まるで私が告白したみたい……)」


98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 02:15:24.31 ID:/D5kCdtZ0

恒一「あ、あの……もし嫌じゃなかったら……僕が見崎にとっての彦星になってもいいかな?」

鳴「!」

恒一「(って思わず何を言ってるんだ自分は……)……ごめん、今のは自分でもちょっと……」

鳴「まあ、少しクサかったかも。でも、そう言ってもらえるのは悪い気はしなかった」

恒一「そ、そう……」ホッ

鳴「ただ、どっちにしても今の質問の答えはノーよ」

恒一「え?な……どうして……」

鳴「だって…………織姫と彦星は1年に一度しか会えないんでしょう?」

恒一「それはつまり……」

鳴「もっと榊原君の近くに………い、いたい…から……」

恒一「!」


101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 02:22:09.32 ID:/D5kCdtZ0

恒一「ねぇ見崎……」

鳴「…何?」

恒一「……抱きしめてもいい?」

鳴「…ダメ」

恒一 ガーン

鳴「あ、その……抱きしめること自体がダメってことじゃなくて……だ、段階というものを……」

恒一「段階?」

鳴「そういうことするのは普通は……恋人同士ででしょ?」

恒一「……雰囲気的にはもうそんな感じかな、と思ってた……ごめん」

鳴「それは否定しないけど……やっぱりこういうことはちゃんと口に出してほしい……」

恒一「……わかった」


103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 02:28:09.77 ID:/D5kCdtZ0

恒一「……じゃあ言うよ」

鳴 コクリ

恒一「見崎さん、あなたのことが好きです。……僕と……お付き合いして下さい」

鳴「はい。私も榊原君のこと……好きだから……」

恒一「その……それで……さっき言ってたこと……」

鳴「……してもいいよ……」

恒一「うん…」


ギュッ


恒一(…見崎の匂いがする……)

鳴(こ、こんな近くで……私の鼓動が速くなってるの聴かれちゃいそう……)


107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 02:36:14.27 ID:/D5kCdtZ0

恒一「……」

鳴「……」

恒一「……ねえ」

鳴「何?」

恒一「これからは、その……名前で呼んでもいい?」

鳴「いいよ。というよりも……」

恒一「?」

鳴「今までも心の中では名前で呼んでいたんじゃない?」

恒一「!……な、なんでそんなことを……」

鳴「はじめて私の妹の人形を見た時、『鳴』って呟いてたし」


109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 02:42:11.31 ID:/D5kCdtZ0

恒一「あ、あれは思わず、というかなんというか……」

鳴「思わず心の声が口から洩れてしまったのね」

恒一「……もういいよ、そういうことで」

鳴「……あれ、なんか怒らせちゃった?」

恒一「は、恥ずかしいから……」

鳴「今私たちがしていることは…………恥ずかしくないの?」

恒一「それはそうだけど……今はお互い様だから」

鳴「……なるほどね」


111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 02:47:17.81 ID:/D5kCdtZ0

鳴「……ちょっと向き直っていい?抱き合ったままだと話しづらい……」

恒一「わかった……」スッ

恒一「そ…それで……もし見崎が嫌じゃなかったら僕のことも名前で……」

鳴「それはちょっと……まだ……ムリかな」

恒一「ごめん……ちょっと急に色々お願いしちゃったから……」

鳴「ううん、そういうことじゃないの」

恒一「?」

鳴「これは私なりの……まあ……変なこだわりというか……」

恒一「こだわり?」


112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 02:52:38.47 ID:/D5kCdtZ0

鳴「はじめはクラスのみんなもあなた自身もその名字のこと気にしてて……」

鳴「それで私はあえてその名字で呼ぶっていうちょっとした意地悪をしたわけ」

鳴「それは榊原君を遠ざけるのが目的だったけど……でも逆効果で……」

鳴「なんというかそれでこっちのこと気にしてくれるようになって、ちょっと嬉しかったというか」

鳴「そういう流れがあって、今も名字で……呼んでる感じ」

恒一「ただ……僕自身はもう……名字のことは気にしてないよ」

鳴「でも、他の同級生は違う……それは……」


114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 02:57:08.58 ID:/D5kCdtZ0

恒一「まだ災厄が終わっていないかもしれないから?」

鳴「……そう。まあ、今は2人とも『いないもの』だからそんなこと気にしなくてもいいのかもしれない」

鳴「でもやっぱり……他のみんながあなたの名字を気にしないで済むようになったら……そうなったら……」

恒一「……僕のことを名前で呼んでくれるようになるんだね」

鳴「うん……」

恒一「……わかった。じゃあもし、このまま1カ月過ぎたらその時は……」

鳴「そう……災厄が止まったと判断できた時には、ね」


119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 03:03:20.70 ID:/D5kCdtZ0

恒一「…………そういえば」

鳴「?」

恒一「今日はまだ…………見てなかったね」

鳴「榊原君……そんなに見たいの?」

恒一「いや、こういうシチュエーションは同類になった時以来だし……」

鳴「……わかった。見せてあげる」スルッ


122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 03:08:13.37 ID:/D5kCdtZ0

恒一「うん……キレイだよ、その眼」

鳴「あ、ありがとう……」

恒一「少し……上を向いてくれる?」

鳴「?………向いたけど、何か……」

恒一「いや、こうすると月が映り込んでますますキレイに見えるから」

鳴「……や、やっぱり面と向かってそういうこと言われるのは照れる……」

恒一「照れてるところも可愛いよ、鳴」

鳴「もう……」


126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 03:15:05.26 ID:/D5kCdtZ0

恒一「……」

鳴「……」

恒一「……あ、あの」

鳴「は、はい」

恒一「……そろそろ戻ろうか……」

鳴 コクリ

恒一「あまり遅くなると電話かかってきちゃうし……」

鳴「……それもそうね」


127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 03:19:12.46 ID:/D5kCdtZ0

テクテク

カランコロン

恒一「ねえ、手……握ってもいい?」

鳴 フルフル

恒一「え?嫌?」

鳴「握手くらいならいいけど……」

恒一「もしかして……暑いから嫌ってこと?」

鳴「……半分は当たっているけど、半分は違う理由」

恒一「それはどういう……」

鳴「私、他の部分は全然なんだけど……手だけは汗かくから……ベタベタするの嫌かもって思って」


129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 03:24:04.02 ID:/D5kCdtZ0

恒一「なんだそういうことか……どうせ僕も汗かいてるし、気にしなくていいのに」

鳴「でも……」

恒一「……わかった。今はしなくていいよ。機会はいくらでもあると思うし」

鳴「また私の家に来たら、その時に……部屋の中は涼しいし」

恒一「……じゃあそうさせてもらうよ」

鳴「うん……」


130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 03:29:22.42 ID:/D5kCdtZ0

……………………

……………………

見崎の家


鳴「……わざわざ家まで送ってもらわなくてもよかったのに」

恒一「僕の意思っていうのもあるけど、怜子さんにも言われたしね」

鳴「……私は大丈夫よ」

恒一「えてして大丈夫って言ってる人に限って危なかったりするものだよ」

鳴「……榊原君の意地悪」



132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 03:37:56.63 ID:/D5kCdtZ0

恒一「まあそこはお互いさまってことで」

鳴「私が最初に榊原君って呼んだこと……もし気にしていたのならごめんなさい」

恒一「それは気にしていたというか、少し驚いたというか……どっちにしろそんなこととっくに相殺されてるよ」

鳴「それならいいけど……」

恒一「特に今日は鳴の浴衣姿も見れたしね。おまけに…………!」

鳴「それ以上言ったら……」ジロリ

恒一「あ、えっと……"伝統的"な衣装も見れたしね」

鳴「何故そこを強調するの」

恒一「重要なところだし」

鳴「表面的なことなら私も何もいわないけど……」

恒一「ごめんごめん、ちょっとからかいたくなっただけ」


135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 03:44:12.76 ID:/D5kCdtZ0

恒一「……まあ後帰るときに手をつなぐ以上のこともできたしね」

鳴「は、恥ずかしいからその話もちょっと……」


――――――――――――

テクテク

カラン…コロン…

恒一「ごめん、少し歩くの速かった?」

鳴「ううん、そうじゃないんだけど……」

恒一「あ、もしかして……」

鳴「うん、普段草履なんて履かないから……ちょっと痛くて……」


136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 03:51:41.54 ID:/D5kCdtZ0

恒一「……じゃあおんぶしてあげる」

鳴「え!?い、いいよ……子供じゃないんだし、恥ずかしいし……」

恒一「この時間帯は人通りも少ないし誰も見てないよ」

恒一「それに、どのみち明日も学校に歩いていくんだから無理しちゃダメ」

鳴「私の方が呼び出したのに……そんなことまでさせてもいいの?榊原君」

恒一「僕が勝手に言ってることだから気にしなくていいよ」

恒一(そ、それに手をつなぐよりも鳴の感触を……)

恒一「ほらほら、」スッ

鳴「わ、わかった……」

恒一「よい、しょっと」スクッ


138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 03:59:54.05 ID:/D5kCdtZ0

鳴「お、重くない?」

恒一「ううん、むしろ軽いよ」

鳴「それは良かった…」ホッ

恒一「ねえ、もっとちゃんと掴まって」

鳴「う、うん……」

テクテク

テクテク

恒一(これ背中にわずかに感じるのは……胸の感触?)

鳴(榊原君の頭がこんな近くに……なんか今日は浴衣着たせいで色々と恥ずかしい目に……)

恒一「……」

鳴「……」


140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 04:06:21.89 ID:/D5kCdtZ0

――――
――――――――
――――――――――――

鳴「なんか……申し訳なさやら恥ずかしさやらで……頭パンクしそう」

恒一「もともと呼びだしたのはそっちだけど……意外と余裕なかったり?」

鳴「だって急にこんな格好させられるとか……ただでさえ緊張していたのに……」

恒一「汗かくからって言ってたのも、緊張のせいもあったりする?」

鳴「それも……あるよ、確実に」

恒一「でも、これから……もっと緊張すること……やることになると思うよ」

鳴「そ、そうね……」


141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 04:12:32.91 ID:/D5kCdtZ0

恒一「あと、汗かくこととか」

鳴「汗かくことって?…………!!!」カァァ

恒一「どうしたの、顔赤いけど」

鳴「……もう知りません、榊原君のことなんて」

恒一「あらら……見崎にまで『いないもの』扱いされるようになっちゃったか」

鳴「……分かってるくせに」

恒一「何を?」

鳴「私が……榊原君のこと無視なんてできないってことを」

恒一「さすがにそれを自ら言うつもりはないよ」


142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 04:16:59.13 ID:/D5kCdtZ0

鳴「……ちょっと調子に乗り過ぎ、榊原君」

恒一「ハハハ……鳴と恋人になれて浮かれてるのかもしれないね」

鳴「……そんなに嬉しかったの?」

恒一「もちろん」

鳴「そ、それは……あ、ありがと……」

恒一「うん……」


144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 04:22:18.95 ID:/D5kCdtZ0

鳴「じゃ、じゃあ今日はこのへんで…………あっ!」

恒一「どうしたの?」

鳴「3枚目の短冊のこと、忘れてた……」

恒一「あっ……そういえば」

鳴「今持ってる?榊原君は」

恒一「まあ一応ね。ほら……」スッ

鳴「私も一応持ってはいるけど……」

恒一「鳴はもともとこれ……どうするつもりだったの?」

鳴「ふたりで一緒の願い事でも書こうかなって思ってた……」

恒一「何か考えてあるの?」

鳴「そこまではちょっと……」


145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 04:28:13.97 ID:/D5kCdtZ0

恒一「じゃあこういうのはどうかな?」カキカキ

鳴「?…………なるほどね。でも、これは願い事というよりは……」

恒一「目標に近いかな?鳴が同意してくれればふたり一緒になるけど」

鳴「あまり神頼みっていうのもアレだしね……それに、これで榊原君がさっき言ったことも実現するのね」

恒一「織姫と彦星、か……」

鳴「……榊原君は、来年には東京に……戻るんだよね?」

恒一「いちおうそういう予定になっているよ」

鳴「そう…………わかった。それを私も書くことにする」

恒一「本当に良かった?これで……」

鳴「これはいわば……約束みたいなものでしょ?他力本願でもないし……良いと思う」

恒一「わかった……」


146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 04:33:42.29 ID:/D5kCdtZ0

鳴「これはもともと持ち帰るんだから…………次の時は、ね」

恒一「ああ、持ってくるってことね」

鳴「うん…………でも、本当にこんな約束して……大丈夫?」

恒一「まあ……なんとかするよ。それに今現在の危機に比べたらこんなの……」

鳴「……それもそうね」

恒一「今日はありがとう、鳴。たぶん一生忘れられない七夕になると思う」

鳴「私も……そして……次の七夕もそうなるように……したいと思う」

恒一「それにはまず……また、明日からの『いないもの』生活……」

鳴「……迷惑にならない程度に仲良く、ね」

恒一「そうだね」


147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 04:41:05.85 ID:/D5kCdtZ0

恒一「改めて言うよ。鳴……大好きだよ」

鳴「私も……榊原君のこと……大好き」



こうして二人にとって忘れられない七夕が終わった……



そして、次の七夕もそうなるべく二人で交わした約束の短冊……



『来年もふたりで一緒に七夕に星を見よう  見崎鳴 榊原恒一』



                          おわり


148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 04:44:43.92 ID:CAcgiW1D0

>>1
良かったよ


155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 07:01:44.04 ID:yYpnzEsiO

おつ


156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/14(土) 07:25:08.19 ID:Yv2PUM9CO



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